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最後のチャンス?
そうだよな、子供には何も罪はない。分かれと言われても、まだ小さいゆいには難しい話だ。親の事情を押し付けて、子供にこんな思いをさせるなんて父親失格だな、、、
「あのな、ゆい、、」
隼人はゆいに話をしようとするとゆいがそれを遮って言った。
「パパは私の事嫌いになっちゃったの?」
隼人は急いで弁解した。
「違うんだよ、ゆいの事もはじめの事もママの事もみーんな大好きだよ?」
「、、、じゃあ、迎えに来てくれる?」
隼人が答えられずにいると、ゆいが子供だと思えない言葉を言った。
「、、、また、仕事のせいにするの?」
その声は桃子さんとダブって聞こえた。
「え、、、桃子さん?」
隼人の口から頼りない声が漏れた。隼人は思わず聞き返した。
「、、、何の事?」
帰って来た声は、可愛らしいゆいの声だった。
疲れてるのか、、、?どうしたんだろう?幻聴を聞くほど桃子さんが恋しいのか?
隼人はゆいに謝った。
「何でもないよ。パパの勘違いだった。」
「ねえ、パパ。」
「何だい?」
「せっかく、最後のチャンスだったのに、、、」
また違う声に聞こえて、聞き直そうとした時には、もう電話は切れていた、、、




