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刑事になりたい理由
泣くくらいなら、迎えに行けばいい。
大抵の奴はそう言うが、桃子さんに何と言って謝ればいいのかすら、考えられない。それを知って、桃子さんは、
「貴方の所にお嫁に行ってもいい?」
と言ってくれた。桃子さんは、yesかnoで答えられる質問にしてくれる。
苦手な事から逃げていた。桃子さんが傍にいたから、全部頼っていた。
だから、未だに自分の気持ちを言葉にするのが苦手だ。
器用じゃない俺は、[家族]と言う支えを失って心のバランスを崩した。桃子さんや子供達の事を考えると、仕事も手に付かなくなった。仕事に身が入らず、ミスを連発。希望していた部署に配属されたのにやる気が出ない、、、3日目に気付いた。
刑事になりたいんじゃない。刑事になった自分を、誰かに見せたかったんだ。
俺だって、刑事になれたぞ!って。刑事になれば、性格が変わるって。
これを真に受けたんだな。一と一緒に日曜日の朝見てた特撮ヒーロー。何の変哲もない男が、ヒーローに変身した途端強くなる。自分もそんな風に、、、
そんな訳ないのにな、、、