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第5話 アダマとカエサル隊 2

 ノックもせずに入って来た女を見て俺は驚いた。

 シグナ・ルーンと呼ばれた女性はメアリのセパレート衣装を超える露出度を持つ服装——ビキニアーマーを着ていたからだ。

 しかも高い身長に豊満な胸、綺麗で長い緑の髪を持ちエメラルドグリーンの瞳を持つ(ゆう)する美女。肌は健康そうな褐色(かっしょく)肌で(かわ)製のロングブーツを()いている。

 つまり——。


「変態か」

「なに?! そう言うお前は誰だ」

「紹介しよう、シグナ・ルーン。彼は私が見込んだ男でカエサル隊の新しいメンバー、アダマ君だ」


 紹介されると彼女は目を大きく開けて俺を見た。

 高い身長に豊満な胸を持つ彼女だが隊長殿とはまた違う雰囲気を持っているな。

 隊長は妖艶と言った感じだが、どこか彼女からは真面目な雰囲気を感じる。


「……隊長が認めた男性、か。ならば一隊員である私が(こば)むことは出来ないな。自己紹介が遅れた。私はこの隊の剣士、『シグナ・ルーン』だ。これからよろしく頼む、巨漢(きょかん)殿」

「俺の名前はアダマだ。巨漢殿ではない」


 そう言いながらも彼女が出してきた手を取る。

 握手をしてにこりと笑う。

 (わず)かに顔が引き()った感じがするがそれ以上何もなかった。

 少なくともエリアエルのように逃げられることはなかったから少しホッとする。

 彼女は比較的まともなようだ。


「剣士、ということは俺と同じ前衛か」

「あぁ。そうだとも」

「……その装備だと相手の攻撃をまともに受けた時、致命傷にならないか? 」

「そのようなへまはしない。これでも私は回避が得意なのだ」

「つまり回避しながら剣を振るう、と? 」


 俺が言うと大きく頷く。

 なるほど。回避盾の剣士版のようなものか。

 相手の敵意(ヘイト)を稼ぐのではなく仕留めに行くタイプ。


「それに……」

「? 」

「見られているほうが興奮するじゃないか」


 ……。


 変態だぁ!!!


 まごうことなき変態だ。

 体を赤くしながらきりっとした表情で途轍(とてつ)もない事を言いやがった。

 あぁ。確かに「変わっている」な。だが「少し」ではない!

 やはりエリアエルの感性(かんせい)もずれているようだ。


「さて各々自己紹介も()んだことだ。本題に入ろう」


 カエサル隊長が少し咳払いをした後そう言った。

 真面目な口調になったので背筋が伸びる。

 ちらりと両隣を見るとエリアエルもシグナも真面目な顔をしていた。


「現状ダンジョンに潜ることは出来なかった」


 それはダンジョン攻略部隊としてどうなのかと思う。

 だがまぁ、味方を巻き込む破壊魔がいたら入れないよな。


「しかし今日入った『硬化』のスキル持ちであるアダマ君が入ったことで可能となった! 」


 そう言った瞬間シグナが俺の方を見た。

 どういうことなのか手を上げ質問したのでカエサル隊長が説明した。


「これでダンジョンに入れるのですか! 」

「あぁ。そうだとも。因みに範囲防御範囲を聞いていても良いかい? 」

「大体五百メルほどでしょうか」

「素晴らしいぃ! 」

「これなら打ち放題です! 」

「しかしその硬化スキルはどこまで頑丈(がんじょう)なのだ? 最低でもこの兵舎(へいしゃ)にかけられた防御魔法程度は必要なのだが」


 (もっと)もな疑問だ。

 そう思い大体の目安(めやす)を教える。


「どこまで、どの属性を、というのを全て確認したことはないが、少なくともダンジョン二十階層フロアボス『レッサー・ドラゴン』のブレスや爪撃(そうげき)程度では痛みも感じなかった」

