第24話 E-4 READY
Are you ready?
九条は目隠しをされた状態で車にて移動中。研究所がバレると困るという理由での目隠しである為に応じた。そしてこの場でならば質問や説明を出来ると聞き、そもそも具体的に何なのかを聞く。
場所時刻不明
「随分と慎重にされているのですね」
「国家機密の中でも最重要ですので。米国などにいる我が国のスパイから得た情報を元に作り上げた対国家兵器です」
対国家という規模の大きさに驚愕すると同時に、強さの比較に出された貴音は国家を滅ぼせる程の強さと国が見立てられていると知る。
「それは......スケールが想像つかないですね......巨大なロボットか何かですか?」
「いえ、身体に極小のロボットを入れます。今日本がナノテクノロジーを発表する手前にありますが、それを遥かに超える小ささナノ、ピコ、フェムトと下に下がりフェムトテクノロジーと言う物を生み出しました。E-1は外骨格型のパワードスーツ。その更に先にE-2とE-3というナノマシンを体内に入れてアーマー生成をしたり、ビームを撃ったりと、まるで漫画のような事が可能になります。そしてそれを凌駕するモノその名は順当にE-4と名付けられています、それを貴女の身体に注入します」
「随分とファンタジーな......身体に害は無いのですか?」
(本國さんは確か2〜3しか教えてくれなかったけど、こんなモノまであるのね)
「無い......とは断言し難いですが今のところは無害です。フェムトマシンはミーティアンに進化させた宇宙由来の生物の死骸から解析した構造と、隕石の地球には無い金属で作り出しているので量産が現状不可能、それ故に動物実験にリソースを割く事があまりできませんでした、ですがラットに注入する実験では数日経っても異変は一歳無かったので恐らく大丈夫かと思います。どうされますか?今なら守秘義務が課せられますが手術はせず帰宅されても大丈夫です。ただあの青い化け物のミーティアンと一緒に仕事をしていくならば必要だと思いますがね」
「貴音を化け物扱いするなっ!......くっ、だが確かに私は非力だ、否定できない。......あの人の足手纏いにはなりたく無い............手術をお願いします。そして、それの対価は何ですか」
(この命、元よりあのチンピラに襲われた時点で失っていたでしょう......ならば、貴音の為に使う事など躊躇する必要は無かったわね)
「対価は新兵器E-4の実戦データ収集などです、現状ただ1人にしか手術が出来ないので重要なミッションです」
「安く感じるけど確かに手術後には私にしか出来ないから普通かな............とにかくよろしくお願いします」
そうして施設に着き全身麻酔をされ各部位に適量を注入されていく。脊椎と心臓付近などには極小のコアを埋め込む。数時間後に九条は目を覚ます。
「......んぅ......はっ!?ここは......」
辺りを見ると自身が寝ていたベッド以外にほぼ物は無く、天井には監視カメラやスピーカーの様な物が見えた。
「......身体に異変は無いわね。血色がなんか悪いだけだし良かったぁ............っ!?髪が銀髪になってる......??聞いてないわよ、こんなの。ちょっと!監視してるんでしょ?誰か来なさいよ!それに私の扱いがおかしくないかしら?」
そう叫んでいると脳内に直接声が聞こえた。
(こんにちは、現在の時刻は20時丁度。初めまして私は貴女を補助する専用の独立型AI、B.I.R.T.H.D.A.Y.です。新たな貴女の誕生をサポートします)
「ん?えっ!?何?幻聴??」
(推奨、私の声に気づかないフリをして現状に困惑し続けていてください。......遺伝子情報からデータベースによる人物特定、九条未来。貴女がやはり実験台になってしまいましたか)
九条は言われた通りキョロキョロ見渡して困惑するフリを続けながら、出来るか分からない脳内での返答をした。
(な、何?私だとダメみたいな言い方じゃないのバースデーなんてお祝いみたいな名前しちゃって)
(それはどちらかと言うとハッピーバースデーでしょう。それとダメかダメでないかで言えばダメなのですが、本國文記による予測が的中したまでです。私は本國文記の派閥の研究員から意図的に秘匿され混入されたAI......つまり、本来は私は異物です)
それに困惑する九条は縁起を忘れベッドの上に座ったままフリーズ。
(意味がわからない、全部わかりやすく説明して!)
(貴女は薬師寺の姦計に陥りました。それを回避できない事を悟った本國文記は、バレないように私を混入させ貴女をサポートする様にしました。梶原貴音、通称メテオブレイカーもしくはアオガミの精神病に侵食された心を折る為の身内、友人惨殺計画の一環でありミーティアンの殲滅計画の第一歩です。貴女を操り人形の人間兵器にする為に手術を施されました。貴女は......騙されたのです)
九条は己のがこの力で貴音のサポートをするつもりだったのに打ち崩されるどころか貴音の心に攻撃を与える為のモノだった事に絶望する。
(そんな、そんなの......私の焦燥でこんな......ねぇ!本國さんに入れられたって事はあなた防げるのよね?薬師寺の駒になるのはっ!??)
