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世界に観測されていた俺たち、最強の影がその仕組みごと壊しました  作者: 慈架太子


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第35話:外の幹部

第35話:外の幹部


夜。


静かだった。


だが。


空が、わずかに歪む。


ミレイユが顔を上げる。


「……来る」


セレス。


「さっきと違う」


エルザが一歩前へ出る。


「数が少ないな」


ヴァレリア。


「少数精鋭ってやつね」


レオンは動かない。


そのまま待つ。


空間が、裂ける。


だが今回は違う。


乱暴ではない。


静かに開く。


そこから現れたのは――


一人。


男。


装備は黒。


装飾は最小限。


だが。


“圧”がある。


立っているだけで分かる。


さっきの三人とは、別格。


男は一歩踏み出す。


周囲を見る。


「……なるほど」


落ち着いた声。


「観測通りだ」


ミレイユが低く言う。


「……さっきの上位」


セレス。


「危険」


エルザ。


「強いな」


ヴァレリア。


「いいわね」


男の視線が、レオンに止まる。


「対象確認」


一拍。


「レオン」


ゆっくりと歩く。


「我々の領域に干渉した個体」


足を止める。


「評価に来た」


沈黙。


レオンはそのまま答える。


「そうか」


それだけ。


男の目が、わずかに細くなる。


「……余裕だな」


シオンが一歩前へ出る。


だが位置は守る。


レオンの半歩後ろ。


「失礼を」


静かに頭を下げる。


「我が主に対し、その距離は不要です」


男はシオンを見る。


一瞬。


沈黙。


「……興味深い」


「お前が、あれをやったのか」


シオンは微笑む。


「少し、触れただけです」


男。


「触れた、か」


一歩。


近づく。


その瞬間。


空気が変わる。


重い。


エルザが踏みとどまる。


「……圧が違う」


セレス。


「魔力が……濃すぎる」


ミレイユ。


「さっきの三人の……上」


ヴァレリア。


「やっと本命ね」


男は止まる。


「一つ、試す」


その言葉と同時に。


消えた。


次の瞬間。


シオンの前。


速い。


だが。


シオンは動かない。


刃が振られる。


止まる。


影が、絡む。


だが――


「……浅いな」


男の声。


影が、裂ける。


シオンの影が、初めて“崩れる”。


ミレイユ。


「……破られた」


エルザ。


「対応してる」


セレス。


「押されてる」


シオンは、わずかに目を細める。


だが。


笑っている。


「……なるほど」


一歩、下がる。


距離を取る。


男は追わない。


「その力」


「模倣か」


シオンは首を傾ける。


「再構成です」


男。


「近い」


沈黙。


次の瞬間。


レオンが一歩前へ出る。


それだけで。


空気が変わる。


男の視線が動く。


「……お前か」


レオンは自然に立つ。


「どうだ?」


問いでも、挑発でもない。


男はわずかに笑う。


「悪くない」


「だが」


一歩。


踏み込む。


衝突。


ドンッ


空間が揺れる。


二人が止まる。


互角。


初めて。


拮抗。


ミレイユ。


「……同格」


エルザ。


「いや」


「まだ上がある」


セレス。


「……感じる」


ヴァレリア。


「いいわね」


シオンは静かに見ている。


その目。


観測。


男が距離を取る。


「確認した」


一拍。


「危険だな」


レオン。


「そうか」


男は振り返る。


「今回はここまでだ」


「次は、排除では済まない」


裂け目が開く。


戻る。


その直前。


男が止まる。


「名前は?」


レオン。


「レオン」


男。


「……覚えた」


消える。


裂け目が閉じる。


静寂。


ミレイユ。


「……やばいの来た」


セレス。


「次、来るわね」


エルザ。


「準備がいる」


ヴァレリア。


「面白くなってきた」


シオン。


「ええ」


レオンを見る。


「次は、本気でしょう」


レオンは空を見る。


「だろうな」


静かに。


白銀の光が揺れる。


戦いは、次の段階へ。

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