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第5話 相棒との出会い

第0話より時系列前の話です。

 隕石が落ちると世界的に大々的に公表されてからは犯罪にテロの嵐、それもどれも極悪非道なモノばかり。どの国も治安悪化は避けられず警察や軍の装備の見直しや給料アップ待遇改善などで人員確保をしようとしても、犯罪の方が得してしまうので悪人は増えるばかり。


 俺は死ぬのがとてもとても怖かった、ならばただ死ぬくらいなら好きにできる悪の道に行こうかと思った。あの世があるなら、もし地獄があるなら仏教的に考えたらイカれた桁の年数の罰わ味わう事になる、その間は転生や消滅はせず自分が自分でいられると思ったからだ。〈この思考回路の通り貴音はかなり病んでおり正常では無い事がわかる〉


 それに今の世界で善人でいるメリットはほぼ無く、悪人から人助けした人の見せしめの処刑が日本で起こるレベルであった。そうして数週間色々と悩んだり、武器作ったりpcいじったり、ちんこいじったりしていると自宅を襲撃されてしまう。


 俺は何よりも身内や血の繋がり、友人などを重視する。その家族に手出しされた事は赦せぬ事、怒り狂った俺は運動不足の精神病ニートであったが自作武器で家にいた両親を守り撃退に成功。だがそれでも怒りが収まらず追撃しにフル武装で自宅を出たんだよな。


――――――――――――――

 

 隕石落下公表から数週間後の街中 時刻昼過ぎ


「三下チンピラのゲボカスがッ。ヤケになって俺の家まで襲い暴れやがって......全員警察に突き出してやるわ............あー賞金首だったらお得だなぁ」


 こんな時でも一攫千金というか、半年で終わるかもしれない人生の一発逆転のチャンスを探している貴音。


 悪党は単独で動く事をやめ、集まり徒党を組んで襲撃を開始。各地で民間人や警察官、自衛官が亡くなってしまった。それを聞くたび関係のない俺は悲しくなった、そして襲撃の当事者になると恐怖より苛立ちが勝ち、逃げて行く2人を尾行していた。人通りの少ない道のよくわからない路地裏の様な道でもう1人と合流した。

 そしたら、そこには服を剥がれレイプ寸前に見える女性が居た。俺は咄嗟に警察と救急に通報し、武器を準備して様子を伺った。明らかに劣勢の女性は威勢が良く暴漢に話しかけていた。


「早くやめなさい!こんな事をしたら損をするのは貴方達よ!ご両親も悲しむわ、早く考えを改めて自首なさい!」


 そう地べたに仰向けに寝そべっている女が言う。


「うっは!流石キャリアのエリート警官サマは違いますなぁ?俺らを邪魔する課長さんを狙った甲斐があったもんだ。......チッ、あ゛ーうぜぇ正義感だな。それにその歳で課長とかマジで腹立つぜ。......あ?あー、お前ら戻って来たか、どうだった?あのいかにも金ありますみたいな家には金目のものがあったろ?」


 底辺人生の30半ばの男にとってエリートは何よりも腹が立つ存在であった。それも26歳にて警視庁で警視の課長だなんてムカつくに決まっている。

 

「いやーしくじったわ〜......あの家の若い奴がナイフとか自作っぽいスタンガン手袋つけて反抗して来やがったよ、こっちだけ怪我しちまったしまだ痛えから無理だ。ありゃあ把握してない同業者かイカれた野郎だ。なぁ?婦警さんよぉ?俺らよりもそーゆーバカを取り締まって欲しいもんだねぇ??」


 と顔を近づけて嫌味ったらしく男が言うが反論する婦警。


「スタンガンの自作、所持自体は違法ではないわ。それに、どう考えても正当防衛よねぇ?どちらがバカかしら?今早くもっと、これしたらああなるって未来も考えられない出来損ないの頭で考えたらどう?でも貴方達はバカで有名なダチョウより脳があるのかわからないけれどねぇ......?」


