表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/82

練習試合 対所沢農大戦 打線爆発


熊谷満

「ふしっ!」



城山豪

「やべっ」


ブゥン


ガシィ


主審

「ストラック!バッターアウト!」


城山豪

「ボール球振っちゃったぜ」


松田信夫

(こんな球を振っちゃうから今日のピッチングが上手そうに見えるだけなんだよな)


松田は返球しながらそう考える。


中井誠也

「っしや!」


中井が吠えながら打席に立つ。


松田信夫

(まぁコントロールはヒドいし変化球も持ち合わせてないから)


熊谷満

「ふんがっ」


カキィン


熊谷満

「OKレフトォ!」


バシィ


3塁審

「アウト!」


川石克徳

「2アウト!2アウト!」


松田信夫

(打たれると思いきや、これが打たれないんだよな)


熊谷満

(これオレベストピッチングなのか?覚醒したのか?)





熊谷雅之

(所沢農大如きだから0点に抑えているけど石大青陵クラスだともう炎上してるな)



ベンチの外から雅之はそう観察してる。


熊谷雅之

(まぁ夏までにフォームを固めてあいつの動くストレートを武器にさせればいいかな?まだ2年だし)


カキィン


竹岡優

「OK!」


竹岡が掴み1塁へ


バシィ


1塁審

「アウト!」



熊谷雅之

(この回も抑えたな)


安藤敬介

「よぅ」


熊谷雅之

「あれ?」


突如、熊谷に声かけてきたのは安藤敬介だった。


熊谷雅之

「お久しぶりですね。安藤さん」


安藤敬介

「もう7年もなるのか…」


熊谷雅之

「はい」


安藤敬介は高校時代の熊谷雅之をスカウトしたことがある。


熊谷雅之

「今は確か…」


安藤敬介

「社会人チームでスカウトやってる」


熊谷雅之

「そうですか」


安藤敬介

「今ジャガーズで戦ってるおまえの弟は元気にしてるぞ」


熊谷雅之

「新聞見てるから知ってますよ」


安藤敬介

「そうか」


熊谷雅之

「ところで今日はなぜ白虎へ?」


安藤敬介

「スカウトだぞ?スカウトが選手を見なくてどうする」


熊谷雅之

「確かに」


安藤敬介

「今日マウンドに上がってるの、おまえの甥っ子なんだよな」


熊谷雅之

「はい」


安藤敬介

「なかなか良いじゃないか(笑)」


熊谷雅之

「まだまだですよ」


安藤敬介

「そうか」


熊谷雅之

「上体だけで投げてるわ、体が斜めってるわ、悪いところは沢山ありますよ」


安藤敬介

「よくいうな」


安藤はタバコを取り出し、吸い始めた。


安藤敬介

「このまえよ、昔世話になった『弐科雄二』ってやつに会ったんだよ。長崎で」


熊谷雅之

「弐科雄二…、懐かしいですね『47の勝利神』」


安藤敬介

「それであいつが母校に良いのがいるっていうから見に行ったんだ」


熊谷雅之

「へぇ。母校の名前は?」


安藤敬介

「新寺学園。知ってるか?」


熊谷雅之

「いや、知りませんね」


安藤敬介

「そこの学校の2年生と主砲が良いから今度見にこいと」


熊谷雅之

「名前は何ていうんですか?」


安藤敬介

「2年生は一浦秀也、主砲は三二一」


熊谷雅之

「さんじはじめ?」


安藤敬介

「321って書いてさんじはじめだ」


熊谷雅之

「へぇ」


安藤敬介

「一浦はおまえと正反対の技巧派タイプで、三二一はおまえがカモにしていた豪快に打ちまくるタイプだ」


熊谷雅之

「俺はコントロール外視の速球派だったしな」


安藤敬介

「おまえにも見せたいんだが?」


熊谷は少し考えて


熊谷雅之

「行きましょう。なんか気になるので」


安藤敬介

「わかった」



その頃、グラウンドでは


野坂三振だが熊谷満死球で出塁で倉石がプッシュバントしてランナー1、2塁。


竹岡がライト前に巧く落としてヒット


松原三振で二死満塁で、バッター松田を向かえていた。


松田信夫

「逆転打打ってやる!」


平田祥二

「空回りするなよ~」


松田信夫

「わかってる!」


城山豪

(確か山田と違って長打力がある打者なんだよな)


