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ギブソウル(仮)  作者: AKUE
プロローグ
4/6

待ち人は来ず

いつも読んでいただき、ありがとうございます。


主人公エイトの妹が登場です。

今回は長めですが、特に話の進展はありません。

私、宮田みやた れいは、ライストーン・オンライン(RiO)のアバター【リッカ】となってマイラット城下町の北側城門前にいる。

 今日は兄、宮田みやた 涼平りょうへいのアバター【エイト】が転生するとかで、アイテムを一時預かる依頼を受けているんだけど。


《あ、今どこよ?》


《敵とエンカウントしたから》


あー、また遭遇したのね。


《だから、さらに遅れる。じゃ》


《じゃって、ちょっと、まぁ……》


って感じで、一方的に着信をかけてきて要件だけで切られた。


「ふぅー。 ミウ、ごめん。 なんか兄はこれらから戦闘だって。 だからさらに遅れるって。」


私は横にいるミウに誤りながら簡潔に状況を説明した。

ミウとの出会いは1週間ほど前で、ミウが男共に囲まれていたのを、一緒にいた兄をけしかけて助けたのが切っ掛けだった。 その後オロオロしているミウに声かけて、しばらく一緒にいることにした。


実はこのゲーム内の性別はリアルと同じになるから、どうしても女性が1人でいると寄ってくる男が多いのでボディガード代わりだ。 あっ一応私も女性だからね?

その後、いろいろ話していたら同じクラスの平野ひらの 心優みうちゃんだと分かって友達になったんだよね。


「うん、平気だけどお兄さん大丈夫なの? 移動しないでピレネー神殿にいればよかったかな?」


「ん? でも、ミウもレベル上げたいでしょ?」


さきほどまでミウのレベル上げの手伝いをしていてこの1時間程でレベルを6上げてちょうどレベル30になった。


「上げたいけど、お兄さん急ぐため高レベルのフィールドを通って移動してるんだよね? それに転生直後はレベル1になって装備もなくなるとか言ってなかった?」


そう、このRiOはレベル500になると転生が可能で、転生後はレベルが1になり全財産没収――全てのお金とアイテム――となる。

そのかわり、今までのスキルレベルは維持され、基本ステータスに転生補正が付く。


ちなみに知合いに財産を預かって貰う事で全財産没収は回避できる。

今回、兄の依頼もこれで、私は武器・アイテム以外の全財産を貰う事で引き受けた。

別に鬼畜ではないよ? ミウの装備を整える為に使うんだよ。


「兄ならレベル100の敵でも初期装備で倒せるよ?」


「なんで疑問形なのよ?」


「うふふ、本当に大丈夫だよ。 こないだ戦闘システムについて説明したの覚えてる?」


「えっと、初心者やアクションが苦手な人向けのモードと玄人向けのモード……だっけ?」


「そう、初心者向けがASM(アクトサポートモード)、玄人向けがEM(エキスパートモード)だね。 これの違いは分かる?」


「初心者向けは敵を見て攻撃するれば自動でやってくれて、もう一つのは全部自分でやるかな。」


RiOの戦闘システムは2種類あり戦闘のしかたが大きく異なる。


初心者向けのASM(アクトサポートモード)は、攻撃対象に目を向けて剣を振れば敵との間合いや状態から可能なモーションで自動攻撃を行い、敵からの攻撃は防御判定に成功すれば自動防御を行う。

剣武技や魔術などのスキルは、攻撃対象に目を向けるか技名を言うか視界上または意識上のアイコンをクリックする事で発動され、間合いや誘導も自動で行われる。


玄人向けのEM(エキスパートモード)は、自分のアバターを使い全ての動きを自分の自由意志で行って戦闘を行うモードだ。

それは剣の握り、振り上げ、間合いの調整、回避行動や防御時の盾の角度などまで及び、スキルは呪文詠唱やモーションアクション、攻撃対象・箇所の選択、間合いの取り方まで自分でやる必要がある。

