7回 白虎の攻撃
なんとか6回を1点に抑えたい熊谷はベンチに戻る。
前川久男
「熊谷、あれほど力むなって言ったのに…」
熊谷満
「すいません…」
前川久男
「まぁ起きた事は仕方ない。まだ7回だ。」
平田祥二
「オレの番だな」
県立大学付属高校の投手は宮代進矢
サイドスローから投げる直球は135kmと平凡だが、多彩な変化球を持っている。
小川太
「よっしゃ!しまって行くぞ!」
アナウンス
「7回表、白虎学園高校の攻撃は、4番、サード、平田君」
平田が打席に立つ。
宮代進矢
(なんとしても夏のシード権を手に入れたい)
足を上げて第1球
【ズバン】
主審
「ボール!」
宮代進矢
「あれ?」
小川太
(外れた…)
平田祥二
(シンカーか)
山田信司
「おい熊谷」
熊谷満
「はい?」
山田信司
「『はい?』じゃねぇよ!次おまえの打席だぞ!」
熊谷満
「え!?」
B●●
S●
O
平田祥二
(良いカウントだ)
小川太
(次振ってくるぞ)
宮代進矢
(はいよ)
ピシュ
平田祥二
「おっ」
カキイン
宮代進矢
「しまった!」
三遊間のド真ん中を抜く!
平田祥二
「よっしゃ!」
熊谷満
「ナイスバッティング!」
熊谷満
「さて…」
アナウンス
「5番、ピッチャー、熊谷君。背番号20。」
宮代進矢
「東葛タイガースの熊谷だ…」
小川太
「でも5番って程じゃないだろ?」
小川太
「ゲッツーに仕留めるぞ」
宮代進矢
「はいよ」
熊谷満
「えっとサインは…」
前川久男
(これよ…)
熊谷満
(はい)
熊谷は頷いた。
ズバン
主審
「ボール!」
宮代進矢
(初球様子見)
小川太
(バントの構えだ)
宮代進矢
(あからさま過ぎるぜ)
小川は内野にバントの用意をさせる。
小川太
(バント来るぞ)
熊谷満
「……………」
宮代進矢
(それ!)
宮代が投げた。
カキィン
小川太
「え!?」
打球はライト方向へ
中川(1塁手)
「っくそ!」
間田(2塁手)
「マジか!」
原川(右翼手)
「エンドラン…」
熊谷満
(オオ~、上手くいったな~)
小川太
(バスターエンドランかよ。やられたわ…)
無死1、2塁。結局何点入ったかと言うと
熊谷満
「なんで入んないんだ~!?」
0点だった。