第9話:完成しない強さ
第9話:初めての街と、規格外のパーティ
森を抜けると――
世界が変わった。
石畳の道。
行き交う人々。
商人の声。
「……久しぶりね、この感じ」
ヴァレリアが目を細める。
「人、多い……」
セレスが少しだけ緊張した顔をする。
エルザは周囲を観察していた。
「……警戒は怠るな」
レオンは一言。
「ギルドだな」
冒険者ギルド
扉を開けた瞬間。
ざわっ――
空気が変わる。
視線。
視線。
視線。
「……なんか見られてない?」
セレスが小声で言う。
「当たり前でしょ」
ヴァレリアが苦笑する。
「男一人に美女三人」
「目立つな」
エルザが淡々と補足。
レオンは気にしない。
「登録する」
受付へ向かう。
「いらっしゃいませ」
受付嬢が笑顔で対応する。
「登録かしら?」
「ああ」
「では、ステータス確認を――」
水晶を差し出される。
レオンが手を置く。
ピキッ
「……え?」
ヒビが入る。
パキンッ
割れた。
沈黙。
「……壊れました」
受付嬢が固まる。
「よくある」
レオンは頷く。
「よくあってたまるか!!」
セレスが即ツッコミ。
周囲の冒険者たちもざわつく。
「おい、今の見たか……?」
「水晶壊したぞ……?」
受付嬢が慌てて別の水晶を出す。
「こ、こちらで……!」
セレス、ヴァレリア、エルザが測る。
問題なし。
「……この三人は正常です」
「俺も正常だ」
「違うのよ!!」
パーティ登録
「では、パーティ名は?」
沈黙。
「……考えてなかったな」
「センスなさすぎでしょ」
「……“光”とかでいいんじゃない?」
セレスが言う。
「安直ね」
ヴァレリアが笑う。
エルザが一言。
「……“光の剣”」
沈黙。
「それでいい」
レオンが即決。
「早いわね!?」
こうして――
パーティ【光の剣】が誕生した。
クエスト受注
掲示板。
依頼が並ぶ。
「……これね」
セレスが指差す。
【アンデッド討伐】
・場所:廃都跡地
・危険度:Bランク
・推奨:中級パーティ以上
「ちょうどいいな」
「ちょうどよくないのよ!!」
だが、エルザが頷く。
「……実力確認には最適だ」
ヴァレリアも笑う。
「報酬もいいわね」
「決まりだ」
受注。
廃都へ
街を出る。
「ねえレオン」
セレスが聞く。
「もし他のパーティがいたらどうする?」
「助ける」
即答。
「それで強くなるしな」
三人が同時に呟く。
「……それズルいわね」
廃都跡地
壊れた街。
崩れた建物。
そして――
「……多いわね」
アンデッドの群れ。
数百。
「……普通は撤退レベルだ」
エルザが言う。
レオンは一歩前へ。
「行くぞ」
四人が構える。
だが、その時。
「た、助けてくれ!!」
叫び声。
振り向くと――
別の冒険者パーティ。
追い詰められている。
「……間に合うか?」
ヴァレリアが言う。
レオンは、もう動いていた。
「余裕だ」
アクセル。
“消える”。
次の瞬間。
ドンッ!!
ホーリーバレット。
アンデッドがまとめて消し飛ぶ。
「……え?」
冒険者たちが固まる。
レオンは振り返る。
「下がってろ」
その一言で。
戦場の主導権が、完全に移った。
セレスたちも到着。
「やるわよ!」
「援護する!」
「前は任せろ!」
四人が動く。
光。
剣。
弾。
回復。
全てが噛み合う。
アンデッドの群れが――
一方的に削られていく。
数分後。
静寂。
数百のアンデッドが――全滅。
沈黙。
「……なんだ、あれ……」
助けられた冒険者が呟く。
「化け物か……?」
レオンは振り返る。
「無事か?」
「……あ、ああ……」
その目は――
完全に“見てはいけないものを見た顔”だった。
セレスが小さく笑う。
「ねえレオン」
「なんだ?」
「もう普通の冒険者じゃないわよ、私たち」
レオンは一言。
「最初からだろ」




