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第49話 アダマ達の報告と作戦会議 そして試練の塔の踏破

「失礼しました」


 アダマが扉を閉じると女王グローリアは息を吐いた。

 ここは王城の一角。王族達のプライベートルームである。

 部屋の中央には大きな円卓が見える。

 そこにはグローリアの他にアダマ達に同行した第二王子ライナー・カエサルも座っていた。


 女王グローリアはアダマ達が返ってきた時試練の塔を攻略できたのではないかと喜んだ。

 試練の塔はその広大さから攻略が進んでいない難関ダンジョン。

 攻略できたことによる恩恵(おんけい)は多い。

 難関ダンジョンを攻略したことによる恩恵はアルメス王国を見ればよくわかるだろう。

 アンデットしかでない死者のダンジョンの踏破ですら経済を活性化させ国を(うるお)しているのだ。

 彼女が期待しない方がおかしいというもの。

 しかしアダマ達からもたらされた報告は予想外の一言で。


「まさか試練の塔に邪神教団の研究所があったとは」


 思わずグローリアは呟いた。

 クラウディアが書いたであろう報告書を見ながら彼女は頭を痛める。


 邪神教団はどこに拠点(きょてん)を持つかわかっていない。

 ダンジョンのどこかに隠れている可能性があると言われていたが、まさか難関ダンジョンに潜んでいたとは思わなかった。


 何せあの広大なフィールドである。

 攻略するだけでもかなりの人員が必要になる。

 それに報告によると研究所らしき建物があったと書いてある。

 そこから(みちび)き出される答えは一つ。


「軍内部に裏切り者がいるということですか」


 グローリアは報告書から目を放しながら言った。

 その言葉に顔をしかめるライナー。

 出来れば嘘であってほしい予想である。

 しかし多くの人材を用いて国よりも上層へ行くにはそれしか考えられない。

 

「監視の目を()(くぐ)るにはそれしかないですな」

「身内にそのような者がいるとは(なげ)かわしい」

「ドクター・フォーシャの事もあります。この国で顔が割れている彼が活動するには、やはり裏切り者の存在が不可欠かと」


 それを聞き溜息を吐くグローリア。

 そこでライナーが提案する。


「兄上と軍務卿を呼び、早急に会議を開くことを提案します」

「そうだな。それが一番だろう」


 グローリアはライナーの提案を受け入れ、二人を呼び出す。

 そして四人は軍議が行われる作戦会議室に集まった。


 ★


 作戦会議室に四人集まっている。

 メンバーは女王グローリア、第一王子オスケル、第二王子ライナー、そして軍務卿ベルナー・ベイヤーである。

 無骨な部屋に呼び出されたオスケルとベルナーだがグローリアの言葉に驚き叫んだ。


「あのマッドサイエンティストが試練の塔にいたですと?! 」

「まさか有り得ない! 」

「だがそれは事実」

「俺も見た。その姿もそうだが邪神の力を取り込んで変身した姿も、な」


 それを聞きさらに驚く二人。

 予想できた反応に特に驚くこともなくオスケルとベルナーが落ち着きを取り戻すまで待つグローリアとライナー。

 そして「失礼しました」「取り乱したようで」と言い落ち着いた所で次の話へ彼女はもっていく。


「しかし殿下。邪神の力を取り込んだ姿、というのは一体」


 ベルナーが聞く。

 特に隠すこともないのでライナーはその姿を教えた。

 その考えられない姿に「本当なのか」と疑うも、ベルナーはライナーが嘘をつけない性格であることを思い出す。

 魔物以上に禍々(まがまが)しい姿に脅威度が想像つかないベルナーとオスケルだが、ライナーは更に付け加えた。


「どうやら邪神の力を取り込んだ魔物や人間には通常攻撃が効かないようだ」


 とアダマ達から教わったことをそのまま伝えた。

 今までの話でも眉唾(まゆつば)ものなのに無効化スキルを持っているという事実を教えられ少し考えを放棄する二人。


「神託の巫女のこともある。彼らの話を統合すると世界の滅亡は恐らく邪神教団の手によるものだろう」


 (おごそ)かな雰囲気でグローリアは言った。

 しかしそれにオスケルが反論する。


「研究所は破壊できたことですし、すでに回避されたのでは? 」

「それはないだろう。カウツ・フォーシャの実験がすでに成功していた。ならばその技術が教団に流れている可能性は高い」


 グローリアの言葉に納得するオスケル。

 そこにベルナーも加わった。


「これは早急に対策を()らなければなりませぬな」

軍備(ぐんび)(いそ)ぎたいところだが……」

「軍内部に裏切り者がいる可能性がある。下手に動けないのが現状」


 女王の言葉にライナーが付け足す。

 その理由についてグローリアがベルナーに言う。

 するとベルナーは頭を抱えて下にやる。

 そして頭を上げて女王に向く。


「この度は我が軍が多大なご迷惑をおかけしました。心から謝罪を」

「……本来ならば管理不行き届きと言う所で処罰を下す所だが時期が悪い。まずは軍内部の浄化を」

「早急に取り掛かります! 」

「軍の裏切り者を発見し次第、対邪神への軍備に移る。ライナー」

「分かっていますとも母上」


 そう言いながらライナーは立ち上がる。

 そして二人に向いて軽く咳払いをした。


「過去にも邪神は出現している。しかし現在俺達が存在するように滅亡は回避できた。その時の対処法だが文献によると——」


 会議は続いて行く。

 (きた)る戦いに備えるために。


 ★


 グローリア女王陛下に報告した後、俺達はライナーを連れて試練の塔へ再度登っていた。

 しかし入る時カエサル王国の軍人が少ないように見えたのだが気のせいだろうか。


「四十階層ボス攻略。そして——」

「これで最後ですね」


 飛んでいる火を()った魔物を打ち落とし一息つく。

 名前は知らないがこの魔物は何度倒しても復活してきた。

 恐らく再生系のスキルを使ったのだろうと推察(すいさつ)される。

 だがその再生スピードを(はる)かに上回る攻撃を繰り出すことで撃墜できた。


「……死と再生の火鳥ロード・オブ・ファイアーバードをこうもあっさりと」


 ライナーが引き攣った顔でそう言い隊長が魔物について説明してくれた。

 それを聞く限り中々に厄介な魔物だったようだが、カエサル隊の火力の前では注意するレベルではなかったようで。


 そもそも高火力のメンバー。

 その彼女達が試練を通して更に強くなったのだ。

 今なら上位の竜種に(いど)めるかもしれないと少し思っていたりもする。


「ほら行くぞ、アダマ」

「ぼーっとしていると置いて行きますよ」

「むしろ置いて行かれたいのか? 」

「そんなことはない! すぐに行く! 」


 カエサル隊の皆が呼んでいる。

 彼女達の元へ行き、魔法陣に乗る。

 そして今日この日俺達カエサル隊は二つ目の偉業(いぎょう)()()げた。

ここまで如何だったでしょうか?


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