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後編・語られしは

(─もうあの時は、母にも妹にも少ない友人にもめちゃくちゃに笑われまして!本当にいるんですよ、テストの答案に名前書き忘れる人って。マンガの中だけじゃないんです…でも半分だけです!半分は書きましたから、そこは汲めると思うんです)

   『名字はかいたんだね、わすれたのはいちどだけ?』

(不名誉な疑いをかけられました!?把握している限りは一度のはずです。あれ、なんか不安になってきたな…。)

(あのー今さらですが、聞いていい事か分からないのですが。とりあえず聞かせてください。あなたをなんとお呼びすれば良いでしょうか?)

   『よばないよ、よべない。聞くだけだから』



聞くだけとは?

困ったな、学生編はそろそろネタは尽きた。社会人編はまだ最近のことだから、プライベート感が強くて話す気がおきないぞ。

かくなるうえは─


(いままでの恋愛の話とかします?)

   『?話したいのならば、聞いているよ』

(…ムリでした!わたしだけが恥ずかしいやつじゃないですか!罠だった!)

   『わなはないよ、なんでもいいんだよ』

(あの…)

(それなら、あのっ!わたしはこれからどうなるんでしょうか?お話が終わったら、わたしは?)



とうとう聞いてしまった。いやでも、もうこれ以上先送りには出来ない。話せば話すほどに、()()()が消えていくような薄まっていくような気がする。

なのにそれを、怖いと思わないなんてどうして─


   『話をしよう、あなたのはなし』

   『語られるのは、あなたの言葉だから』



(もしや、哲学的な話ですか?苦手分野です)

   『哲学は、すでに語られしものだよ』

(本当にすみません。どうか分かりやすく教えてくれませんか?)

   『わたしが聞くのは、あなたの言葉だけ』

(つまり?えーわたしが話せなくなったときは?)

   『話せないのは、話がおわったとき。まだ話せるでしょう?』

(それってつまり…)



話せない=わたし、消滅のお知らせですね。分かります。死んでました。

やばいな、なんで本当に─



(怖くないのはなんでなんだろうな、未練とかなかったのかな自分、薄情すぎやしないか自分)

   『感情は、そとによるものだから』

   『死んだから、うちにあるものだけがここに』

(わたしは怖いものが本当はないってことですか?)

   『すべては、ただあるだけ』

   『あなたはあなた。そとはそと』

(難しいですよ、分からない)

   『言葉はそれを語る。それは水、それは光、それは命』

   『それは?あなたの言葉はあなたを語る』

(分からないです、どうしてわたしの話を聞くのでしょうか?)

   『言葉は不完全だから』

   『同じ音、同じ文字でも、あなたとそとは違うものがこもる』

   『おなじものをみても、あなたとそとにやどる言葉は違う』

   『だから、聞いているよ』

   『語られしは、あなた』




急に思い出されたものがあった。あのコメント。あの健気で、まっすぐな祈りの言葉。





(話せってなに。わたしのことなんかを話て、それで一体なにになるの。わたしの話そんなに重要度高いです?いまこの瞬間、幸福な人も、不幸な人や動物たち、環境問題だってたくさんあって、わたしは…死んで。でもわたしの人生はおしなべて、不幸なものではなかったかもしれないね。だけど生きるのは決して楽じゃあなかったよ。人間関係がうまくいかない時も、治安が悪いと世の中暗く感じることもあったりした。大きな災害の日の、あの絶望感と恐怖の日々を今も忘れられない。この日本だけでも痛ましい交通事故がどれだけあることか!そういえば、わたしも不幸よりの事故死ではないでしょうか。病気と闘っている人もいる。本人も、その家族の苦しみもどれほどのことか。生まれ持った体によって心も体も傷つく人もいるのは知っていますか?この地球という世界は、異常気象ばっかりで。そうです、環境破壊は世界中の動植物を苦しめて、死なせて、絶滅までさせていて、人間やばすぎません?なんと戦争だって起こっている国も有るんですよ。だけど、だけど!わたしの知ってることなんてほんの世界の一部で!人間やばすぎるでしょう!でも人間にだっていいところが有るのも知ってはいるんです。今までに、小さなものも大きなものも、たくさん見聞きしてきました。だけど、そんな、わたしは!ただ見てきただけのわたしは!……人に語れるほどのものなんて何もない。虫は嫌いじゃないから、ころすより逃がす派ですけど、動物も好きですけど。二次元に推しという嫁がけっこう沢山います。人間として何かを残せたわけでもなくて、子供もいないし、親より早く死んだし。実はなろう的な展開にならないかまだ諦めてなかったり。ないですかね?ないか。あーいう題材の作品を読みすぎたせいなのかなんなのか、ほんと、わたしはこんなので。──わたしは、あんな風にきれいな祈りも、言葉も、でてこない)

(こんなわたしの言葉を、話をきいて、一体なにになるというのですか?)





   『ただ、あなたの言葉だけをわたしは聞く』

   『言葉は語るものなれば、聞くことで言葉は在る』

   『うちなれど、たしかに在るものよ』

   『言葉は振るえ、伝わる。言葉は光り、伝わる。言葉はそのこころが、思いいたりしものである』

   『言葉はあなたを見つめ、あなたは言葉を見つけるだろう』



………いや、むっず!?だから哲学は無理!

てか宗教?宗教なんですか?日本は宗教は自由です!もう神様じゃん、もうそんなん神託じゃん!!?



小さく笑い『声』が震える気配がする。

いやぁ、テンパりましたね。まぁスベるよりうけて良かったし、べつに堂々と笑ってもいいですよーってあれ?なんだ?わたしの声が、出ないみたい?



   『すべてはそとに。そとにありし命はすべてうちをもち、うちにありし言葉は、語らずとも、その存在を表す。』

   『あなたの言葉は、あなたを語り、あなたはうちに言葉を見つけた』



ねぇ、やっぱりわたしはきえるの?



   『生あれば、終わりもまたある。』



怖くはないけどさ、終わりってこんななのか。まさかこんな、





















   『()()()()で終わるなんてねー、なーんかイタいきもするね?』

おまいう!?じぶんでいいますか!!?

くっそー、へんだとおもったんだ、あんな偉そうに語っておいて!まじでそれ!?じぶんなの!!?

なんだよこんな、ひとりってことじゃん。さいごはこんなひとりで




   『さいごはだれしもひとりだよ。人も、動物も。だけど、そのとき。そのうちに、幸福によってしる言葉があるといいよね』

なによ、それ…

   『わたしにもちゃんといのりはあったってこと』

そうなの?

そっか、そうだったのか。

それならきっと、わたしの人生は。




それならわたしの人生は。

うん。

───わるくはなかったね!!

はい、後書きです。

表書きにもありますが、供養で載せています。

読んでくださった奇特なお方、本当に、ありがとうございます。

書いてはとまって間が空いて。まさか完成する日がくるとは(遠い目)


かっこ多くて読みづらさ満点ですみません。これ以上は私には無理でした。


作品についてはもう評価はなしでよいと思います!(爆)貴重なお時間、ありがとうございました!!

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