城山はアウトコースに構える。


ピシュ


松田信夫

「うお!」


パシ


主審

「ストラック!」


松田信夫

「おっそいなぁ~」


平田祥二

「80出てるか?今のスローカーブ」


黒田正宏

「今の79km…」


スピードガン見ながら黒田は絶句する。


松田信夫

(だけどあいつあのスローカーブぐらいだろ?)


手越裕太郎

「ふんっ!」


バシ


主審

「ボール!」


黒田正宏

「121km」


平田祥二

「今日はあのスローカーブと120しかない直球にやられてるんだよな」


松田信夫

(全く情けないぜ)



手越裕太郎

(アウトローね)


ピシュ


カキィン


手越裕太郎

「!?」


城山豪

「げっ!」


打球はスライスしながらフェンスへ


ガシャン


当たった。


3塁審

「ファール!」


松田信夫

「ちっ」


平田祥二

「よく飛んだな」


手越裕太郎

「びっくりした~」


城山豪

(一緒ヒヤッとしたが、良かった…)


手越はロジンバックに手を付けて


手越裕太郎

(なんでこいつスタメンじゃないんだろう?)


松田がなぜ正捕手でないか考えてしまった。


理由は勿論山田の存在だが


打撃だけならクリーンアップでも通用するレベルだ。


但し今日は打ててないけど


松田信夫

(仕切り直しだ…)


松田は構え直す。


手越裕太郎

(抑える!)


ピシュ


手越が投げたボールは緩やかにストライクゾーンへ


城山豪

(際どいな)


カキィ


松田信夫

「いけ!」


当てた打球はフワフワとライトへ


名島英樹

「ヤバい!」


長打警戒していた外野が走る走る。


スライティングでキャッチを試みるが


ボールは名島のグラブの下をいった。


ボールは転々と外野に転がる。


熊谷満

「よっしゃ!」


まず満が拍手しながらホームイン


倉石哲哉

「うっし!」


倉石もホームイン!


ようやく名島が追いつき、坂原へ回す。


竹岡は3塁を蹴った!


坂原拓海

「なに!?」


慌てて坂原はホームにボールを返すが


返球が高く、竹岡ホームイン!


城山豪

「しまった…」



熊谷満

「ナイスバッチン松田!」


2塁上で松田が手を上げる。


手越はマウンドを蹴っている。


平田はそれを見て



平田祥二

「あれ程度の投手はもう終わりだ。決めてやる」






カキィン





打球はセンター中島の上をいった。


2塁審

「ホームラン」


平田は澄まし顔でホームベースを一周する。



その様子を見ていたスカウトの安藤と熊谷は


安藤敬介

「さすが中学時代は怪童と言われただけあるな」


熊谷雅之

「でも安藤さん好みじゃないですよ。ヒットの延長がホームランの選手ですよ」


安藤敬介

「でももう4番としては良いと思うぜ。あれだけ打てれば」


熊谷雅之

「平田が成長すれば、白虎の打線は強くなりますよ」


安藤敬介

「再注目、だな」


その後川石が倒れてこの回、白虎は5点取ったのだった。



~ブルペン~



奥山大輔

「おっ、平田がホームラン打った」


前田正則

「やっぱり凄いですね。あの人」



粟田紀康(2年生)

「伝令!熊谷は6回まで、奥山は7回から、8、9回は前田で行く!」


奥山大輔

「頑張れ前田!」


前田正則

「はい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