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第30話 アダマと東区の人達

「お前アダマじゃないか!!! 」


 ダンジョンを攻略し出た後、冒険者時代の知り合いに引き留められた。

 彼の言葉に周りが気が付き、彼の頭()しにぞろぞろと近づいて来るのがわかる。


「元気だったか? 」

「あぁ。何とかな」


 一度死んだが。


「お前の話、聞いたぞ? 」

「……(ちな)みにどんな話か聞いても? 」

「馬鹿。お前が死者のダンジョンを攻略したって話だよ!!! 」


 ガハハハハと笑いながら腰辺りを叩かれた。


 やっぱりその話か。

 身長の事もあって俺は人よりも目立つ。しかし目立つのが好きなのかと言われると嫌いだ。

 だからできるだけ広まって欲しくないんだが、こればかりは仕方ないのか。


「おい。アダマが来たぞ! 」

「本当だ! 」

「おい! 英雄殿の凱旋(がいせん)だ」


 何かとんでもない事になっている気がする。

 と思っていると隣から隊長がクスクス笑いながら声かけて来た。


「人気者じゃないか。君は」

「……嬉しいのですが、騒がれるのは苦手なので複雑な気分です」

「騒がれている間が(はな)さ。さぁ報告に冒険者ギルドへ行こう! 」


 多くの人に周りを囲まれながら俺達はダンジョン攻略へ冒険者ギルドへ向かった。


 この区の冒険者ギルドはそれなりに立派だ。

 兵舎(へいしゃ)ほどではないにしろ大きな煉瓦(レンガ)状の建物に、毎日ダンジョンへ冒険者がいっているのにも関わらず清潔な受付。


 このギルドが恵まれていることに気付いたのは村に隣接するダンジョンを攻略しに行った時。

 そのダンジョンは冒険者ギルドによって管理されていた。

 だから村にある冒険者ギルドへ行く必要があったのだが、行くとちょっとした家のような所。

 この東区の冒険者ギルドに人が集まる理由がよくわかる。


「ダンジョンを攻略したのですか?! 」

「あぁその通りだ」


 その東区の冒険者ギルドが受付の大きな一言で揺れた。


「マジかよ?! 」

「いや有り得ねぇって! 」

「嘘に決まってる! 」


 長年二十五階層までしか攻略されていなかったんだ。疑うのも無理はない。


「待て。あそこにいるのアダマじゃないか? 」

「うわっ! マジだ! 」

「死者のダンジョンを攻略したアダマがいるということなら、あの女が言ってるのは本当じゃないのか? 」

「……確かに」

「ならとんでもねぇ偉業(いぎょう)だぞ! 」

「そうだな。……というよりもあのねぇちゃん。もしかしてアダマの同僚(どうりょう)じゃないか? 」

「最近ダンジョンを攻略している国の軍か?! 」

「服もそれっぽいし……」


 攻略したのはクラウディア隊長なんだが何故か俺がやったことになりそうになっている。

 これは何か言った方が良いのか?

 そう思い声がする方を見ると一人の少年がこちらに向いて驚いた。


「あの人がアダマさんなのですか?! 」

「そうだぜ新入り。あのでけぇのがアダマだ。分かりやすいだろ? 」

「はい! でも……ふわぁぁぁぁぁ生アダマさんだぁぁぁぁ」


 ちょっと待て。生アダマってなんだよ、生アダマって!

 もうちょっと言い方があるんじゃないか?

 と言うよりもお前ら俺を背丈(せたけ)だけで判別(はんべつ)していないか?

 確かに目印になるがもう少し他の覚え方をして欲しかった。


「アダマ君」

「はい! 」


 他に気を取られているといきなり隊長が声かけて来た。

 飛びあがるように声を上げ振り向く。


「どうやらギルド長がお呼びのようだ」


 クラウディア隊長がにやりと笑みを浮かべて階段を向いた。

 久しぶりに見た受付嬢が上へ誘導するように俺達を(まね)いている。

 受付嬢について行きそして俺達はギルド長室へ入っていった。


 後ろの方で笑い声が聞こえてきたのは仕方ないだろう。


 ★


「まさかアダマが攻略するとは」

「ギルド長。攻略したのはクラウディア隊長です」

「分かってるって。だがよ。防御特化のお前がその場にいたというのが感慨深くてな」


 ソファーに座り出された紅茶を飲みながらギルド長が言った。

 クラウディア隊長がその正面に座り事の詳細を伝えた。


「無効化スキルをもった魔物、か。カエサル殿の攻撃も完全に無効化されたと? 」

「ああ。信じがたい事にな」


 俺は立って見下ろしながら二人のやり取りを見る。

 「かぁぁ~」っと頭を()きながらギルド長は「どうしたもんか」と呟いて少し考え込んでしまった。

 隊長はそれを見ながら優雅(ゆうが)に紅茶を飲んでいる。

 その姿を見るとどこか気品が出て見えるから不思議だ。


「ま、ギルドとして対処は考えておきましょう。一先ず各ギルドに注意喚起(かんき)を」

「それが良いかと。してギルド長」

「……面倒事は嫌ですよ? 」

「面倒事ではない。今回攻略したのは私達独立ダンジョン攻略部隊、と言うことになる」

「そうですな」

「国から許可を得ているとはいえ、この場合はどうなる? 」


 ダンジョンは資源になりえる。

 ダンジョンを中心に国家ができる程だからそれは容易にわかるだろう。


 通常国がダンジョンを管理し、そしてそこに様々な職業の人が集まり町ができるみたいだ。

 しかし今回の様に冒険者ギルドがダンジョンの権利を保有している場合もある。

 土地は国のものだがダンジョンの商売としての権利は冒険者ギルドのもの。


 本来ならば冒険者ギルドがダンジョン内へ冒険者以外の立ち入りを制限しての良いのだが、現状制限されていない。

 何故ならばダンジョン内に入った犯罪者を国の機関が捕らえるためだ。

 冒険者ギルドの透明性を示すためにもこうした細かい決まり事があるようで、俺も攻略していく内に知った。


 が今回の様に外の者が攻略すると少々複雑なことになってしまうのも事実で今調整を行っているらしい。


「……はぁ。今もそこのアダマは冒険者ギルドに所属していることになっている。『冒険者』アダマがダンジョンを攻略した、ってのはどうですか? 」

「いやいや冗談がきついとも、ギルド長。『独立ダンジョン攻略部隊所属隊員』アダマがダンジョンを攻略した、でしょう? 」


 二人の背中に疲れた顔のトラと獰猛(どうもう)な笑みを浮かべる黒い蛇を幻視(げんし)した。

 ギルド長という役職も大変なんだな、と思いながら二人の話を流し聞く。

 話し合いが終わったのか、クラウディア隊長が俺を見上げて満面(まんめん)の笑みを浮かべてきた。


「帰るぞ。アダマ君」

「はい」


 そう言い隊長は立ち上がる。

 ギルド長に挨拶して扉を開けようとすると、声をかけられ止められた。


「……裏口がある。そこから出た方が良さそうだ」

「? どういうことで? 」

「窓の外を見て見ろ」


 そう言われて部屋の窓に向かう。

 するとそこには多くの人が集まっていた。


「こっちから出ればあれには出くわさないだろうよ」

「ありがとうございます」

「ま、軍でも元気でやりな」


 そう言われながらも俺達は裏口から出て中央区へ戻った。

ここまで如何だったでしょうか?


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