「「「ほほぉ」」」


 変態三人が一斉にこちらを見てくる。

 少し恥ずかしくなり(ほほ)()く。


 二十階層フロアボス『レッサー・ドラゴン』。

 あの時は後方からキルケーが魔法を連打し、ドラゴンを拳で殴りながら敵意(ヘイト)稼ぎ、俺に攻撃をさせている間にカイトがギリギリ仕留めた。

 火力で(おと)るが属性魔法で弱点を()いたキルケーに体の柔らかい所を攻撃しまくったカイト。

 シグナ・ルーンの剣技のほどは分からないが、少なくとも、——例え変態であっても——高火力の範囲魔法を放てるエリアエルの実力を認め入れたカエサル隊長が入れた人材。

 このメンバーならばあのダンジョンの踏破(とうは)記録を抜けるんじゃないだろうか。


「ならば我が隊も本格的に動く必要がある」

「やっとダンジョンに入る訳ですね」


 シグナがそう言い隊長が席を立つ。


「その通りだがその前に一つやっておかないといけない事がある」

「「「??? 」」」

「アダマ君の事だ」


 実力を調べるか何かだろうか?


「君はここに来てまだ浅い。加えて爵位を持たない」

「? 確か軍に入るには爵位は必要なかったと思いますが」

「普通の兵団(へいだん)ならばな。だが君が(ぞく)するのは独立ダンジョン攻略部隊。特殊な立ち位置であるがゆえに、最低限なんでもいいから爵位が必要なのだよ」

「……知りませんでした」

「あぁ。募集のチラシにも書いてなかったしな」


 いやせめて書いていてほしかった。

 しかし何故書いてなかったのだろうか。


「書いていない理由は簡単。この場で騎士爵を(さず)ければ良いからだ」

「そんな簡単に(もら)うことができる者なので? 」

「……一定以上の爵位を持つ者なら簡単だろう。しかし今の私にはごり押しできる権限がない」


 ? どこか気になる言い方だな。


「なのでこれからアダマ君を筆頭(ひっとう)とした三人でダンジョンに(もぐ)ってもらう」

「「「!!! 」」」

「そこで何でもいいから功績を挙げてきてくれ。以上解散!!! 」


 その一言で俺達は扉を出——。


「アダマ君。君とはじっくりと、おはなし、したいのだが、構わないかね? 」


 全力で出た。


 ★


「カエサル隊長はいつもあんな感じなのか? 」


 作戦会議室から自分の部屋へ行く途中、部屋へと案内してくれているエリアエルとシグナ・ルーンに聞いた。

 すると少し苦笑しながら見上げて来た。


「まぁそうですね。あんな感じです」

「恐ろしい二つ名を持つが本当は優しい方だぞ? 」

「……俺は普通に身の危険を感じたんだが」

「その内慣れますよ」


 エリアエルがそう言い「そうか」とだけ呟き先に進む。

 しかし——。


「ん? 確か今さっきこの隊に所属するには貴族位が必要と言ってたよな? 」

「そうですね」

「なら二人も貴族? 」

「今更気付いたのですか? 」

「自己紹介した時に家名を言ったはずだが? 」

「……失礼しました」


 (あき)れたような表情でエリアエルとシグナ・ルーンが言った。

 そう言えば言っていた。

 豪商(ごうしょう)とかでも家名を持つ人がいるから気にしなかったが、確かに貴族は全員家名を持つ。

 むしろ魔法使いと剣士で家名持ちならば貴族の方がしっくりくる。


「一応一番下の騎士爵ですよ」

「私もだ」

「これからは敬語を使った方が良いか? 」

「必要ありません。すぐにアダマも家名持ちになりますから」

「次行くダンジョンに潜れば幾らでも功績は挙げられる。楽しみにおくと良い」


 そう言うシグナ・ルーンについて行き部屋に着く。

 二人と別れて部屋に入った。

ここまで如何だったでしょうか?


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