第14話 猫VS牛
聞いた事ない戦い。
同所 PM9:41
たった1人の戦いとなったシュヴァル。牛は先程の不意打ちと武器を全て奪われている事に警戒をして距離をすぐに詰めようとしない。
「なぜぇ!なぜ人間の味方を!オマえにも人に対する怨みがアルだろぉ!!でナければ獣は進化しないっ!」
「......あるよ〜。生後数ヶ月満たないシュヴァルを何ヶ月も害し続けた憎い人間達がいた、それと同時にそこから救った愛しい人間達がいた。でもね、シュヴァルはこの世にいてほしい人間がいる限り、人間の味方になる」
(......?シュヴァルが進化した理由は怨み?いや、違う。あの時......脳が変化した時に抱いた感情は貴音との再会の喜び......その前は............)
進化の理由を言われ困惑する彼女。その隙に牛は壊れた車を片手ずつ持って武器として扱おうとしている。
「この体格の差デ、それに1匹何が出来る?」
ガシャンガシャン音を立てて手に廃車をはめて殴る準備をする。
「ケツ掘られた見せ筋ダルマに言われたくないね〜。こんな事やめたら?てか名前あるの?貴音は良い名前をくれるよ、ここ数日間もミュータントを助けて命名してたし」
「ソんな............そンナモノは無いッ!喰らえェエ!!」
飛びかかりシュヴァルを体重で潰そうとするが簡単に避けられる。それでも追撃をやめず彼女はこの何分にもわたる猛攻を奪った斧で防ぎ、回避しカウンターに横っ腹を斧で殴る。だがその時に掴まれてしまい斧一つを奪われる。
「ぐぅう......チビ猫の身体にドこにソんな力があるゥッ!だが、この斧でミンチだぁ!」
電源をオンにして構える牛。
「こっちにもまだあるんだよっ。お前が牛ミンチでさわやかにハンバーグだ、ばーか!」
仕方なくオンにして戦う事にするシュヴァル。
そう言うと斧同士の殴り合いが何十秒も続き、小さいシュヴァルは牛の股を抜けして斧の曲がった部分で足を引っ掛けて転ばし、牛の背中を刃じゃ無い方でタコ殴りにするが思い切り起き上がられて吹っ飛ぶシュヴァル。
空中で無防備になったタイミングで牛が投げ飛ばしてきた斧を、しっかりと自分の斧で防ぎ弾いて牛から遠くに飛ばし、そこから着地を狩られると判断し建物の壁に爪を刺して様子を見る。
「ふぅ......着地した瞬間潰されるのは明白にゃぁ......あのハイテク?斧を破壊しないと......」
壁を走り斧の方に向かい牛より先に着く。
「終わりにゃッ!」
両方の電源をオンにして互いを思い切りぶつけると切断され爆発しほぼ粉々となる。
「あ゛ぁ......マザーに文句イわれるっ!それにバカめ、素手同士でオマえに勝ち目があるトでも?」
「いや、もう準備が出来たみたいだからシュヴァルは一旦高い所に逃げるよ〜ばいび〜」
そう言うと高くジャンプして壁を伝いビルの上に一瞬で逃げた。
「準備ィ......?っ!?あう゛があ゛あ゛っ!爆発物かア!?」
何か飛んでくる音がして振り返り腕でガードするが遅かった。胸に当たり自身の骨が軋む音を聞く牛だがフルパワーで筋肉を膨張させていた為にダメージは少なかった。
「くっ!対戦車用ロケット弾なのに、ダメージはそれだけなの......なら威力を上げてもう1発!」
そう九条が言うと横から別のロケットランチャーを取って発射。
「流石に2度喰らうかア!ほぉらぁ!返却ダァ!!」
ロケット弾をキャッチしてこちらに投げ返される。
「ま、間に............」
九条は盾を出して構えようとしたが間に合わず、大爆発し周囲の建物は倒壊煙が立ち込める。
「ク、クジョーさんーっ!!......はっ!!」
上から見ていたシュヴァルは絶望し呼びかけたが煙から人影が上がって来るのが見えた。
「わ、私......アレ?......た、貴音っ!!」
「良かったぁ......今度こそ間に合った......」
貴音は病院から急いで戻り間一髪で九条を抱き上げて空に逃げたのであった。
「メ゛テオ゛ブレ゛イカァー!!」
「そう焦るなよ。悪かったな、牛。指も繋がったし武器無しでサシでやろうや......また見た事もない武器使われたら私が負けちゃうからねっ」
