臨時コーチ
対三階堂戦まで2日
練習前のミーティング
前川久男
「っていうことで対三階堂戦は前園じゃなくて熊谷で行く」
ザワザワザワザワ
熊谷満
「お…おれ…?」
前川久男
「いけるか?」
熊谷満
「は…はい!」
前園裕也
(お…)
山田信司
(いい返事だ…)
熊谷満
(それじゃクイックが試せる…)
熊谷は対三階堂戦でクイックを投げる事を決めた。
前川久男
「さぁそれで、今日から臨時でコーチになってくれる人がいる」
ザワザワザワザワ
前園裕也
(この時期に?)
安藤義男
「それでは紹介する」
安藤部長がそういった時、グラウンドに1人の男が入ってきた。
熊谷満
「あぁ!?」
前園裕也
「なに!?」
藤沢明
「ウソだろ?」
安藤義男
「熊谷雅之さんだ」
熊谷雅之
「よろしく」
前園裕也
(あの熊谷雅之。松戸学園のOBで甲子園での優勝経験あり)
山田信司
(118イニング無失点の記録を打ち出し)
松田信夫
(プロ注目の投手だったが…)
平沢守
(プロ志望届を出さず、その後行方知れず…)
藤沢明
(そして3年前、突如としてノンプロのフェニックスに入団)
村雨収
(完全試合を3試合叩き出した…)
平田祥二
(そして熊谷のおじさん…)
熊谷雅之
「え~、プロじゃないんで来ました。短い期間ですが前川監督及び安藤部長からビシビシやるように言われてるのでよろしく!」
熊谷満
「な…なんで…?」
その後ブルペンにて
熊谷雅之
「満が明後日、先発するのか」
熊谷満
「はい…」
熊谷雅之
「相手は三谷か…」
熊谷満
「はい…」
熊谷雅之
「よし!投げて見ろ!」
熊谷満
「はい」
熊谷は投げる。
ズバン
ズバン
ズバン
ズバン
ズバン
熊谷雅之
「……………」
前園裕也
(ストライクに入ってない…)
熊谷満
「っくそ!」
ズバン
ズバン
ズバン
ズバン
熊谷満
「あれ?」
熊谷雅之
「よしヤメ!」
熊谷満
「……………」
熊谷と山田、前園が呼ばれる。
熊谷雅之
「満。どこを意識して投げた?」
熊谷満
「外角低めを意識して…」
熊谷雅之
「なるほど…」
山田信司
「あの、三階堂はシニアで慣らした選手もいるので、低めに散らしながら出し入れするという」
熊谷雅之
「つまらんな…。それじゃつまらない…」
山田信司
「はぁ」
熊谷雅之
「野球は色んな事が出来るんだぜ?それを駆使しないでどうするよ?」
山田信司
「じゃどう配球すればいいんですか?」
山田は熊谷雅之に突っかかる。
熊谷雅之
「ん?」
熊谷雅之は一呼吸置いて
熊谷雅之
「初回先頭打者のケツにボールをぶつける」
「「!!!」」
熊谷満
「そ、それは…」
前園裕也
「危険球に…」
熊谷雅之
「高校野球に危険球はねぇだろ?顔面でも続投じゃないか?」
山田信司
「で、でも…」
熊谷雅之
「そして外にピンボール。内にもピンボールやれば…」
前園裕也
「あぁ!そうか!」
突然前園が何かに気づいた。
前園裕也
「打者は萎縮して負ける」
熊谷雅之
「さすが関東1右腕!その通りよ。現に満は典型的な速球投手。しかも変化球はションベン程度。だとしたら、もう暴れるしか無い」
熊谷満
(ま…マジかよ…)
熊谷雅之
「変化球は夏までに磨け。まずは暴れ球をどう操作するかだ!」
熊谷満
「はい!」
山田信司
(明後日荒れそうだな…)




