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【練習試合第一戦】白虎学園vs雷鳴轟 前田の凡ミス

3回表


前田が任されてる最後のイニングに入った。

4回からは熊谷満が登板する予定だ。


山田信司

「しまってゆくぞ」


前田正則

「はい」


山田は一言前田にそういう。


ネクストバッターズサークルでは友岡勇気がバットを振って準備していた。


友岡勇気

(嫌だな、大学前に1年生に抑えられたら…)


勇気はさっきのタイムリーをまだ引きずっていた。


友岡勇気

(さっきはストレート投げすぎたな…)



山田信司

「さぁていきますか」


主審

「プレイ!」


勇気がバットを構えた。





カキィン





友岡勇気

「よし!」


会心の当たりはライトへ



藤原健一

「フェンスいくな」


藤原はフェンスに当たったクッションボールを捕り


藤原健一

「セカンッ!」


2塁に送球した。



バシィ



友岡勇気

「セーフ?」


2塁審

「セーフ!」


友岡勇気

「よっしゃ!」


2塁で勇気が喜ぶ。


山田信司

(参ったな。先頭が2塁打か…)



続く9番片岡はバントの構えを見せている。


前田正則

(山田さん。どうします?)


山田信司

(平田、北条。前進)


山田が胸元で小さく手招きをする。


平田祥ニ

(はいはい)


北条剛

(緊張するな…)


山田信司

(牽制しろ)


山田は前田に勇気を2塁で釘付けにするように指示。


前田は2塁に牽制した。

したのはよかった。完璧だった。

現に勇気は松原のグラブによりベースを遮られていた。



しかし…



友岡勇気

「審判!」


2塁審

「ボーク!」


ボークの宣告。


松原正樹

「え?なんで!?」


友岡勇気

「プレート踏んだまま牽制してたよ」



松原正樹

「……前田ぁ」


野球の牽制は、プレート(マウンドにある白い板。投手はそこに足をかけて投げる)という板から足を離してやらなければならない。


しかし前田は凡ミスでそのプレートを踏んだまま牽制したのだった。


そして審判にボークをとられ、勇気は楽々3塁へ行った。


山田信司

(マジかよ)


山田は頭を抱えた。


あってはならない事態である。


これで何もせずに無死3塁


打者はスクイズの体勢に入る。



片岡強

(同点にしてやる…)



山田信司

(もうスクイズする気満々だな)


山田は一球外すように指示。


前田は軽く頷いてウエイトボールを投げる。


前田正則

(あっ!)


ボールは山田のミットを越した。


山田信司

「おい!」


片岡強

「来い来い!」


友岡勇気

「よっしゃ!」


勇気がホームベースを踏んだ。


友岡勇気

「同点だ!」


勇気が川合兄弟とハイタッチをする。



前田正則

「……………」


前田は呆然としている。


山田信司

「タイム!」


山田がタイムをかけてマウンドにいく。



内野陣がマウンドに集まった。



山田信司

「おい、前田」


山田が前田の頬を叩く。


前田正則

「はっ」


前田が気がついた。


山田信司

「同点になったのは仕方ない。けど先制したからって気を緩みすぎだ」


山田が叱咤する。



前田正則

「…すいません」


平田祥ニ

「まだ同点だし、しっかり抑えていこうよ」


平田は前田を励ます。


前田正則

「…はい」


前田の目が虚ろだ。

気持ちが完全に浮いてしまい、最早打たれるだけである。


山田はベンチの前川監督を見た。




黒田正宏

「いや~3回でボロが出ましたね」


前川久男

「今までが良すぎたんだよ」


黒田正宏

「伝令、します?」


前川久男

「しないしない。打たれるならとことん打たれろ、それが練習試合だ」


黒田正宏

「まぁそれでつぶれたら所詮その程度だった話しですし」





山田信司

「どうやら変えるとかアドバイスの気はさらさら無いようだな」


平田祥ニ

「練習試合ですからね」


山田信司

「自分たちでなんとかしろか…」


平田祥ニ

「とりあえず前田はもうムリですよ」


山田信司

「もっかい気持ちを乗せて貰わないとな」



主審

「君たち、速くしなさい」


主審が速くやるよう促している。


山田信司

「とりあえず1ナウトとるぞ」


「「うぃっす!」」


選手が散らばる。


山田もホームベースに戻ろうとする。


その前に山田は前田の頬を叩いた。


山田信司

「オイ!おまえが投げるしか無いんだ。一回気持ちを引き締めろ」


前田正則

「…はい」


山田信司

「もっと大声!」


前田正則

「はい!」









主審

「プレイ!」



主審の声が鳴り響く



前川久男

「さて、どうなるのか。楽しみだ」





和泉満

「長いタイムでしたね」


等々力学

「相手は酷だな。もうダメな投手を引きずるなんて」


コーチ

「あの監督、ピッチャーにはかなり無理やりなやり方で育てますよ。そのせいかメンタル強い選手ばっかりですけど」



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