そう笑いながら貴音は言う。
貴音の指は縫われた跡も傷跡も無く接着されていた事に九条が戸惑う。
「ど、どうやって指を繋げたの?またハイテクな何か?」
「いや、切断面をしばらく押し当てていたらくっついて、取れた指が正常な位置に勝手に戻って、そして他の指も試したらくっついたんすよ〜傷の治りが尋常じゃない程早いからですかね?アメコミにもそう言うヒーローいますし......っておい!こっちはまだ話してんだから少し待てよ!マジ危ねぇ!ほら!返却だァッ!」
彼女の説明している最中も牛は攻撃をやめず周囲のゴミを豪速球で投げるが、避けられ弾かれ受け止められ一つも当たらない。受け止めた一つを投げ返すと牛の左腕に当たった。
「ガァアアっ!......クソッ今ので腕が折れタぁ!??......それに、コンな短時間で指がくっツく?アオガミの化け物がア!不利な状況、出直しダァ!撤ッ退ッ!!」
そう言うと壊れた斧と手首のデバイスを回収して、左腕を庇う様に周囲を破壊しながら走り逃げた。
「潔し、ムカつくねぇ〜......っても続けて犠牲無しに勝てる気は正直しないから逃げてもらえて助かったが............しっかし、これ誰が弁償すんの......」
抱きしめている九条が答える。
「大丈夫よ、こう言うのを弁償しなくて済む為に警察の下に入ったのだから。それよりありがとうね、私足引っ張ってばかりだよね......ごめんね......」
「そんな事は無いです。気遣いでは無く本心から頼もしいと思っていますよ、九条さんの事を。シュヴァルに助太刀してくれたんですよね?クズ共にない仲間想いの感情、それだけで十分っすよ。まあ歳下の私が言えた事では無いですけどねっ」
そう笑いながら地面に降ろす。シュヴァルもビルの上から飛び降りてヒーロー着地、フギンも少し遅れて飛んで来た。
牛が離脱した事により警察官が現場に入り始めた、4人は説明しようとしたが警察側はずっと戦いを見ていたからもう帰っていいと言われて立ち入り禁止のテープをくぐり歩くとマスコミがわらわらと集まって来る。
貴音が対応すると言い3人を帰宅させ、自身も好き勝手に発言して良いかわからないからほぼ何も話せないとゴリ押し。己の指とか怪我関連だけと、どうでもいい事を答えて立ち去った。
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自宅 PM11:34
貴音は再度夕食を買って帰宅、帰宅後に背中が丸見えだった事に気づく。
「はぁ......最初のゴロツキに喰らわされたグレネードランチャーで後ろがほぼ裸って......なんで誰も教えてくれなかったの............久しぶりの食事美味いな、チェーン店だが流石だ」
そう言いながらカツ丼を食べる貴音。
「......まさかあそこまで服が無くなっていて気づいていないなんて思わないわよ............もうネットでプリケツブレイカーとかアオガミデカケツって話題よ。それに貴音が敗走したみたいな書き方をしている記事もあって腹立つわね。ちゃんと指繋げて戻って来たじゃないの」
ラーメンを啜りながら怒る九条。
「カツ丼美味しい、テレビウケる」
MVPのシュヴァルは何も考えず人間の食事を楽しみ、人間の娯楽を楽しむ。
「憧れの!カレー!カツカレー!美味い!美味い!辛い!!」
こちらも食べ物に興奮している。
「みんなありがとうなぁ......特にシュヴァル、1人は怖かっただろう?すまなかったな」
「貴音の為なら何でもするよ〜それよりまだお腹空いたぁ〜」
「そう言うと思って割引になっていた惣菜パンと弁当もあるから好きに食べてくれ。アイスもゼリーもあるぞ!にしても、お前は優しいなぁ......」
そう言いながらシュヴァルの頭を撫でる貴音。
「ふにゃぁ〜〜しばらく撫でて、腰も叩いて」
「うーん。まあ......いいかぁ............それより次からはみんな装備をちゃんと着て来てよ......」
そうして牛との激闘が一旦終わり次の日を迎えた。
メス猫が人の姿になり腰を叩けってやばいよね。




