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たまには雑踏も、、、
「なあ、真。」
「何だよ。いきなり。」
「桔梗博士って、どんな人なんだ?」
隼人の問いに真は少し考えて答えた。
「仕事人間だったんじゃないか?仕事優先して、子供は嫁さんにまかせっきりで自分はずっと仕事してたんだろ?一言で言えば仕事人間だな。」
「、、、仕事人間かー。」
隼人はため息をついて、家族の事を思い出した。そんな隼人を見て真は言った。
「似てるよな、何となく、、、」
「何の事だよ、、」
「桔梗博士とお前がって事だよ。お前に似て、博士も不器用だったのかもな。」
真は何処か寂しげな顔をした。そして、いつもの顔に戻ると言った。
「お前の辛気臭いのが移っちまった。窓でも開けようぜ。」
真はそう言うとカーテンを開いて、窓を開けた。一気に外の雑踏が部屋に入り込んで、冷たく新鮮な空気が隼人の足を撫でた。
「どうだ?窓開けるだけで、世界が広がったみたいだろ?」
真の言葉に頷いた。
「ああ。たまには、外の雑踏も役に立つもんだな。」
隼人は伸びをして真に言った。
「独身時代みたいに、久しぶりに飲みにでも行くか!」
「そうだな!」
隼人と真は二人で飲みに夜の街へと出向いた。