 と余裕とばかりに嘲り笑う婦警に男達は憤慨。


「じゃかましいわ、ボケが!処女じゃ無くて(タマ)も取ったろうかっ!」


 そう言いながら足を振りかぶって彼女の顔を蹴ろうとした瞬間、我慢出来ずに飛び出してしまう。


「ボケはテメェだろうがァ!俺んち襲撃しやがってよ。それに......その警官?も離せよっ!そ、それと〜......そうだ!女の顔に傷付けようとすんじゃねぇっ!テメェらチンピラと違って女性で更に警察官は傷跡で箔がつくとか無いんだわ」


(し、しまった......意味わからん事言ってしまったし、この武器を警官に見られてしまった......って言ったって今更Uターンで見捨てられる訳ねぇし......)


 この時の俺の内心はガクブルであった、だが底辺学校出身故に舐められたら殺すが染み付いていた為の反射で飛び出たのである、つまりバカ。だが己の装備には自信があった、そして色々と考えていると男1人がこちらに向かって走ってくる。


「さっきのかっ!この野郎、よくも木刀で目潰しと喉仏を突きやがったなぁ!ぶぅち殺してやるわぁあっ!!」


 その叫ぶ男の手にはホームセンターによくある大きな消防斧であった。頭目掛けて振りかぶる斧を俺は大きめのナイフで受け止めた。


「ぐっ!!......あっ!お、折れた......」


 斧には勝てず数千円の安いナイフは折れてしまったが、斧を逸らし避けたその瞬間に相手が油断した所を背負って来た木刀で顔面に向けて振りかぶるとど真ん中にぶち当たり鈍い音を立てた。


「ひ、ひでぇ......ぐふぇ......ウッ......」


 殴られたチンピラは奇声を上げて頭から流血し倒れた、残り2人はチビにやられるなんてまさかの事態に唖然としフリーズ、これを好機と見て俺はヤケクソに飛び込んだ


「この卑劣なクソカス以下がぁああっ!!!!」


 その怒りの叫びにチンピラ達は更に怯んだ。


「「なっ!??」」


――――――――――――――――

 

 俺は運が良すぎた、元剣道部主将(人数不足故に)だったとは言え、最近ではまともな運動もしていなかったので危なかった。終わってみて恐怖なのか武者震いなのかわからないが震えの止まらない情けない手で、彼女に自分のお気に入りの上着を着せて胸を隠し立ち上がらせる為に手を伸ばした。


「既に警察、救急には通報しています。怪我とか......だ、大丈夫ですか?俺は腕とかちょっと切られちゃったけど見た感じ平気なので気にしないでください」


 彼女は俺の手を取り立ち上がると口を開く。


「服だけを切り裂かれただけです、ありがとうございます............本当にっ......ありがとうございます......」


 警察官だから気丈に振る舞っていたが安心したからなのか泣いてしまった。俺は唸っているチンピラを縛って集めて置いて立ち去ろうとした。だが彼女がこちらに大声で呼びかける。


「待ってっ!待ってください!警察として貴方を無視する事は出来ません」


 そりゃあ......そうか......まあ捕まるよなぁ............やっぱり俺も悪い事すれば良かったかなぁとその時は思った。


「まあ、そうですよね......私も逮捕ですかね......」


 正直、この時は潔く逮捕されるつもりなどさらさら無く走って逃げようとした。だが呼び止めた理由が違かったのであった。


「ち、違うっ!貴方も救急車に乗らないと危ないですっ!こ、こんな私が言う事では無いでしょうが、市民を守るのが警察官の義務です。お気づきでは無いのかもしれませんが、あ、頭からかなりの出血が............」


 ものすごく心配そうに俺を見る彼女、頭に手を伸ばすと髪が血でネチョネチョに......それもだいぶ血生臭い。恐らく、あの時斧を逸らし切れずに怪我をしたか、ナイフの破片が刺さったのだと思う。


