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01、“日が沈まぬ国”アトラルタル


太陽の日差しは、まだ早朝にも関わらず緩やかな角度で人々を照らしつけている。

この土地では当たり前のことなのだが、この地に初めて訪れた人にとっては思わずゲッと言ってしまいそうな気候である。

黒髪に帽子を被り、サングラスをかけた長身の青年は普段の飄々とした雰囲気を潜め、気怠そうに呟いた。


「“日が沈まぬ国”アトラルタル。大陸で最も力のある国だからそう呼ばれてるのかと思えば……………傭兵のおっちゃん、本当に日が沈まないんならそう教えてくれよ。ハァ………」


青年はこの都市に向かうことを仲間に告げたときのことを思い出す。


「そうか、あの笑いはこうなることを見越しとったのか……………キクの奴」


占いキクや傭兵のことを思いだし、歯軋りをする青年。


そんな青年が今居る場所。


“太陽が沈まぬ国”ことアトラルタル大帝国が首都ネクロ。

ここでは季節によって日が全く沈まない。


憮然とした表情の青年がこの国で大事件を起こすのを、まだ誰も知らないーーー


◆◆◆◆◆


さて、青年が「ちょっとコッチおいでー!いいもんあるよー」だとか、「コッチのミートサボテンがおかいどくだょ」などという声の飛び交う市場をもの珍しげに見ていた頃、王宮では二人の少年が歩いていた。


「兄様兄様、兄様は将来すごーい王様になるんでしょう?」


二人の少年の小さい方、第三王子バレルは隣を歩くもう一人の少年“兄様”こと、第一王子ナキにそんな質問を無邪気にぶつけていた。


「あ、あぁ。そうだな…………」 


歯切れの悪い返事しか返せないナキ。

(俺は王になんて成りたくない……)

確かにナキ自身には才能があった。

剣の才能、相手との駆け引き、民にとって最も良い選択………etc.

歴代でもずば抜けた才能を持つナキ。

大臣たちはその才能を幼い頃から徹底的に伸ばした。

高名な学者や武人をつけ、ありとあらゆるものを詰め込む。

本来なら幼い子供にそのようなことをずっとやらせるべきではない。

しかし王までもがソレを許容する中、反発などは許されない。ナキは精一杯頑張ったのだ。

生まれながらの強者として。


そしてナキが10歳になるころ、ナキは完全にひとりぼっちだった。


媚びを売る男ならいる。

その地位目当てにすり寄ってくる女ならいる。

しかし、ナキの辛さを共有しようとする者はいなかった。

身分を隠して外の様子を見たかった。

しかし、それを王達は許さない。

「なぜ?」そう問うと、帰ってきた答えは「次期国王が怪我でもしたらどうするのだ?」と一蹴される。


ナキは既に、王などやりたくなくなっていた。


厳しい顔をして俯いているのを見たのか、バレルが「どうしたの?」と聞いてくる。


「いや、なんでもないよ。ただ、ちょっと思うところがあってね…………」

「兄様は大変なんだね!頑張ってね!」


そうこうしているうちにナキは自らの部屋に着く。


「バレル。私は今から仕事を片付けなければならないから自分の部屋に戻ってね」

「うん。りょーかいりょーかい。」


バレルが走っていくのを見届けると、誰にもバレないように小さな小さなため息をついた

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