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第9話 恩を返される貴音と便乗する猫とカラス

2メーター超えの奴が10歳くらいの子供2人連れてるの不審者だよね。

 自室 2024/5/17 AM8:01


 貴音は目がガンギマリ全く眠れず映画にも飽きて天井を見つめながら、2人がベッドから落ちない様に抱き寄せ続けていた


(......もう、これは眠らなくて良い身体になったと思う方が正しいか?疲労も吐き気も無いし、眠気と言うもの自体を感じなくなったな)


 そんな事を思っていると2人とも起きたのか同時に両手を伸ばして、その手が貴音の顔面にクリーンヒット。


「んにゃ......」 「かぁ......」


「ぐえっ!!」


(力強っ!2人も身体能力の測定が必要だなぁ。それより今日は九条さんの見舞いに行くかぁ......彼女の為を思ってだが強く突き放しすぎた気もするし......)


 そう思いながら起き上がると2人をベッドの真ん中に寄せて部屋のクローゼットを開ける。


「好きなだけ寝てな、私にはやる事があるから」


 そう言いながら着る物を買う暇がまだ無かったので、会見の時のスーツを着始めた。念の為に貰い物の香水をかけて。そうしていると何故か2人も服を着替え終わって後ろに並んでニコニコ立っていた。


「連れて行って!!昨日言っていたクジョーさん気になる!」


「シュヴァルも久しぶりに会いたいなぁ〜」


「......まあ、新しい家族だし紹介するかぁ............」


 そうして九条さんにメッセージすると、早く会いに来てと即答&上手くいけばなんともう今日退院と言う。腕から骨がはみ出たというのに、たった数日の退院に貴音は困惑した。しかも、右腕に機械をインプラントして腕力アップさせたらしい。更にその為機能も色々あると。そして世間知らずだった私は病院の面会時間が基本午後なのをここで知った。


「......ごめん。午後からだって、それなら面会出来るって。それまで道中の街を歩く?せっかく人間になったんだから楽しもうよ」


そう言うと猫の目と真っ黒な目がキラキラ輝いて見えた。うんうんと高速で頷き、黒い子達がわちゃわちゃ落ち着きが無く動き始める。


「ちょっ、落ち着いて!楽しみなのは分かるけど工具とか部品、武器が置いてあるんだから危ない」


「ごめん!!」 「ごめんちゃい......」


「いや、2人が心配だから言ったのであって謝らなくて良いよ......それより朝ごはん食べようか。私は食欲無いからエナドリだけ飲むけど」


 2人はバタバタ下に降りて行く、自分は歩くのがだるくてフワフワ浮きながら移動した。そしたら、もう母が味噌汁、焼いたソーセージと焼きおにぎり、鰹節おにぎりを用意していた。2人は人間の食べ物を美味しく食べれる事に喜びながらがっついていた。


「あら〜2人とも喉を詰まらせちゃうわよ......もうご飯は逃げないからゆっくり食べて良いのよ............」


 母はフギンの野生での生活に同情している。


「はい!!」 「うん〜」


「急に娘が2人できたみたいで賑やかで良いな!」


 と父は笑い言うがお金とか戸籍とか色々どうするのか貴音は聞いた。それに対して答える。


「金ぇ!?心配すんな、無職と小遣い貰っている大学生養っていたんだ。今女児2人増えた所で大した事はない!それにお前が勧めてくれた仮想通貨もいい感じだしな。あと戸籍はまだ政府が扱いに悩んでいるから下手に動かない方がいいな、下手に登録してからミュータント殲滅なんてなったら不利すぎるだろう?」


 貴音は株や投資は難しく大きな賭けであるので、有名な仮想通貨や売れそうな新しい仮想通貨を値が下がっては買って、上がっては売るを繰り返していた。その経験を父にも伝えていたので資産は少しずつ働かなくとも増えているらしいなと貴音は把握した。


「そうなんだ、それは良かった。まあ俺も貯金あるからどうとでもなるでしょ。まあ薬師寺は多分己がミーティアンにならない、なれないと判断したら何するかわからないからね〜」


