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世界に観測されていた俺たち、最強の影がその仕組みごと壊しました  作者: 慈架太子


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第39話:降りるもの

第39話:降りるもの


静寂。


空が、重い。


ミレイユが先に気づく。


「……来る」


だが、今までと違う。


裂け目は開かない。


代わりに。


空そのものが、沈む。


セレスが息を呑む。


「……上から、押されてる」


エルザが視線を上げる。


「……降りてくるな」


ヴァレリア。


「嫌なタイプね」


レオンは動かない。


シオンだけが、わずかに目を細める。


「……来ましたね」


次の瞬間。


世界の“色”が、ずれる。


音が遠くなる。


風が止まる。


そして。


“それ”は、そこにいた。


人の形。


だが。


輪郭が曖昧。


視線を向けると、少しずれる。


存在が、定まっていない。


ミレイユ。


「……認識が合わない」


セレス。


「見えてるのに、掴めない」


エルザ。


「……やりにくいな」


ヴァレリア。


「これが本体?」


“それ”が、こちらを見る。


「……観測完了」


声が、直接届く。


「干渉を開始する」


その瞬間。


ドンッ


全員の動きが、わずかに止まる。


重い。


存在そのものが押される。


ミレイユ。


「……動きが鈍る」


セレス。


「魔力が……引かれてる」


エルザ。


「力が乗らん」


ヴァレリア。


「これ、フィールドね」


レオンは一歩前へ出る。


だが。


その動きも、重い。


その時。


シオンが、前に出る。


自然に。


レオンの前。


そして、振り返る。


「……少し、お時間を」


確認。


レオンは短く頷く。


「任せる」


それだけ。


シオンは一礼する。


「ありがとうございます」


“それ”が、シオンを見る。


「……影の個体」


「排除対象」


その言葉と同時に。


空間が歪む。


シオンの周囲が削れる。


だが。


消えない。


シオンは、静かに立っている。


「……なるほど」


一歩。


前へ出る。


重圧の中。


普通なら、動けない。


だが。


動く。


ミレイユ。


「……無視してる」


セレス。


「干渉、抜けてる……?」


エルザ。


「……違う」


「上から踏んでいる」


シオンが手を上げる。


影が広がる。


だが。


さっきとは違う。


“深さ”が変わる。


沈む。


空間ごと。


ヴァレリアが息を吐く。


「……また上げたわね」


“それ”が、初めて反応する。


「……変化」


シオンは微笑む。


「観測されるのであれば」


一歩。


「少しだけ、こちらも」


影が。


“触れる”。


存在に。


初めて。


“それ”の輪郭が、揺れる。


ミレイユ。


「……触った」


セレス。


「干渉した……」


エルザ。


「通したな」


“それ”が言う。


「……不可能」


シオンは首を傾ける。


「そうでしょうか」


さらに一歩。


影が、深くなる。


“それ”の存在に、絡む。


揺れる。


初めて。


“ズレる”。


「……誤差発生」


声が、わずかに乱れる。


シオンは静かに言う。


「あなた方は」


「整えすぎです」


一拍。


「隙がありませんが」


「余白もありません」


その言葉。


影が、広がる。


“それ”を包む。


完全ではない。


だが。


明確に干渉している。


“それ”が動く。


初めて。


“逃げる”ように。


距離を取る。


沈黙。


ミレイユ。


「……下がった」


セレス。


「避けた」


エルザ。


「通るな」


ヴァレリア。


「面白いわね、これ」


シオンは、そこで止まる。


追わない。


“それ”を見る。


「……いかがいたしますか」


静かに。


「続けますか」


一瞬。


沈黙。


“それ”が答える。


「……停止」


一拍。


「再評価」


影が、わずかに戻る。


シオンも下がる。


レオンの横へ。


半歩後ろ。


位置を戻す。


“それ”は言う。


「影の個体」


「危険度、上位」


「観測継続」


一拍。


「次は、切り替える」


意味は分からない。


だが。


危険。


“それ”の存在が、薄れる。


消える。


重圧が消える。


空気が戻る。


全員、息を吐く。


ミレイユ。


「……今の、別格」


セレス。


「今までと違う」


エルザ。


「真正面は危険だな」


ヴァレリア。


「でも、通じたわよね」


視線が集まる。


シオンへ。


シオンは静かに立っている。


何も変わらない。


だが。


確実に。


“届いた”


レオンが言う。


「……どうだった」


シオンは少し考える。


そして。


「悪くありません」


わずかに笑う。


「触れましたので」


レオンは頷く。


「ならいい」


それだけ。


だが。


シオンは、ほんの少しだけ目を細める。


嬉しそうに。


白銀と影。


並ぶ。


世界の外側へ。

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