第10話 見舞いにレッツゴー
警察関連のデータは友人から聞いた話とインターネットの知識なので間違いがある可能性があります。
病院 AM11:55
貴音達は到着した。
「お前達、病院の中ではなるべく声小さめで頼むよ。まあ大きい病院って人が多いからそこまで気を使う必要も無いけどね......あ、入院している病棟は待機スペースくらいしか人喋ってないからやっぱ静かめで」
「どっち〜」 「とにかく黙る!」
そうして3人は受け付けで手続きをして病棟に行き、ナースステーションに声をかけて面会者の証拠のシールを胸に貼って、九条の病室まで向かいドアをノックする。
「梶......」
「速く入って」
そう声をかける途中で即答されたので入った。もう管は一本も刺さっていなかった。
「......とても会いたかったわ、にしても会見見たわよ。流石あなたね。あそこでも自分の好きなヒーロー映画の真似だなんて......鉄の意思はカッコ良かったわよ」
「へへっ......ありがとうございます。それに1日ぶりなのに数年ぶりみたいな反応じゃないですか、身体は大丈夫なんです?」
「入院は心細いのよ、わかるでしょ?身体は医者も驚く脅威の治癒力で治ったわ、骨がへし折れて身体の外に出ていたのにね。まあその辺は右腕の肘から先で手首までには機械入れたからかな?これで、あの牛に1発お見舞いする事が出来るわ」
そう言うと右腕を見せつけるが何の仕掛けもある様に見えない。
「ひょえ〜インプラントは自費っすか?それと、もしかして九条さんミーティアンになったんじゃないんすか?」
「いいえ、警視庁からまた新しく出来た部だか課に移る事を条件に無料よ。それと私の細胞には未知の生物とやらは検出されなかったと言っていたわ......でもまだ今の突貫工事の機械では精度が低いから当てになるかどうか............それより、その子達は?私が知らない間に子持ちになったの?両性だから単体生殖?」
「新しい部か課?ああ、こいつらは......」
貴音が紹介する前に自分で言う2人。
「お初にお目にかかります、カラスの八咫フギンと申します。この名は貴音から貰ったモノです。よろしくお願いします」
フギンが静かに普通に喋るので貴音は困惑しているとシュヴァルも話す。
「覚えてる〜?貴音の家に引き取られた黒の子猫の可愛いシュヴァルだよ!元気そうで良かった」
「......という事です。フギンは昨日家に迎えた、シュヴァルは退院後初めて帰宅したらミュータントになっていた。この後、強さを確認しようと思っているんです......あ、これ土産のパンケーキっす」
そう言うと九条の目の前の机に置く。その時貴音からふわっと香る香水に気づく。
「スンっ............!パンケーキわざわざありがとうね。それに2人とも可愛いわね〜!あとフギンは畏まって敬語なんていらないわ、上下関係みたいなの要らないし。シュヴァルは覚えてるわよ、瀕死のあなたを蘇生させたのは貴音と私だし。あ、それとね、この後退院出来るかの面談みたいなのがあるからそれが終わるまで待ってくれない?新しい部署って言うのはあなた達もいないと困るの、あと大事な朗報なんだけど給料の方は問い詰めたら上層部......それも政府に深く繋がっているクズの命令だったそう。証拠を上司に同僚や部下総動員で集めてもらって、それを突き付けて梶原貴音と九条未来が弁護士を用意して訴えると言ったら今までの給料や手当にボーナスとか全部払うし、誠意を見せるって、流石に勝ち目が無いから潔かったわね」
(律儀に私があげた香水つけてるっ!今の容姿にはもっと落ち着いたモノでも良い気もするけど、やっぱり口を開くと他者に元気を振り撒くあなたにはシトラス系かな......でも好みの匂いにマーキング成功............‼︎)
仕事の早すぎる九条はもう全て入院中に仲の良い上司から部下にお願いして済ませていた。流石人望もある九条さんと貴音は羨望の眼差しで見る。だがその見ている女はお前にマーキングして喜んでいる最中だぞ。
「ありがとうございます!!これで九条さん含め世話になった人に礼が出来るっ!あと私の寄付で建てられた学校一棟の整備にもう少し寄付しようかなぁ。そう言えば今どうなってんだろうな」
(あなた達?達って2人にも用事があるの?あったばかりだよね?)