「そういやぁ、良い事で思い出したんだが奏音、隕石が破壊された日に告白して恋人ができたんだってよ!!なあ?奏音!」


 と父が貴音の知らない割とデカめの情報を聞かしてきた。


「ちょっと......わざわざ言わなくても良いでしょ」


「つったって榎本綾乃(えのもとあやの)さんだっけ?随分と美人じゃないか。お前が見せてくれた写真の赤いマフラーに黒髪で短めツインテールで可愛らしい子がそうなんだろ?それに東大の理IIなんだろ?どこで文系偏差値60のお前と接点があるんだとずっと思っていたんだが」


 父の辞書に配慮という言葉は無い。それに別に奏音も全然馬鹿ではないどころか頭の良い部類なので日本の頂点に近い人間と比較される筋合いは無い。


「元々はゲームのネッ友だよ、ただ仲良くなって徐々に身元とかを明かしたら、覚えてないけど小学校が同じで家もそこそこ近いからそっからよく会っていたんだよ......そんで、隕石でもうダメで死ぬと思ったから、死ぬくらいならと電話で......伝えたら............ああ!もう恥ずかしいから無し!ご馳走様、俺今日休みだから部屋に戻るっ」


 そう言うとリビングから出て2階にドタドタ上がって行った。



「へぇ......そんな事がね。にしても漫画みたいで羨ましいモンだねぇ......まあ、成就して何よりだな。それに......この世界の治安を守る理由がまた一つ増えたな」


 そう言いながら拳を握り締める貴音。


「それよりお前は浮いた話無いのか?九条さんとは何か無いんか?お前は苦情言われそうなくらい付き纏っていたが」


 父は貴音にまで口撃。


「九条さんは26で警視の課長。バリバリキャリアのエリートだよ、相応しい人が現れた時のキューピッドにでもなるよ」


貴音は自身が彼女に恋しているのかもわからない、LOVEなのかLIKEなのか。いや、分かりたく無い為に適当に返す。


「キャリア?エリートだからなんだ?そこから相応しい人が現れたらって言葉が繋がっていないぞ。人の相性は学歴や職歴だけで決まる訳じゃないんだぞ?......まあ、そもそもお前が他人に興味無いんだったらキューピッドでも良いとは思うが後悔だけは作るなよ、過去はどうしようもないからな」


「......ああ、父さん」


 この顔になってから過去一嫌そうな顔をする貴音。


「シュヴァルは貴音の事好きだよ〜?」


「私も!!貴音万歳!!愛羅武勇(アイラービュー)!!」


 だが能天気にゃんにゃんと元気いっぱいカーカーに少し癒された貴音。


「まあその好きのカタチを人間生活で学んでいこうか。さて、少し休憩したら約束した通り外出するか!」


「うんうんうん!!」 「シュヴァル嬉しいー」


 そうしてスーツ姿の貴音、子供服の2人が玄関から出るとシャッター音が聞こえた。


「あぁん?......はぁ、海外セレブじゃねぇんだからパパラッチみたいなの来るなよなぁ......コラ、シュヴァルはニコニコでピースしないの............いや、もう開き直って3人でピースするか......」


 このヤケクソ行為で撮られた写真は記事になり、テレビの意味不明なニュース速報になる。なんせ貴音のマッスルポーズで腕の上に2人を座らせて3人でカメラ目線でピースをすると言う思い切った事をしたからだ。それに2人の詳細不明な為もあって更に話題が白熱した。がそんな事を気にせずフギンと貴音がシュヴァルの手を片手ずつ持ってだいぶ危険な飛行をして都内のパンケーキ屋に来る。


「ここの、フルーツどさどさ!ソースビチャビチャ!アイスバカ盛り!ぶち殺せSNS映え!ごちゃ混ぜ乗せパンケーキ。が美味いんだよ。パインとかベリーソースとかがかかって多種多様なアイスとパンケーキの味があってね、あと他店では見たことのない謎にクソ甘いミートソースとかもあって............」


