電話
隼人は試しにケーキナイフを母親に見せてみた。
「パパは甘いの物が苦手だから、ケーキは甘さ控えめにしてあるのよ。」
次に妹に見せてみた。
「ママのケーキ大好き!このケーキを食べる時はパパもいるし、みんなで食べられるから。パパがいないと寂しいよ、、、」
その時隼人の電話が鳴った。画面を確認すると、桃子さんからの着信だった。こんな夜遅くに何かあったのだろうか、、、隼人は電話を取った。
「、、もしもし。」
電話の相手は何も喋らない。どうしたんだ?隼人はまた話しかけた。
「桃子さん?何かあったの?」
電話の相手はようやく話し始めた。
「、、、パパ?」
「もしかして、、、ゆいか?」
「うん。パパ、どうして迎えに来てくれないの?」
電話の主は娘のゆいだった。どうして、こんな時間にゆいが電話を、、、?
まさか、、、桃子さんに何かあったんじゃ、、、
「ゆい、ママに何かあったのか?」
「ママはねんねしてるよ?お兄ちゃんもねんねしてる。」
「そうか、、、。ゆい、みんな元気か?」
「ゆいはあまり元気じゃない。ママも、お兄ちゃんも。」
「何かあったのか?」
隼人はゆいに問いかけた。
「どうして、パパは一緒にいられないの?」
ゆいの言葉が隼人の胸を締め付けた。
「ごめんな、今はまだ行けないんだ。」
隼人の言葉にゆいは駄々をこねた。
「どうしてダメなの?分かんない。パパに会いたい、、、」




