対三階堂戦 突如として
結局淡島のナックルに惑わされ藤原平沢平田のクリーンアップは3者凡退の形を食らった。
平沢守
「くそっ!」
平田祥二
「ナックルか…」
熊谷満
「だけど本当にいたんだ…アンダースローのナックルボーラー…。まじで都市伝説だと思ってた…」
そうぼやきながら熊谷はマウンドへ立った。
平田祥二
(もう120球だぞ…)
平田は熊谷の肩を心配した。
アナウンス
「6回裏、三階堂高校の攻撃は、8番、キャッチャー、本山君」
本山真也
「もうボロボロじゃないのか?」
本山真也
(この回で決めてやる…)
熊谷満
(あと4回か…)
ピシュ
ズバァン
松本主審
「ボール!」
本山真也
「え?」
前川久男
「おい、今の球速は?」
黒田正宏
「……………148です」
前川久男
「さすがだな…」
熊谷満
「うおりゃぁぁ!」
ズバァン
松本主審
「ストラィー!」
本山真也
(100球超したのに、速い!)
3塁ベンチでは
堂林英昭(三階堂監督)
「淡島、もういい。三堀!代打だ!」
淡島成行
「はっ?」
三堀
「へっ?」
堂林英昭
「この試合!勝ちに行くぞ!いくぞぉ!」
三堀
(なんでそれで)
淡島成行
(代打なんだよ…)
松本主審
「ストラィー!バッターアウト!」
熊谷満
「あれ?三振?」
山田信司
(始めて三振穫りやがった…)
熊谷満
「あは、マジか」
アナウンス
「三階堂高校、選手の交代をいたします。ピッチャー淡島君に代わりまして、バッター三堀君。背番号13」
熊谷満
「えぇ?」
山田信司
「なんで?」
堂林英昭
(あぁ、前川さんには負けたくない…。前川さんには…)
前川久男
(………………)
三堀が左のバッターボックスに立つ。
熊谷満
(三堀?知らないな)
山田信司
(なんで代打?)
三堀
(あぁ怖い…)
熊谷満
(まぁいいや)
ピシュ
ズバァン
松本主審
「ストラィー!」
山田信司
(だけどさっきからストライク入るな)
ピシュ
ガギィ
松本主審
「ファール!」
三堀
(なんだこいつ、ノーコンじゃないのか?)
堂林英昭
(さっきの球、149だった…)
熊谷満
(あれ?おかしいな?)
熊谷はマウンドで何かを感じていた。
熊谷満
(なんかガムシャラに投げてるだけで)
ピシュ
ガチィ
松本主審
「ファール!」
熊谷満
(ストライクが入る…)
山田信司
(どうしたんだ?あいつ…)
三堀
(おいおい…)
熊谷満
(なんか…)
ピシュ
熊谷満
(楽しい!)
ズバァン
松本主審
「ストラィー!バッターアウト!」
松戸進介
「ど、どうしたんだアイツ…」
松田信夫
「急にストライクが入るように…」
熊谷雅之
「なるほどな…」
1塁スタンドの真ん前で座っていた熊谷雅之はグラウンドの熊谷満をじっと見つめて、そう呟いた。
結局代田も三振にとり、この回熊谷は三者三振に仕留めたのだった。
山田信司
「いきなりどうした熊谷!」
熊谷満
「自分でもわかりません」
藤原健一
「でもこの回三者三振は大きい!」
平沢守
「さぁ行くぞ!」