と思いながらカンボジアに建てたタカネ学校を検索している間に2人が九条と話す。
「なんと!貴音の同じ事を言うとは!優しい!あ、声が大きすぎた」
「あまり覚えてないけどクソのブリーダーの施設が燃えた時にシュヴァルを貴音が助けてくれたらしいね。その時にAEDをその場で、貴音が体張ったり改造したりして子猫でも死なないレベルの強さに勘で落とし強制起動させて心肺蘇生したとか......そのおかげで今があるし、それのせいなのか爪から............」
そう話していると貴音が2人に注意したくせに大きめな声で驚く。
「タ、タカネ学校が......何も連絡ないと思ったら窃盗団に襲われて何も残っていないらしい............自分がスマホ使えない入院期間にやられていたみたいだから知らなかった......てか、日本語の記事が少なくてまだはっきりはわからない......子供達は大丈夫なのか............」
ガックリする貴音は病室の隅の椅子に座った。
「そ、そんな......そもそもいくら寄付したの?あと窃盗団って......あまりにも豪華な見た目していたとか?貴方の銅像を置いたとか?」
「知らない、私は写真でしか見てないけど、よくある学校より少し豊かくらいだったと思う。それと誰が建てたかわかる様に私の銅製の胸像は置いた。額はいくらだったかな政府に6〜5000万くらい渡したかな」
「......?6〜5000万?なら同じ学校が10棟出来る筈だけど?途上国に建てる学校の相場は400万前後よ?もしかしてあなた国にまで騙されているんじゃ無いの?」
また目に見えてイライラし始める九条。
「人件費......にしても多いかぁ。こればかりはどうしようもない、寄付の用途に活動継続の為の費用込みとか書いてあるしなぁ............」
善意が上手くいかず利用され続けている貴音は流石に萎え始める。
「大丈夫......?シュヴァルの事撫でる?」
元々が猫なので人間という生き物は自身を撫でれば元気になると思っている。
「ああ。いや大丈夫、ありがとうな」
そう言っても勝手に膝の上に乗り身体を擦り付けるシュヴァル。
「大丈夫じゃないわよ、寄付って国の誰にやった............あーテレビで薬師寺に空の封筒を直接渡すパフォーマンスがニュースでやっていたわね。なら、当然薬師寺周りの人間って事............はぁ、とにかくこの件は絶っ対に忘れずに一旦後にしましょう。退院の話をする時間だから待合スペースで待っていて」
そう言うとドスドス音が鳴っているかのように見える歩き方で面談室に向かった。3人は待合の自販機でジュースを買って待っていた。そうすると私服姿に荷物を持った九条が来る。
「お待たせ〜変な退院だけど、もうこのまま出て行って良いらしいわ。それより今更だけど何でスーツなの?アウトロー寄りのヒーロー像から脱却する為?」
貴音はヒーローであり不殺主義、蚊すらも殺せぬ人間だが当時の普通の人間だった時の戦闘方法や戦略が無茶で、殺さなければ何をしても良いとやり方に死傷者の数の多さにより激情に駆られ行動する姿は悪人寄りだった。ただその理由は己の身体能力の低さなどを補う為であって悪意は無いのでわざわざ嬲る様な真似はほぼしない。そういうことなどがあり九条は不器用なイメージアップ作戦かと勘違いした。
「ヒーローには憧れていますが好きになるキャラはヴィランとかダークヒーローばかりなので仕方ないですね。私は日本中の人が人生最初に触れるであろうヒーローモノのアン⚪︎ンマンでもバイ⚪︎ンマンが大好きですから。母が言っていました、ア⚪︎パンマンが画面からバ⚪︎キンマンを一緒に倒そうと言っていたのに対して、バイちゃん倒すの嫌だ〜と泣き喚いていたくらいですから............それと約束したじゃないすか〜!一緒に服買いに行くって!それを待っていたから会見用のスーツしか無いんすよ〜選ぶの手伝って欲しいっす!そもそもこの身長に胸と尻のサイズからして服選びは面倒そうですが......」
突然の九条にとって可愛いと思う後輩ムーブをされて、またキュン死しかける。
「え、ええっ!そうね、私が何でも買ってあげるわ!フギンとシュヴァルの服も見ましょうかね〜......取り敢えず家に荷物置いて、警視庁で用事を済ませたらギリギリ時間が空くかしら」
(ファー、そんな理由で服買ってないの?馬鹿だけどやっぱり可愛いじゃない......)