その為、剣の握りが悪ければ剣がすっぽ抜けるし、呪文やモーションアクションに間違いがあればスキルが発動しないなどリスクが多い。

その分、スキルキャンセル、途中変更、連続発動、複数の組合わせが可能であり、使いこなせば多彩なアクションでアニメや映画のような戦闘も可能になる。

ちなみに、年に数回のトーナメント式武道会が開かれ、ゲームをしていない人ですらネット中継で観戦するほど人気がある。


「うん、大まかにいうとそうなるね。 それ以外にも大きな違いがあるんだけどわかる?」


ミウは顔を横に振り分からないと意志表示をする。


「実はここが重要でASMはステータス依存でEMは技術依存なんだよね。 ASMのステータス依存はステータスやレベルが敵より強ければ楽勝だし、敵と同等だと苦戦する。 敵の方が強ければほぼ確実に負ける。」


私は確認のためミウの目を見ると、ミウは頭を縦に振って頷いた。


「で、EMの技術依存はダメージ判定などの一部の数値計算から解放されるんだよね。 だから、攻撃力が弱くても敵の急所を突けば倒せるし、回避力が弱くても敵の攻撃を予測して動けば攻撃の回避ができる。 あっ基本ステータスは生きているからAGIの優劣で動きの速度が変わるし、LUKの優劣でドロップ率が変わるとかはあるよ。」


普通、急所とはいえ攻撃力が低ければダメージを与える事は出来ないと考えがちだが、RiOの場合は一撃で倒せる可能性がある。

その理由は、RiOのモンスターは内臓や心臓などの内外の組織情報を細かく持ち、弱点や急所などが細かく設定されている為だ。

だから、関節などの弱点へのピンポイント攻撃はダメージが3倍以上になり、心臓などの急所へのピンポイント攻撃は即死判定が機能する。


「うーん。 それだとEMの方が強すぎないかな?」


「それが、そうでもないのよ。 要はこのアバターの体を使いこなせなければ、ステータスの弱い敵にすら負けるんだよね。 なにしろ本当の自分の体ではなく、高性能なゲーム内のアバターででしょ。 私は現実では1mもジャンプできないけど、このアバターなら可能なんだよね。 そういった違いがあり誰でも簡単に使いこなせる訳ではないのよ。」


「そっ、そうなのかな?」


「そうなんだよ。 で、兄はこのEMを使いこなしているしステータスに転生補正が付いてるからレベル差200ぐらいなら余裕だと思うよ。」


転生補正は、転生1回毎に全ステータスに+15の補正が付く。

兄は今回7回目の転生で+105の補正が付いてるから、装備が初期装備でもレベル300程度の敵なら倒せる。


「それにミウにEMを教える為、兄に合わせたいしね。」


今日の最大の目的は、兄にEMの戦い方をミウに教えるよう頼む事にある。


「別にお兄さんでなくてもリッカが教えてくれれば良いんだよ? それにリッカは武道会で47位なんでしょ?」


「まぁーね、でも日本国内で47位だから大した事ではないよ。それに私の師匠は兄だしね。 私より強いよ。」


兄は一度世界ランク6位の人と戦った事があるらしい。 結果は最後に負けたとか言ってたけど最低でも6位と戦える力を持ってるんだとは思う。


「まぁとにかく南側の新しいカフェができたらしいから、そこで茶でもしようよ。」


半年前にアイテム以外の味覚が解禁されたおかげで、今は飲食店の開店が相次いでる。

特にマイラット城下町の南側はカフェやケーキ屋さんなど女性に人気のお店が多い。


「いいけど、南側だとまたお兄さん遠くならないかな?」


「ヘイキヘイキ、なんならカフェ代も兄持ちにしようか?」


「もう! お兄さんが……」


ミウはブツブツと兄の心配事を言っているが、結局付いて来るらしい。

私たちはマイラット城下町げ入って行った。

次回は戦闘場面になると思います。

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