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第8話 元気過ぎな新しい家族

家族が増えます。

 貴音に運ばれたパトカーはゆっくりと降ろされ警察官と署に入って行く。


 警察署 PM6:09


「次アレをやったら逮捕しますよ、同乗者1人忘れてきましたし」


 空ではビビり散らかしていたのに降りたら威圧的に怒る警官。


「いやー......楽かなと......すみません」


(急に威圧的やん、ビビりつつ最後の方楽しんでたやん)


「まあ良いでしょう、あなたの力の強さは良く分かりましたし。では本題ですがこの人から話があります。いや、一応人では無いですかね」


 そう言うとカラスが一羽こちらに飛んできた。


「どうも!こんにちは!吾輩はカラスである、名前はまだ無い系カラスです!さっきその本を読んだんですよね!あ!それと牛本人からあなたの話を聞きました!体格差があるのに負けるどころか善戦するなんてすごいですねぇ〜あの牛も怒りつつも、力を認め危なかったと言ってました!あ!あとはカレーが............」


 ペラペラお喋りが止まらないカラスに警官が遮って言う。


「本題を」


 かなり強く言うがカラスは気にしない。


「そうでした!そうでした!結論から言うと牛、通称ミノタウロスは人類を相当憎んでいます!特にケリがつかなかった消化不良のあなたに!私達ミュータントと呼ばれる進化した動物は、あるミュータントにテレパシーで呼ばれました。それは二足歩行をする雌豚でした!その豚はミュータンツセイヴァー、マザーなどと呼ばれていました!私の知る限りの彼女の能力は強いテレパシー、同胞に対しての能力、知性向上などです!早急に対処しなければマズい事に人類はなるかもしれません!!大量のミュータントの軍勢なんて!ああ!恐ろしい!!」


「やっば〜......ん?てか、なんでカラスちゃんは私達に教えてくれるの?」


 情報を与え懐に入り込むスパイなのかと怪しむ貴音。


「人類と人類が生み出したものは面白い!だから減ったり無くなると悲しいのです!私としては和解をして頂きたい!」


 この発言を聞いて、内容や感情的な声の感じから信用しても大丈夫かなと思う貴音は、和解にはハードルが高すぎる事に頭を抱える。


「和解か......首相もミュータントには敵対的で牛は私に殺意向けているんでしょ?豚も多分人類を憎んでいるようだし......私は良いんだけど他がね、民主主義だから私1人でできるのは知名度を利用した扇動くらいかな............」


「困りましたね〜!......では!ミーティアンのフリでもして攻撃や差別などから隠れますかな!」


「え?」


 貴音が困惑する間も無くカラスは人型になった。目は全て真っ黒、背中には大きな黒い翼に鳥の足。それ以外は可愛らしい女の子に見えた。大体10〜12歳前後の背丈と顔つきだなと貴音は見ているとカラスは自慢げに言う。


「どうですか!どうですか!?この姿は人ベースなのでミーティアンとして誤魔化されるでしょう!なんせミュータンツセイヴァーに能力と知性を更にあげてもらった時に出来る様になったのですから!!」


「す、すごいな......君の能力はそれだけ?」


(目の黒さが都市伝説のブラックアイキッズだなぁ......いやそんな事よりマズい、豚は神の領域の様な力を持っている......カラスちゃんの言う通り潜在能力を引き出されたミュータントの集団と戦闘になんかなれば、私は勝てる気がしない......鍛えるか?能力向上に意味があるかわからないが......)


「今のところ口からそれなりサイズの火球を出せますね!見た目が人でもカラスでも関係なく使えます!着弾すると爆発するか炎上させたりします!」


 そう話していると警官がカラスに近寄る。


「それやるなら服を着て、せめて下着くらいはオンオフしても脱衣しない様に訓練できないの?」


「おお!失敬!多分出来るでしょうが大変ですね!」


 そう言いながらズボンに手間取りながらも服を着る全裸だったカラス。


「翼はどしたんすか?」


「取り敢えず計って穴を開けたから問題ないです」


「ほへー......あ、名前どうするんだ?」


「んん......先程も言いわせて頂きましたが、当然野良のカラスに名前など無いです!強いて言うなら喋るカラスと人間から呼ばれています!」


「それは名前じゃないのよ......じゃあ、北欧神話に出て来る思考のカラス、フギンと日本神話の八咫烏から取って八咫(やた)フギンなんてどうだ?」


 貴音はミュータントを人として社会に溶け込ませたいので苗字も考えた。


「おお!人間と同じく苗字みたいなのもあって良いですな!ありがとうございます!!ならば!ならば!!あなたは私のマスター!!!」


「マスター......?」


「そうです!私はあなたのペットになります!ならせてください!」


「その姿でペットになるって大声で言うのはやばいから......友人になろうか......」


「ご友人!まさか!まさかの!!対等に扱ってくださるとは感謝感激!今まで喋るだけで気味悪がられて殴られていたが、ここに来て最高潮に嬉しい事が!!」


 殴られていた、その一言が貴音の地雷を踏んだ。


「殴ら......れていた?誰にだ?」


「えっ......え......い、いやーここに来る前の知らぬ通行人にですから............」


 カラスは嘘をついた、実はロリコン警察官にもレイプされかけた事を。ただ重要な情報を持っていた事、人間より力が圧倒的に強いことから未遂で済んだのである。そして嘘をついた理由はもし自分の為に怒ってくれているなら人間同士の争いが起こると思ったからだ。それは虚しい、嘆かわしいと自分の辛い出来事は言わない。


「ここの人間には何もされていないよな?怪我は?」


「......大丈夫です!心配なんて感謝です!!」


「............そうか、じゃあウチに来るか?」



(この顔は何もされていないのは嘘だな、この子をこのままにすれば危うい、手が届く範囲の助けが必要な人間は助けないと............)


