第11話 猫の本能
猫はペットになっても野生を捨てない。
市街地 PM1:59
空を飛べる2人は飛べない2人を持って移動。地上が騒がしいと思い付近に降り立つ全員。
「なんだよぉ......?またなのかぁ?何で某アメコミのシティみたいに治安終わってんだよ......この調子だと悪人にピエロとかペンギンとか出てくるだろ」
前方ではAUでは無いただのチンピラが家電店から盗んだ物を車に積んでいた。手には拳銃やナタなど武器を所持していた。
「これでまだまだ治安の良い国扱いの日本って............とにかく貴音はアホを始末して、私達は市民を逃す」
そう言うと横に居たシュヴァルが手を挙げてアピール。
「ここシュヴァルに任せて〜実戦で有能なとこ見せるから!」
そう言うと爪が伸び変形し、指先に太い針の様な爪が出来る。
「......ああ、下は任せたっ。信じるぞ。フギン!私達は上から攻める!」
そう言うと空を飛び屋上から侵入する2人。
「もうっ!私だってこの右手だけでも多少は戦えるわよ!......シュヴァル任せたよ」
九条は路上で倒れている人の救護、避難に向かった。
「漆黒の電光石火......見せるにゃッ!」
そう言うと爪から黒い電気を放電をし始める、まるでスタンガンの様な爪を立てて走り始める。100メートルを2秒前後で走り、その勢いで積み込んでいる犯罪者の腕に爪を突き刺し感電させる。
「ぎゃあああ!!??......うぅ............」
バタンと音を立て倒れる男を仲間が振り向いて見る。そこには血塗れの長い爪を持つ女の子が立っていた為に困惑する。
「なっなんだ?こんなガキにやられたのか!?」
「おい!あの猫耳と2つの尻尾......恐らく猫のミュータントだ!あいつの見た目に騙されるな!やばいぞ、撃て!」
拳銃を抜き発砲しようとする男の前にシュヴァルは移動し爪を銃口に刺して防ぐ。
「拳銃の弾丸如き、シュヴァルの爪は破壊できない」
そう言うと爪を刺したまま銃を手から跳ね除けて、男の腹部を蹴り飛ばし吹っ飛んで転がって行く、爪を元に戻して唖然としている片割れの顔面を何度も何度も殴り壁に追いやると、再度爪を伸ばして感電させて終わらせた。
「......昂る......♡狩りは終わらないよ♡」
猫は犬と違いペットになろうと野生を捨てない、その為に狩猟本能で敵を倒す事に快感を感じている。シュヴァルはこの一言を言うと外の残り4人を蹴り、殴り、刺し感電させ秒殺すると家電屋に入って行く。ミュータント特有のフィジカルではアーキアンに勝ち目は無い。
「まだまだいるねぇ♡最近は貴音がいなくて、あまりおもちゃで遊んでくれなかったから楽しい」
返り血を浴びているシュヴァルは中で暴れていたチンピラ達を恐怖させた。この子が誰の血で塗れているのか理解してしまったからだ。
「あ、あ゛あ゛!!こいつは多分ミュータントだっ!殺されるぞっ!」
「早く殺せ!所詮はチビガキだ!」
「あ、侮るな馬......」
話しているのも気にせずシュヴァルはチンピラの膝を砕き、跪いたところで次は顎を砕き無力化。昂りは止まらず1階を走り回り、トイレに隠れた奴も引き摺り出して全滅させる。動脈を避けるなどして死者は出さない様に気を遣ったが凄惨な現場になってしまった。
「ふふっ♡やっぱシュヴァルつよーい!」
そう喜んでジャンプしていると背後から倒れたチンピラが不意打ちで銃を撃つ。だが即座に振り返り爪で容易く弾く。
「まだやるの?」
純粋に聞くシュヴァル。男は恐怖で銃を投げ捨てて謝る。
「しっしない!わ、悪かった!この通りだっやめてくれ......た、助けてくれ!」
だがそんな事も聞かずに人差し指の爪を伸ばしてゆっくり近づくシュヴァル。男は太腿に爪を刺された事と恐怖でうまく動けない。
「く、来るなぁ!もう黙ってムショ入るから頼むぅ......う、うわあああああ!!」
シュヴァルは爪を男の肩に爪を刺そうとするが手は止められた。
「やめなさいっシュヴァル!もうこれ以上やる必要は無いわ!それに貴音も悲しむわよっ!!」
店内の悲鳴に駆けつけた九条によって止められた彼女は言う。
「貴音............でも撃った。だから撃てない様に次は利き手の腕を刺す、シュヴァルは間違っている?」
「完全に制圧すると言う点では間違ってはいないわ。でもね、相手は銃を投げ捨てて降伏している以上、過剰防衛や傷害で捕まるかもしれないのよ」
九条は感情よりロジカルにダメな理由を言う方が良いと判断した。
「難しい......シュヴァルはヒーローっての向いて無いや。もう貴音に撫でられながら余生を過ごす」
