第15話 新武器!
登録が終わった後何もない空間で俺達は少し休憩していた。
ちらりと部屋の端に顔を向けるとそこには三つの魔法陣があるのがわかる。
「コアによると一つは指定したダンジョン内部への転移魔法陣。一つは帰還用の魔法陣、そして最後は――」
「「宝物殿への転移魔法陣!!! 」」
目を輝かせてエリアエルとシグナが言った。
「ダンジョン踏破と言えばお宝! 」
「あぁ。その為に踏破を目指しているようなもんだしな! 」
独立部隊の事情は知らないが、冒険者はそうだな。
だが最近はめっきり踏破されたダンジョンはないが。
しかし俺が踏破者になるとは思わなかった。
財宝を受け取るほどの苦労はしたと思うが、少し戸惑ってしまう。
「さぁ行きましょう! すぐに行きましょう! 」
「きっと見ごたえのあるお宝があるんだろうな。何せあんなにもボスが強かったんだからな」
シグナがそう言い俺を引っ張る。
そんなに急がなくても、と思いながらも彼女達について行き魔法陣の上にのった。
★
「「「おぉぉぉぉ……」」」
ダンジョンの宝物殿。
俺達はその光景に目を見開いて感動の声を漏らした。
中は神殿風。
しかし金銀財宝があちこちに置いてあった。
歩きながら見ているとタタタとシグナが財宝の方へ行った。
「この剣! 見てくれ! 」
シグナが手に取り上にかざす。
しかし周りの財宝とは異なり普通の長剣に見える。
なにが彼女を引きつけているのだろうか、とおもいながらも彼女に近寄る。
すると彼女が剣の説明を始めた。
「普通の剣に見えるがこれも魔法剣だ。しかもかなり軽い。切れ味、強度は試してみないとわからないが、少なくとも私が持っている剣よりかは優れているだろう」
そう言い軽く振りかざす。
すると風刃が地面を斬った。
「「「!!! 」」」
「こ、これは……」
「あ、危ないじゃないですか。シグナ! 」
「わ、悪い。練習が必要だが……私はこれにしよう。どうせ全部はもって帰れない」
顔を引き攣らせるシグナから財宝に目をやる。
確かにこれは持ち帰きれない。
何回かに分けて持って帰るのが一番だろう。
「私はこれにします」
「魔杖? 」
知らない間にエリアエルも物色していたようだ。
一本の魔杖を手に取って軽く振っていた。
「大きな魔石だな」
「ええ。それにこのスムーズな魔力の伝わり方。恐らくオーダーメイドしても手に入らないでしょう」
そんなに価値があるものなのか、と思いながらも「俺も」と思い探す。
服はもうあるから大丈夫だろう。
服がボロボロでも着ないと思うが。「どこの豪商だよ! 」と叫びたくなるような金ぴかの服ばかりで、ここにある服を着る気にはなれない。
靴は、と思ったがやめておいた。見つけた靴はあちこちに宝石のような物を嵌めていたからだ。厄介事しか持ってこない気がする。
ならばと思い周りを探す。
すると一組の赤い籠手があった。
無骨だが頑丈そうなそれを手に取り嵌めてみる。
するとフィットした。
金属を嵌めたはずなのだが金属感がない。感触的には何か温かいものに包まれている感じだ。
「これにしよう」
ガンガンと拳を打ち合わせて決定する。
打ち合わせた時に少し衝撃波のようなものが周りに出たが、シグナのそれをみた後では可愛いものと感じた。
「似合ってますね」
「アダマにしては派手なんじゃないか? 」
「……確かにそうかもしれないが、他の派手なものに比べると落ち着いている」
確かに、とシグナは言いここから出ることを提案した。
「持って帰れるだけ持って帰らないのか? 」
「証明だけあればいいと思う」
「そうですね。最終的には国に持っていかれるのですから」
……え?
「独立ダンジョン攻略部隊はダンジョンを攻略するのを目的にして作られた組織。攻略した部隊は幾つか褒美として財宝の一部を受け取ることができるが、基本的に他は国が持っていく」
「これまでにも他の隊が幾つか一般的なダンジョンを攻略していますが、財宝関係はもっていかれたと嘆いていましたね」
「ここまでのものは初めてだろうけどな」
そ、そんな……。
これを全部持っていかれる?!
いや全部引き取れと言われても困るが……。
じゃぁ何であんなにも宝物殿に行きたがっていたんだ?
「見て見たいじゃないか。金銀財宝の山を」
「生涯に一度は見て見たいですね。しかしアダマについていったらもっと見れそうですが」
そう言い二人は転移魔法陣の方へ行く。
ショックで落ち込みトボトボと歩きながら彼女達について行く。
新しい武器を手にして、ダンジョンを出るのであった。
★
「お、帰って来たか。遅かったがどうしたんだ? 流石のお前達も苦戦したか? 」
外に出るとカエサル隊長の声が飛んできた。
しかし急に太陽に照らされたせいか眩しく目が開けられない。
「ん? 武器? 」
やっと目が慣れ瞳を開ける。
すると何やら俺達の手を見ていた。
そしてどんどんと表情が変わっていく。
「ま、まさかお前達。ダンジョンを攻略したんじゃないだろうな?! 」
大きく声を上げながら俺達に詰め寄るカエサル隊長。
そんな彼女に俺達は一言。
「「「攻略しました!!! 」」」
カエサル隊長が――固まった。
復活したカエサル隊長に連れられて遮音の魔法がかけられた部屋で俺達は事の経緯を説明した。
すると「処理しきれない」と言った形容しがたい表情を浮かべながらじっと考える。
「ダンジョンに閉じ込められて? ボス部屋に死神がいて? アダマ君が死んで生き返った? 加えて世界の滅亡? 」
その言葉に俺達は頷く。
すると大きなため息をつきながらも顔を上げた。
「信じよう。公表するかは置いておいて」
「信じてくれるのですか? 」
「あぁ。アダマ君が死んで生き返ったこと以外は」
まぁそれは流石に信じられないよな。
しかし世界の滅亡は信じられるのか。
「説明した私がいうのもなんですが、なんで信じられるのですか? 」
「それはアダマ君が……」
「「「アダマ (俺)が? 」」」
「これほどまでない良い男になって帰って来たからだ」
顔を赤らめ俺に近付こうとするカエサル隊長。
神界で試練を受けていた時以上の危機感?!
立って後ろに飛び退こうとする。
が、その間にエリアエルが割って入った。
「ア、アダマさん!!! 」
キリッとした表情で俺に向くエリアエル。
予想外の出来事に俺は驚く。
「な、なんだ?! 」
「隊長の色気に負けては不屈の精神が泣きますよ! 」
た、確かに。
一人納得していると隊長がエリアエルに聞く。
「……ダンジョンの中で二人は何かあったのか? 」
「ふぇ? 」
エリアエルが少しおかしな声を上げた。
なにもなかったと思うが……。
ちらりとシグナの方を見ると笑いを堪えるような顔をしていた。
まさか俺が死んでいる間に何かされたのか?!
「な、なにぃもぉありみゃせん!!! 」
「狼狽えているということは何かあったな」
「そんなことはありません! 」
「そこで一つ提案だ」
「話しを聞いてください! 」
「アダマ君を私達の共有財産にしないか? 」
「乗りました」
「おい待て!!! 」
すぐさまその決定に異を唱えた。
ここまで如何だったでしょうか?
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