「ハハッ、本当だ......カッコつけて去ろうとしてダサいっすね......俺」


 自嘲気味に言う、頭の傷のせいなのか恥ずかしさなのか頭が熱かった。


「卑下しないでください、貴方は一生忘れる事の無い恩人である事に違いありませんっ。貴方こそ安静にして待っていた方が良いかと思います。それに貴方は正当防衛になるはずです!私が!私の命にかけても貴方をこの下劣な奴らと同じ犯罪者にはさせませんっ!」


 彼女は急に怒った様に俺に話しかけ始めたが、最後は優しく気遣う様に話してくれた。


「命と純潔な乙女が守られた今に、命を賭ける......だなんて言うもんじゃあないですよ......お姉さん。ちなみに名前は何と言うのですか?私は梶原貴音と申します、因みに無職です。よっこいしょっと......」


「警視庁の警視の九条未来(みく)です......ってチンピラの山に座るのは流石にダメです......」


「あっ......」


――――――――――――――――


 やはり、何度思い出しても偶々だし運が良かっただけだ。感謝される様なモノでは無いと貴音は思った。


「まあ......アレはたまたまっすから!寧ろ、私がもっと早く動けていたら......初撃を避けていたらって......」


「......見た目は変わっても、本当に......中身は変わらないのね......私に取っては英雄(ヒーロー)よ......」


 そう優しく微笑む彼女を見て貴音はドキッとした。


(っ!......これは?......まあいい、とにかく九条さんが助かって良かった。彼女は強い、医者の予想より早く退院できるだろう......それよりもこんな危ない職を、まともな支援無しに続けてしまっては九条さんは死んでしまう。どこからでも良い白馬の王子様を用意して寿退社でもさせないとな............)


 九条の愛情は空回り、貴音には届いておらず自身が白馬の王子様だなんて全く頭に無い。貴音自身は九条に好印象、異性として見る事自体は可能。だが、ネガティブな為にエリートと無職では不釣り合いと考えており、もし付き合えたらな、なんて事も考えない様にしている。一方通行の愛は虚しいモノだから。


「あ、ありがとう......取り敢えず、今日は帰るよ」


 暗い顔を見せぬ様、扉の方に向き歩こうとすると腕を掴まれた。


「もう......帰るの?歳上の我儘なんだけどさ......まだ居て欲しいの......安心させて............」

 

 すごく弱々しく言いながらこちらに両手を広げて来る九条に対して貴音は突き放す様に言う。


「っ......そんな誰にでもハグを求めていてはダメですよ。九条さんの家族は時期に来るでしょう、私みたいなガキなんかに甘えて恥を晒す様な事は避けた方が良いです......それに私なんかで九条さんの評判に何か影響があると困りますので............」

 

 そう言いながら振り返らず立ち去る、ドアを開ける時に啜り泣く様な声を聞いた気がしたが聞こえないと言い聞かせた貴音は病院から出ていく。暫くすると脱力した九条が言う。


「誰にでも無いっ!!貴方!貴女......あなたじゃ無いと私はダメなの............そんなに私に魅力は無いの?すごく可愛いって言ってくれたじゃん............うぅ......あなたの女性経験の無い親切心は空回りよ......いや、私も男性経験無いけど............。良いわ、こっちから告白して貴音を私のモノにしてやるわ......計画を立てないとね。そうだ!あの人の誕生日の6/24に祝いに乗じてやらせてもらうとするわ!」


 九条は貴音自身は自分に大なり小なり異性として好意があると確信しており、いつもの卑下やネガティブな考えから貴音からのアプローチはほぼ無いと考えて、デートからのプレゼントと告白のプランを組む事にした。


 一方で貴音は久しぶりの家にこっそりと浮遊で帰宅したのであった。この力を有効活用して家族や仲間、九条を絶対に守ると心に決めながら。

警察官の友人がいるのですが本当に面倒な仕事らしいですね。

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