こうして車を家に戻らせていた九条を貴音はお姫様抱っこで運び、シュヴァルとフギンは2人で先に警視庁に行き、その間に色々と準備をして2人警視庁に向かう。合流すると中に入り九条が3人を個室で待機させると出て行く。数分すると書類などを持って来て戻るが、なぜか表情が気まずそうな感じである事に貴音が気づく。
「どしたんすか?なんか無くしたりしたんです?」
「いや、そのね......まあ、まずなぜ集めたかの本題を話すと仮の名前だけど警視庁対異能課前線処理係という名の、漫画で言うバリバリ戦うヒーローチームみたいなのを作るらしいんだけど、さっきも言ったけどそこの所属を約束する代わりに病院代とインプラント代を払ってもらったの。そして私の最初の仕事があなた、梶原貴音の勧誘なの勿論断る権利はあ............」
言い切る前に貴音が割って言う。
「九条さんの為なら例え無給でも何でも引き受けますよ......でも無休はキツいかも............まあ、長い話で良くわからなかったけど要はミーティアンとミュータントの犯罪の処理っすよね?ならば俺やります、いや俺が適任だっ!......ただその課の名前はよく無い気がするっすね」
期待していた返事を即答され嬉しい反面、また危険な事をさせてしまう事に複雑な気持ちになる九条。
「あ、ありがとう......食い気味でやる気十分で助かるわ。それと丁度あと2〜3人くらいリクルートしないといけなかったのだけれど、フギンとシュヴァルはやらない?まあ、力の強さを測ってからだけど」
(こんな小学生みたいな子達にさせる罪悪感は強い......けどミュータントは幼児の姿をしていても力士を片手で軽く叩き飛ばすなんて事例もあるらしいからこの2人に賭けてみたいわ)
「九条さんマジ言ってんすか!?見た目はフギンは10〜12歳くらいでシュヴァルは8〜9歳くらいっすよ......って思ったけどフギン、お前火球吐き出せるとか言っていたよな?なら戦えるのか......?」
「勿論!そもそも、この命貴音に尽くすつもり。私は喜んで参加します!!」
フギンは自慢げに羽をバタつかせて言う。
「ん〜......まあ、シュヴァルは貴音と居られる時間が増えるならやろうかなぁ」
あまり人助けにやる気は無いが貴音という主人がやるならやる程度のシュヴァル。
「ありがとう2人とも!じゃあ、貴音がやった様に身体能力測定をしましょう!」
「......それより九条さん部署移動っすか?出世の邪魔になってないっすよね?課長だったのは継続なんすか?」
「んー......警視なのは変わらないけど課は変わるから課長はどうかなぁ......それより、実戦重視だから警察じゃ無いあなたを係長というかリーダーにしたいからごちゃごちゃしちゃうかしら......」
実際、26歳で警視で課長はフィクション以外ではほぼ居ないと思うくらい尋常じゃないペースで出世はしている。臨時で新設された課の課長とは言え、この若さで経験不足だと軽視されず警視になったばかりの九条が起用されている。なんせ、貴音も言っていたが射撃も体術も小柄とは思えない程に強く評価が高いからだろう。
「まあとにかく行きましょうか!」
ア⚪︎パンマンのエピソードは私の話です。




