練習試合 対所沢農大戦 中原海斗くん
7回裏
所沢農大のマウンドに立ったのは小木原弘泰という3年生の投手だった。
黒田正宏
「小木原弘泰。所沢農大のエースです。春季大会では花桜徳栄戦で7回1/3の1失点してますが負けてます。左の本格派で最速143kmです」
前川久男
「もうちょっと上の学校でもいけたんじゃないの?」
黒田正宏
「高校入学後、急成長したそうです」
前川久男
「なるほどな…」
バシィ
小木原弘泰
「ふぅ」
城山豪
「OK!」
前川久男
「竹岡、代打だ」
前川監督はいきなり竹岡にそう告げる。
竹岡優
「はぁ?」
既にヘルメット被って準備していた竹岡はびっくりする。
前川久男
「悪いな。1年を使う」
竹岡はそれを聞くと
竹岡優
「わかりました」
ベンチに戻った。
前川久男
「中原!」
前川監督は中原海斗を呼ぶ。
中原海斗
「はひぃ!」
びっくりした中原は噛んだ。
前川久男
「代打だ。思い切っていってこい」
中原海斗
「わ、わかりました!」
中原は慌てて準備する。
そんな中原を見て竹岡は近づき
竹岡優
「中原、臆することはない。ちゃんと振れば当たるから」
中原海斗
「は、はい!」
中原は打席に立った。
中原海斗
「よ、よろしくお願いします!」
城山豪
「おぅよろしく」
小木原弘泰
(1年か)
ピシュ
バシィ
主審
「ストライッ!」中原海斗
「はえ~」
打席で中原は感嘆の声を上げる。
黒田正宏
「今のは132kmですね」
平沢守
「それぐらい打てないと困るな」
球速を聞いて平沢は苦笑する。
中原海斗
(やっぱり高校は球が速いな。速いし硬球だ。)
中原はもう一回バットを握りしめる。
ピシュ
カキィ
かろうじて当てた球は後ろへ
主審
「ファール!」
中原海斗
「痛いな…」
熊谷雅之
「低めの球を2球目で当てたな。なかなか良いミートしてるじゃないか」
雅之が呟く。
安藤敬介
「ダテに中学時代打率7割じゃないからな」
その後2、3球ファールになる。
中原海斗
(打撃練習の時みたいにやればいいんだ…)
ピシュ
カキィン
熊谷雅之
「おっ」
しっかり肘を畳んで打った球はピッチャーの股関を抜けてセンター前に抜けていった。
中原海斗
「やったやった」
中原が1塁上で喜んでる。
松原正樹
「やるなぁ、1年」
松原が右打席に立つ。
カキィン
坂原拓海
「OK!」
打球は坂原が掴んで
鈴木賢治
「はい!」
鈴木にトスされて
2塁審
「アウト!」
鈴木が1塁に投げるが
松原正樹
「オルラァ!」
松原がヘッドスライティングで
1塁審
「セーフ!」
ゲッツは免れた。
1塁の本町は松原に囁く。
本町真
「おまえさぁ、そっちが勝ってるんだから少しは自重しろよ」
松原正樹
「悪い。でもこっちも監督にアピールしないとマズいからさ…」
本町真
「大変だね」
続く松田はショートフライで2アウト。
平田もサードライナーで3アウトとなった。