拗ねてしまう彼女に九条はフォローする。
「動脈を避けて、誰1人致命傷を与えられていないのだから向いているわ。見ての通り全員呻いているから生きているし......でも、少し出血が多いけど......とにかく落ち込まないで、シュヴァル。貴女は殺す気ならもっと早く終わらせていたでしょう?でもしなかった、その選択だけでヒーローよ」
「ヒーロー......理解できないや」
そう話していると上の階のチンピラを始末した貴音、フギンが降りて来る。
「な、なんだ......この血塗れのフロアは............シュ、シュヴァル!」
血塗れの床に壁とシュヴァルを見て貴音は走ってシュヴァルの元に向かうと彼女は思った。
(あ、怒られちゃうかな......腕力の調整が難しくて犯罪者の鼻血とかで床が汚れているだけなんだけどな)
そう思っていると想定外の事を言われる。
「怪我は無いかっ!?身体に傷は......」
そう言うと彼女の顔の返り血を拭い身体を見て回る。
「だ、大丈夫......ちょっとシュヴァルが暴れちゃっただけ、ごめん」
「そうかぁ......良かった、お前に何かあったかと思ったよ。このチンピラ共は殺したり後遺症が残る様な怪我をさせなければ良いから......ああ、良かった」
血塗れなのを気にせず彼女を抱きしめる貴音。
「ふにゃぁ......ありがとう............」
(汚ねぇおっさんの血を気にせずシュヴァルを抱きしめてくれるなんて......シュヴァルが少し悪いのに......)
「取り敢えず、みんな無事で何よりだな!さあ、じゃあ............」
そう喋る貴音、またしても学習しない別のチンピラが貴音の頭目掛けてにマグナムを発砲し油断していた為に被弾してしまう。
「あだっ............ちょっと、シュヴァル慰めたのに同じ様な事をするとか学習しないの?不殺の私なら失敗しても絶対に殺されないと......安心しているからなの?」
そう言いながら詰め寄る貴音。3人は頭に強力な銃弾が綺麗に当たったのに大した反応をしない貴音に驚いていた。
「ご名答!お前の精神は軟弱だか......」
そう話す男の足を掴んでぶん回して投げ飛ばした。
「メテオブレイカーになる前の私のやり方を忘れた?私にヒーローらしい品も高潔さも無いよ。私は所詮ただ殺生をしないだけの............チッ、汚れたし今日は帰ろう。2人の強さは証明されたから今後は4人で頑張っていこう......まあ加入者が増える事があれば5人でも何でも良いが」
男は吹っ飛ばされて棚にぶち当たり気絶、貴音は何かを言いかけたがやめて、3人に向かって話しかけた。そうするとさっきと同じ気まずそうな表情になる九条。
「じ、実はね......私達一緒に暮らす事が決まりになっているの............言いづらくて後回しに過ぎてごめんね。一緒に出動する事が増える事から住処は同じにした方が良いって事でね......フギンとシュヴァルも勿論、悪いけど一緒に住んでもらうわ............ただ家賃光熱費インターネット回線なんでも無料で、食料も配給されるし手当も出る。家具もある程度リクエストに応えてくれると......」
「ま、マジすか......九条さんの事を何も考えていない!実質男の他人と一緒に住ませるなんて............」
九条はそこは良いんだよ、お前の気持ち的に不快じゃないのかと思った。
「いえ、私があなた達と暮らすのは問題無いわ。あなた達がどうか気になるの」
そう言うと貴音は即答せず少し俯いたので九条は焦ると貴音が口を開く。
「私は......良いっすよ。ただホームシックになるかもなぁ......家事も少ししかできないしなぁ」
「シュヴァルは貴音の側に居るから行く」
「私も問題ない!ただミュータントになってから定住先が安定しない!」
「そう!良かったわぁ......家はもうあるのちゃんと全員分と個室があるから安心してね。かじはもう引っ越しの準備を始めてね、身体測定は不要だから今日は解散」
そう言い九条は現場に残り駆けつけた警察官に対しての報告。残り3人は血塗れで帰宅し服を捨て身体を洗い出ると、もう引っ越し用の段ボールが用意されていたので物を詰め始めた。そうしてスーツを捨てた貴音は着る服が無い事を思い出し絶望して苦労するが数日後にはもう引っ越しを終えたのであった。
設定として、主人公はどちらかと言うと完全な悪になりきれないヴィラン適正の方が高いです。ちなみにこの設定に意味はありますが、その意味がわかるのはかなり先の予定です。そこまで読んで頂きたいので言いました。




