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第33話 平和的解決

平和が1番。でも平穏はつまらない。

 24日 AM11:54 池袋駅付近


「......はぁ。困ったな、シュヴァルも......九条さんも帰って来ないとなるとなぁ............ここ数日で悪党倒したり慈善活動していたから家にも居なかったから、こっそり様子見て来てもわからないしなぁ」


 そう腕を組みながら浮遊しこちらに飛んでくる標識や車を避けていた。そう貴音は戦闘の最中なのにも関わらず考え事をしてブツブツ呟いていたのである。


「ねえっ!無視しないでよね!楽々避けるそのサマがムカつく!!お姉さんメテオブレイカーなんでしょ?ならさ、ぼーっとしてないで早く実力を見せてよ!」


 と貴音と同じく浮遊している可愛い系ショタガキが物に触れず腕を振るだけで物を飛ばしてくる。貴音は心配事が多過ぎてそれどころではなかった。


「おっと......。ねえ?君いくつ?見た感じ小学校高学年かな?」


(SATが撤退する程の実力者か......発砲する間も無く吹っ飛ばされたところか。警察とかはここから数百メートル先に隠れている事を考えて動かないとな)


 銃器などが地面に散らばっていて薬莢が落ちてない状態を見るに即座に手から奪われたのだと判断。



「うん、でも学校行ってないけどねっ!」


 そう言いながら手を振り翳すと建物の看板や車が、貴音目掛けて飛んでくるがそれをエネルギー弾で吹っ飛ばす。


「ハアッ!......はぁ、何故こんな事をするの?危ないでしょ?」


 


「僕をみんなに認めさせる......クラスの子達にメテオブレイカーを倒したら受け入れてもらえるからッ!!だから......僕に倒されてっ!!」


 そう言うとバッと両手を広げた。


「何をする気だっ」


(子供が相手だからあまり攻撃ができない、何をするかわからないが受け止め切らないと......)


 だがどんなに身構えようと普通ならどうしようもない攻撃をされる。


「くらえっ!僕だけの必殺技!宙宙落落(ちゅうちゅうらくらく)ッ!!!」


 そう叫ぶと周囲の物ほぼ全てが浮遊すると同時に貴音も念力なのか重力操作の能力なのか不明だが縛られ浮遊していた場所より高く上げられる。


「なっ!アホみたいな響きの技なのに、なんたるパワー......!!」


 そう言っていると全てを一点集中で地面に叩きつける。だが貴音の浮遊する力の方がギリ勝り、物の下敷きにならずに済むも少し負傷する。


「がぁっ!......空飛べて良かったな............」


 そう言いながら埃を払う。


「嘘......嘘だっ!初めて本気でやったのに......空飛べるなら避けれるなんて聞いてない〜!」


 と子供は怒る。


「これでわかったでしょ?私は不殺主義だし子供を傷つけるなんてもってのほかで論外。だからまずはお話しようか?」


「ふさつ?ろんがい......?」


 不殺は正式な日本語では無いので伝わらないようだ。論外は年齢的に知らないのか学校に行ってないから知らないのか。


「不殺は殺さない事。私が思う不殺は不用意に生き物を殺さない様にする事かな。論外は話し合う意味がないって事だよ」


「そうなんだ!漫画のキャラみたいな事をやっているんだね!本当にヒーローだ!」


 彼の敵対的な意識は貴音の言葉を通じて消え去った。


「ヒーロー......そうね、ありがとうね......。それより君の名前は?」


 大切なモノばかり守れない自分はヒーローなのか疑問に思っている貴音にとってこの言葉は複雑であった。ただ殺す覚悟のない活動家に過ぎないのではと負い目を感じている。


「僕はポルターガイスト!物が勝手に動く様に見えるからそう呼ばれたから名乗ってる......の!」


「そうなんだね、ピッタリでイカしているね!因みに本名は?」


(......少し表情に陰りが見えた?あまり好んでないのか?)


早井(はやい)......(つばさ)......」


「へぇ!カッコいい名前してるじゃないの!」


「!!あ、ありがとう!みーてぃあん?になったあとは早井翼(速い翼)なのに翼もないし早くもない力じゃんってイジメられていたから......まあその前からそこそこの嫌がらせはあったけどね......」


 子供に嫌な事を思い出させてしまった事に焦り安心させる。


「辛い事思い出させてごめんね、少年。私は君の味方で今日から友達だ!だから頼って安心して!倒し倒すより手を取り合おう」


 と手を差し出すと強く握り返しできたので抱きしめ頭を撫でた。


「ありがとう!お姉ちゃん優しいね!僕に優しくしてくれるのはお父さんとお母さんたちと......今入院している特別な力を持ってる女の子くらいかな......」


 それを聞きもしかしてと思い質問した。


「もしかして常盤績義ちゃんかな?ヒーローの?」


「し、知っているの......?績義ちゃんを?僕のヒーローなんだ!いつも庇ってくれたの。でも本当のヒーローをして大怪我して入院した、他のヒーローは績義ちゃんを見捨てたんだと思ったのが1番の理由で今回大暴れしたの......」


「そう......だったのか......ごめんね。私もその事件に関わっていたけど助けられなかった」


 子供に向けるレベルではない申し訳なさそうな顔をする貴音。


「いや、メテオブレイカーは金閣寺?で戦っていたんでしょ?ニュースで見たから僕知ってる......だから悪くないと思うよ。それに!績義ちゃんはもう意識もあるし大丈夫だよ!」


「そうなんだ、良かった......。............?と言う事は本来なら君達2人でヒーローをしているの?ポルターガイストとルミナステラで?」


「ううん、僕は最近本格的に目覚めたから違うんだ。それと実はポルターガイストはイジメっ子やクラスの人達が言っているから名乗っているけど、本当は績義ちゃんからオブシディアンってヒーローの名前を貰ってるんだ。でも績義ちゃんの苦労とかを知らないのに使っていいのかなって......だから最初黙ってた。名乗ったら並び立って助けてあげれると思う?」


「......名は大切だけど色々な行動が理由で名前や異名を世間が勝手につけたりしてくるから大変だね。それに彼女がわざわざ考えて授けてくれた名前なんだから誇って名乗り、ヒーローになりなよ。そうすれば彼女の心も助けれるよ......ちょっと長かったね」


「ううん、ありがとう。......でも街をこんなにしちゃったから僕にはヒーローできないね............」


「そこは私がなんとかする、イジメの方にも対処を考えるよ。だから学校行って勉強頑張れ!あっちの方に警察の人達が隠れているから私の話を伝えれば手荒な事はされないと思うから行ってきな」


(......能力者関連の事件、事故とかの損害とかの後始末をする団体か企業が必要だな。イジメの方も知名度のある私が言うだけで少しは減ると思いたい、あとの対応は誰かと考えるか)


 そう言いながらサムズアップする貴音。


「ありがとう!僕は僕にできる事をするよ、最初は......反省かな......。じゃあねー!」


 そう言うと手を振りながらヒューっと飛んで行った。


「多分、いや確実に死ぬほど怒られるだろうけど少年院送りにはならないと思いたい......修繕の金は私がなんとかするとして、暴れた理由をルミナステラが知れば今度は彼女が暴れるかもしれない............っ!??」


 独り言を呟いていると目の前に人型の影、貴音の空中の背後に誰かがいる。それに気づいた貴音は遂に死神が来たかと、チョーカーで変身して手にエネルギーを込めて振り返るのであった。

来る死神。

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