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世界に観測されていた俺たち、最強の影がその仕組みごと壊しました  作者: 慈架太子


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第40話:世界の外側

第40話:世界の外側


静寂。


重圧が消えたあとも、空気は戻りきらない。


ミレイユが最初に口を開く。


「……今の、普通じゃない」


セレスも頷く。


「魔法じゃないわね。仕組みが違う」


エルザは短く言う。


「戦い方も違う」


ヴァレリアが腕を組む。


「“戦う相手”じゃない感じね」


レオンは空を見ている。


その横で。


シオンが静かに立っている。


少し間。


レオンが言う。


「分かるか」


シオンは、わずかに視線を上げる。


「はい」


全員が見る。


シオンはゆっくりと言葉を選ぶ。


「この世界は――」


一拍。


「“観測されています”」


沈黙。


ミレイユ。


「……さっきのやつらが?」


「はい」


シオンは続ける。


「私たちは“中”にいます」


「彼らは“外”にいる」


セレスが眉を寄せる。


「……外から見てるってこと?」


「はい」


エルザ。


「干渉もできると」


「はい」


ヴァレリアがため息をつく。


「面倒すぎるわね」


ミレイユ。


「じゃあ、今までの敵は?」


シオン。


「端末です」


一言。


「操作されているだけの存在」


静かに理解が広がる。


セレス。


「だから、あんな動きだったのね……」


エルザ。


「判断が速すぎた」


ヴァレリア。


「納得ね」


ミレイユが言う。


「で、本体は?」


シオンは少しだけ目を細める。


「……あれです」


短い。


レオンが言う。


「勝てるか」


間。


シオンは、わずかに笑う。


「時間をいただければ」


その答え。


軽い。


だが。


誰も疑わない。


ヴァレリアが笑う。


「頼もしいわね」


エルザ。


「現実的だな」


セレス。


「無理はしないで」


ミレイユ。


「必要なら全部使う」


シオンは一度だけ頷く。


そして。


レオンを見る。


少しだけ。


柔らかく。


「……お任せいただけますか」


敬意。


だが。


どこか、個人的な色。


レオンは少し考える。


そして。


「任せる」


それだけ。


だが。


シオンは、ほんの少しだけ目を細める。


嬉しそうに。


一歩。


前へ出る。


影が広がる。


だが。


戦闘ではない。


静かに。


広がる。


ミレイユが気づく。


「……接続してる?」


セレス。


「世界に……?」


エルザ。


「干渉範囲を広げてるな」


ヴァレリア。


「やる気満々じゃない」


シオンは答えない。


ただ。


“触れている”


世界そのものに。


しばらくして。


影が戻る。


シオンが振り返る。


「……分かりました」


レオン。


「何がだ」


シオンは静かに言う。


「ルールです」


一拍。


「この世界は」


「観測されている間だけ、安定しています」


ミレイユ。


「……どういう意味?」


シオン。


「見られているから、壊れない」


セレス。


「じゃあ……」


エルザ。


「見られなくなれば?」


シオンは頷く。


「崩れます」


沈黙。


ヴァレリア。


「最悪じゃない」


ミレイユ。


「じゃあ逆に――」


「観測をずらせば?」


シオンは微笑む。


「はい」


「干渉できます」


理解。


一気に繋がる。


レオンが言う。


「やることは決まったな」


シオンは頷く。


「はい」


一歩。


近づく。


レオンのすぐ横。


距離が、少しだけ近い。


「……一緒に、壊しましょう」


静かに。


重くはない。


だが。


揺るがない。


レオンは一瞬だけ見る。


そして。


「ほどほどにな」


いつも通り。


シオンは、わずかに笑う。


「善処いたします」


その声音。


少しだけ。


柔らかい。


白銀と影。


並ぶ。


世界の外側へ。

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