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世界に観測されていた俺たち、最強の影がその仕組みごと壊しました  作者: 慈架太子


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第38話:観測の外側

第38話:観測の外側


夜は静かだった。


だが、空気は変わっている。


動かない軍勢。


すべて影の中。


ミレイユが短く言う。


「……処理、どうする?」


レオンは少しだけ考える。


「置いておけ」


ヴァレリアが肩をすくめる。


「資源にするには多すぎるわね」


エルザ。


「再利用は可能だ」


セレス。


「魔力の残りも安定してる」


シオンは静かに答える。


「維持できます」


レオンは頷く。


「なら、それでいい」


それで話は終わる。


少し間。


ミレイユが顔を上げる。


「……来るわ」


今度は、戦いの気配ではない。


“繋がる”感覚。


空間が歪む。


だが裂けない。


代わりに。


像が浮かぶ。


遠い場所。


巨大な空間。


無数の光。


その中心に。


複数の影。


ミレイユ。


「……中枢」


セレス。


「本部……?」


ヴァレリア。


「随分あっさり見せてくるじゃない」


エルザは黙って見ている。


声が響く。


「観測対象、更新」


複数の声。


重なっている。


「干渉強度、上昇」


「優先度、再設定」


ミレイユが低く言う。


「……こっち、見られてる」


セレス。


「完全に」


レオンはそのまま立つ。


像の中。


一つの影が前に出る。


「個体レオン」


「確認する」


一拍。


「お前は“外”か」


沈黙。


意味は分からない。


だが。


重い。


レオンは答える。


「違うな」


短い。


「ここにいるだけだ」


像の向こう。


わずかに揺れる。


「……不明」


「だが」


「影の個体は、異常」


視線が移る。


シオンへ。


全ての“それ”が。


見ている。


空気が沈む。


シオンは、ゆっくりと一歩前へ出る。


そして。


軽く頭を下げる。


「初めまして」


穏やかな声。


「観測されるのは、あまり好きではありませんが」


一拍。


「必要でしたら、お応えいたします」


その態度。


余裕。


だが。


明確に一線を引いている。


像の中の影が言う。


「……危険」


「分類不能」


「排除候補」


セレスが一歩動く。


だが。


シオンがわずかに手で制する。


止める。


「構いません」


静かに。


「それが、そちらの判断ですので」


ミレイユが呟く。


「……余裕すぎる」


ヴァレリアが笑う。


「いいわね、それ」


エルザ。


「動じていない」


像の中。


「……決定」


「本体介入、準備」


その言葉。


空気が変わる。


セレス。


「……来る」


ミレイユ。


「さっきのとは違う」


レオンは変わらない。


ただ、見ている。


像が揺れる。


消える。


静寂。


少し、長い沈黙。


ヴァレリアが息を吐く。


「……で?」


「世界規模ね、これ」


ミレイユ。


「確定」


エルザ。


「戦争だな」


セレス。


「避けられない」


シオンは静かに立っている。


その横に。


レオンが来る。


並ぶ。


少しだけ。


近い。


シオンが小さく言う。


「……大きくなりましたね」


レオン。


「そうか?」


シオンは微笑む。


「最初にお会いした時は」


「ここまでではありませんでした」


レオンは少し考える。


「お前が勝手に広げてるだけだろ」


素の言葉。


シオンは、わずかに笑う。


「否定はいたしません」


少し間。


風が吹く。


シオンは視線を前に戻す。


「ですが」


「この先も、共に進ませていただきます」


一拍。


「どこまででも」


重くない。


だが。


揺るがない。


レオンはそれを聞いて。


小さく頷く。


「……ああ」


それだけ。


だが。


十分だった。


白銀の光と影。


並ぶ。


静かに。


世界の中心へ。



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