 オタク特有の長話をする。


「シュヴァル冷たいの苦手〜......でも、この身体なら食べれるかなぁ」


「パンケーキ!!アイス!!人間から奪った時以来!!」


 朝ごはんを食べたばかりなのに、胃袋のキャパを気にしないミュータント組。


「フギン......それあまり人に言うなよ......ミュータントと人類は仲良しって言い難くなるから......」


 そう言いながらドアを開け来店すると店員が近づいて来る。


「3名さまで......っ!?た、貴音さん!?」


「流行りのメテオブレイカー呼びじゃないんだ......3名です」


「いえ、だって!隕石が落ちる前に私たち従業員を助けてくださったじゃないですか!まさにこの店で!」


「............あ!そうでしたね!そうだ、だからここのパンケーキが美味いのを知っていたんだ......ボランティアのし過ぎて忘れてしまう......申し訳ない............」


「言われて思い出すなら個人的には忘れていないと思いますよ!............店長!貴音さんがまたお越しになりましたよ!!」


(えっ、あれボランティアでやっていたの?あの時の強盗銃持っていたよ?でも貴音さん木刀とボウガンだったよね?てか無給って事だよね......しかも、し過ぎって言っていたよね?酷すぎる)


 一般人にまでボランティアで暴漢や犯罪者の対処(戦闘)をさせられていた事に同情される貴音。


「えっ、なんで店長?」


 そんな風に困惑していると、昔助けてもらったお礼をまだしていないと無料で全メニュー食べ放題になってしまった。何故、昔来店した時にバレなかったかと言うと、男の貴音はシンプルにここまで目立つ見た目では無いからだ。


「ご来店ありがとうございます、貴音様。あなたがいなければあの時に私の頭は砕けて当店のミートソースの様になっていたでしょう......この程度しか出来ませんか時間無制限です。全品お好きなだけ無料で食べていってください。同伴のお子様お二人も是非お食べください、おすすめはチーズパンケーキに果肉苺ソース+バニラアイス乗せです。当店名物のミートソースは......あまりお勧めしません」


(微笑ましく可愛らしい子達だな。ミーティアンの子供かな、いやミュータントの子供か?まあ、貴音さんがお連れになったのだから種族が何だろうと大丈夫だろう)


 やはり人間から獣に寄ったのか、獣から人間に寄ったのか普通の視点からだとわからない2人。フギンの最初に言っていた作戦は成功だ。

 


「なら私はそれと、これとこれと......」


「勧めてもらって悪いけど、シュヴァルは猫だから食べれなかったチョコを......」


 2人はまだ横に立っている店長を気にせずメニューを見始めている。貴音は困惑しつつ断ろうとしたがあまりにも押しが強いので折れてありがたく頂く事に。そして貴音も食事の必要は無いが勿体無いので食べることに、3人全員注文してバカみたいな量がテーブルに運ばれて来る。貴音の存在でパンケーキ屋なのにとても騒がしい店内。2人は気にせずがっつき食べ始めたので、その2人を撮影し店名と店の住所を載せたポストをZに投稿した。貴音なりの無料の恩返しで店を宣伝し、価値があるかわからないがサインも残したし、店員全員や客とも写真を撮ったりサインをあげた。 後日談として貴音のサイン色紙を見に店は繁盛し、飲食店激戦区の土地で2号店を出す事になった。そんなこんなでたらふく食べた3人は感謝を伝え店を出た。



「シュヴァル......おえ゜っ!......何キロ食べたかな............」


 ミームの白猫の様にえづくシュヴァル。


「焼いた枚数は把握していただろうから聞けば良かったね!!!」


「土産も貰っちまったなぁ......これ、九条さんにあげるか。恩を恩で返す。返され過ぎた気もするけど優しく良い世界だなぁ............」


 そんな感じで雑談しながら歩いたり飛んだりして観光気分で遊んでいると昼頃になり、病院に向かう。

猫がチョコ食べれるのいいよね。

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