「!?!?是非!是非とも!!私を連れて行ってください!!」


 その返事を受けフギンに笑顔を向けると、警官の方を向いて言う。


「勝手に決めちゃいましたが、連れて行って良いですかね?」


「逆に持って行ってください......必要な情報は聞き出したのでもう存在が不要。むしろ、喧しくてかないませんから」


(本来なら署長の命令でこのまま留置所のスペースで性処理玩具にして、カラス形態にさせてから殺処分だなんて言わなくて良かったぁ〜)


 この対応と表情に少しイラッとしたが適当に返事をして、貴音はフギンと共に飛び立つ。空で2人は会話をした。


「いやー!人間と一緒に空を飛ぶなんて驚きますな!」


「いや、フギンももう人間だから。私からしたら一緒に喋れるのが驚きだね。あとタメ口で良いよ、年齢差なんてわからないし、上下関係とか嫌いだから」


「本当に!?人間優しいね!でも特に貴音は優しい!」


 ニッコニコではしゃぐ子供の姿のフギンを見て微笑む貴音。


「ふふっ。にしても順応が早いね......あと人間にも優しくない奴はいるから気をつけてね......私は焼き鳥好きだし......」


(あー忘れていた。シュヴァルが妬んで怒るかもしれん、てか家族にも受け入れてもらえるか?メッセ送っとこ。部屋は余ってないから2人とも俺の部屋なのは確定だが......)


 猫の事を忘れていた貴音は今更無理だなんて言えないので帰宅し次第ゴリ押しするつもりで考えた。


――――――――――――――――――


 自宅 PM9:22


「ただいま〜メッセージで言った種族が見た感じ多分ハシブトガラスの八咫フギンを連れ帰ったよ〜あと女子の服も貰ってきた」


 そう言うと進んで話し始めるフギン。


「初めまして!貴音に名を貰った八咫フギンです!貴音の家族さんのお名前は聞いています!」


 そう言いながら翼と手を広げるフギン。父が反応する。


「おお〜黒くて可愛いじゃないか!目だけは正直、怖いが」


「よろしくねフギンちゃん、貴音の部屋しかないけどごめんねぇ」


 貴音は杞憂だったなと思い安心した。


「大丈夫です!!」


「あったばかりだが家族なんだから敬語はいらないぞ!あとご飯もあるぞ!」


「貴音の家族は優しい!ほら人間は優しい!!」


「皆がこうであってほしいが、うちがおかしいだけだから......他の人間に騙されない様にね......あれ?シュヴァルー!同胞が来たぞー!」


 そう叫ぶと恐らく貴音の部屋から出てきた人間態のシュヴァルが2階から降りてくる。


「わあ!髪が真っ黒!」


「いや、カラスに言われたくないんだけど......まあ、貴音が家族と認めたんだから、同じく受け入れてもらったシュヴァルは従うだけ〜よろしく〜」


 なんと意外にも争わず手を差し出した、それを手に取るフギン。


「......良かったぁ............ん?そう言えば、私は数日まともに食事していないな?しかも、睡眠もしていない気がする......」


 急に不安感に襲われる貴音に父が言う。


「お前は肉体強化系の能力だからじゃないか?まあ気にする必要は無いと思うぞ。あと病院からDNA検査とか届いたぞ。前の男の時とDNAがほぼ同じだったぞ!お前はお前だ!安心しろ」


「マジで!?良かったぁ......まあどこまで不眠絶食でイケるか試しても良いな」


 そんな事を呟いているとピッタリくっついている2人に話しかけられる。


「貴音!早くご飯がある場所に連れて行って!!」


「ね〜約束通りシュヴァルを甘やかして!」


 2人は笑顔で小さい手を伸ばしてわちゃわちゃしている。弟だけでは無く妹まで出来た気がした貴音であった。


「ああ、こっちだよ。シュヴァルはご飯食べてからね〜」


(......なんだか幸せだ、可愛い妹が出来た気分。俺は妹が欲しかった、いや今まで妹がいないのに何故かそれに違和感感じているくらい虚無のシスコンだからなぁ............いや、あと奏音も無愛想な割に可愛いけどもジャンルが違う)


 自分の中で意味不明な言い訳などしてこの日はシングルベッドで人間態2人と寝る事に。寝る準備を終えて下着姿で部屋に戻るとクソみたいな会話をしていたフギンとシュヴァル。


「フギン!知ってた!??貴音は変態でロリコンだよ!」


「......なんと!まあ、貴音だから害はないでしょう!」


(貴音は絶対酷い警官とは違う。興味本位で羽も毟りとろうとしないし、名前もくれたのだからここで言う変態は冗談なモノ)


 少しトラウマになっているが今日会ったばかりの貴音にかなりの信頼を置いているフギン。


「だねー貴音はぁ〜変態だけどまともだから」


「変態でロリコンで悪かったな............もうこれ以上、他の人に言うなよ......」


(ロリコンというか童貞拗らせているのとストライクゾーンが広過ぎるだけだ。ロリコンは幼い子しか愛せないが、俺は守備範囲が広いだけなんだぁあ!!)


 そうして脳内で発狂する貴音はシングルベッドで何故か人間態で3人で寝た。両脇の彼女らを落とさない様に抱き寄せていた。そしてやはり貴音は眠る事が出来なかったのでスマホで映画を見ていた。

ちなみにフギンのうるささの系統は煉⚪︎さん系です。

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