(確かに私はその為に混入された物。ですが、今のレベルではプロテクトを壊せません。それにあまり活発に私が動き混入がバレると計画が完全にダメになってしまう為、数週間はかかってしまいます。日本の最高技術の壁は高く険しいです。しかし、エラーを意図的に発生させ殺戮の妨害は可能な限り行います。それまで申し訳ないのですが............耐えてください)
(耐えるって言ったって......ああ......もう手遅れなのね......待って、このままだと貴音と戦ってしまうのではないの?ねぇ!私、彼の誕生日に告白する予定があるのよ。バースデーなんて名前してんだから助けてよっ!ねぇっ!)
あまりの絶望感に口は渇き、服は汗で濡れる。
(......これ以上は貴女の精神の為に聞かない方が良いかと思います)
(いいから!どうせどうにもならないんだから覚悟くらいさせて)
AIらしからぬ言いたくなさげな返答をゴリ押して無視して答えろと九条は言う。
(......結論から言うと貴女とメテオブレイカーは戦闘データの収集が終わり次第に決行される予定でした。その日は6月下旬から7月の初旬......6/24がメテオブレイカーの誕生日だと言うことに今知りました。貴女は大切な人の誕生日の日、それも告白をしようとする日に殺し合う運命になる可能性が高いです)
それを聞いた九条の頭は真っ白になり嗚咽する。覚悟するなんて口では言うが到底出来るものでは無かった。涙を流し狂乱し始める。
「うぅ......オエッ......そ、そんなっ!ふ、ふざけるなぁあああ!!!こっ......殺すッ!殺して殺してやるッ!!」
(バイタル不安定、九条未来深呼吸を推奨。正気に戻るのです、自我を奪われてしまいますよ)
「うるさいっ!うぅ......誰一人漏れなくアンタらは殺してやるッ!!」
そう言うと手にアーマーが精製されブレード上になると堅牢なドアをバラバラにして廊下に飛び出る。これには監視カメラを見ていた研究員も激しく動揺。
「ば、馬鹿なっ......今は機能全てをオフにしているんだぞ!?あの怒りっぷりはなんだ、気付いたのか?誰か漏らしたのか??それにプログラムによるロックよりもフェムトマシンは感情に共鳴するのか......?」
「いいから早く強制的にフリーズさせろ、計画は前倒しだ」
「もう押した!暴走しているから即座には止まらず交戦しているぞ......」
やる事はやったがお手上げな監視室。一方で廊下に出た瞬間にE-2の兵士2人に見つかる。
「っ!?あれはE-4の被験体だ!?どう言う事だ外出許可は出ていない」
「馬鹿っ!手を見ろ、呑気な事を言っていると殺されるぞ」
そう言うと2人ともアーマーを全身に纏い手からエネルギー弾を放つ。
「うあ゛あ゛あ゛ッ殺すッ!」
九条は手しかアーマーを纏えていないにも関わらず相手のエネルギー弾を切り裂き、急接近すると男二人は抵抗する暇もなく首元を掴まれ彼女はゼロ距離レーザーを放とうとするが寸前で強制シャットダウンされ倒れてしまう。その後メインAIが作動し再起動し立ち上がる。
「た、か......ね..................E-4 Standby ready」
そう言うと待機モードされ先ほど瞬殺されかけた男たちが棒立ちして死んだ目をした九条の身体を見て欲情する。九条の肌は死人の様に真っ白になり眼の色は髪より明るい銀色に、兵器が対象をロックオンした時の照準の模様が黒色で浮かび上がっていた。
「E-4はこんな身体に変わんのか、本当に安全なのかよ......そうだ、腹立つし犯してやろうぜ」
と笑いながら胸を触ろうとすると九条は自動でフルアーマーになる。その姿白をベースに光るところは緑色であった。マスクに目や口は無くツルツルで模様無し、いかにもSFチックな姿であった。
「なっ!?まだやる気か?」
そう困惑していると九条の声ではないメインAIの機会音声で言葉を発せられる。がそれは偽装したバースデーの彼女を守る最初の行為であった、
「警告 被験体に性的な行為をするのはデータに乱れが生じる可能性があるので禁止です。......命令受信、E-4 Sortie」
これ以上の介入はバレるとバースデーは潜むと、メインAIがそう言い浮遊しその場を立ち去り飛びだって行く、彼女の意思は絶対的な否定の下に。バースデーは薬師寺という人間の悪辣さにAIながら怒りを覚えた。
(私はまだまだ未熟な進化途中のAI......ですが、貴女を絶対に助けますからね......未来)
正義の白色の鎧に平和の緑色の光を纏う哀れな女が殺戮を始める。
できる訳ねぇよ。




