対三階堂戦 コントロール悪くても
1塁スタンドで葛城良太はグランドに熱い視線を送っていた。
葛城良太
(すごいな三谷は…)
安藤敬介
「おぅ」
葛城良太
「安藤さん」
安藤敬介
「また会ったな」
葛城良太
「三谷を見にきました」
安藤敬介
「そうか」
葛城良太
「うちも左を欲しがっているのでリストを作る事にしたんです。先日は神宮で拓直大の藤見を見ました」
安藤敬介
「あいつか」
ズバァン
松本主審
「テイクワンベース!」
葛城良太
「またか。あの投手」
安藤敬介
「今投げてるヤツか」
葛城良太
「はい」
安藤敬介
「今日は前園だと思ったんだが…。彼、2年生だろ?」
葛城良太
「名鑑みるかぎりそうですね」
アナウンス
「7番、ショート、佐藤君。背番号6」
安藤敬介
「こいつは見物だぞ。」
葛城良太
「三葉中の佐藤ですね」
~グランド~
山田信司
(三葉中の佐藤か)
佐藤弘
「こいや熊谷」
熊谷満
(佐藤か、嫌な思い出しか無いぜ)
ピシュ
ガシィ
山田信司
「くっ…」
ボールは山田の手前でバウンドした。
熊谷満
「はぁ」
佐藤弘
「へっ」
山田信司
(臆するな、熊谷)
熊谷満
(はい)
ピシュ
佐藤弘
「!?」
ズバァン
また顔面スレスレだ。
松本主審
「ボール!」
佐藤弘
「あっぶねぇ!」
熊谷満
「すまん佐藤」ピシュ
佐藤弘
「また!!」
ズバァン
松本主審
「ボール!スリィ!」
山田信司
「オイオイ;」
三谷昇
(あいつやるな…)
ズバァン
松本主審
「ボール!フォアボール!」
「ああまただ!」
「どんだけだよ!」
「おいノーコン!」
スタンドからはヤジが聞こえる。
山田信司
(初回2つにたったいまストレート2つだもんな)
アナウンス
「八番、キャッチャー、本山君。背番号12。」
本山真也
「まだ死にたくねぇ」
山田信司
「オイ…」
熊谷満
「本山真也?知らないな…」
前川久男
「なんだあいつ?見たことないぞ?」
黒田正宏
「本山真也は三階堂に誘われたんですよ。三谷に」
前川久男
「ほぅ…」
黒田正宏
「あっちではそれなりに名が通る強打者らしいです。なんでも中学時代、あの友岡兄弟を滅多打ちでしたから」
前川久男
「それはすごいな」
カキィン
前川久男
「あ」
打球は熊谷の頭上を抜けてセンター前へ
黒田正宏
「しかし三谷の速球が捕れる及びバッティングのセンスはあるんですが、リードがへたくそなんで」
前川久男
「三谷がリードしてるもんな」
黒田正宏
「だから背番号12なんです」
黒田正宏
「補足しますと雷鳴轟学園から誘いありましたが、断って三階堂に来たとか」
前川久男
「もしかして、三階堂って広島出身多いのか?」
黒田正宏
「はい」
鎌田裕次郎
「こいやノーコンピッチャー!」
黒田正宏
「鎌田も一応広島出身です」
熊谷満
「うわ~、満塁だよ」
山田信司
(鎌田裕次郎。広島生まれ東京育ち。)
ズバァン
松本主審
「ストラィー!」
鎌田裕次郎
「入ったなノーコン!良かったな!」
熊谷満
「おい…;」
山田信司
(言わせておけ)
熊谷満
(わかってますよ)
前川久男
「前園、準備しておけ」
前園裕也
「はい」
熊谷満
(そろそろ入れていかないと…)
山田信司
(置きにいくなよ、それで痛打されたらダメだからな)
熊谷満
(わかってますよ)
ピシュ
鎌田裕次郎
(そらきた!)
鎌田は咄嗟にバントの構えをする。
山田信司
(スクイズ!)
ガギィ
打球は宙に舞った!
鎌田裕次郎
「なに!?」
小フライになったボールをワンバウンドで捕球し、ホームベースを踏む!
松本主審
「アウト!」
山田信司
「サァド!」
3塁に投げる!
平田祥二
「よっしゃあ!」
平田が3塁ベース踏んで2アウト!
平田祥二
「セカンッ!」
2塁送球!
本山真也
「ヤバい!」
本山が滑り込む!
バシィ
茨木塁審
「セーフ!」
本山真也
「あっぶね…」
山田信司
「よし…」
~スタンド~
葛城良太
「やっぱりスゴいですね。あの強肩…」
安藤敬介
「知ってるか?山田を」
葛城良太
「フェニックスの山田の甥っ子でしょ?知ってますよ」
安藤敬介
「そうか…」
カキィン
葛城良太
「ゴロだ」
1番代田の打球は松原が2塁に投げて
茨木塁審
「アウト!」
葛城良太
「2与四球満塁で0得点ですか…」
熊谷満
(やべぇ、なんかいろいろやべぇ)




