醜悪顔の男は小石を弾く!
手に取って下さりありがとうございます!
自分の顔は丸い鼻、やぼったい唇、丸を潰して二つ重ねた様な顔の形をしている
そのせいか女子からは怖がられ、話しかけられることはなかった。
そんな見た目にオークとかゴブリンとかあだ名をつけられ、悔しい思いをした自分は努力した
顔の作りはどうにもならないから運動や勉学に力を入れ、いい大学へも入学し、数々の運動系の部活やサークルで大会では負けなしになった
しかし、知恵を持った見た目も力もオークとか、人間じゃないオークに負けたんだから仕方ないとか噂をしているのは聞こえてくる。自分、耳がいいんだ。
そんな時に大学で人気の女の子に声をかけられ、ストーカーの被害に会っているからボディガードをして欲しいと頼まれた
目の前で見るととても可愛く、緊張で汗をダラダラかきながら了承をした
それから彼女と一緒にいる時間が増えて、偶に双眼鏡でコッチを見ていたりする奴がいるので、彼女が自分を怖がらないように彼女が見ていない位置で小石を指で弾き飛ばし、双眼鏡を破壊。
偶に覆面被った数人が車で横付けしようとしてくる時があるが、横付けされる前にタイヤを指で弾いた小石で撃ち抜き横転させる。窓が黒塗りでも見えるんだ。目がいいから。
彼女が家に上げてくれて、お茶を出してくれたこともあった。その時に彼女の臭いではない人間の臭いが部屋のあちこちからしたから、彼女が見ていないタイミングでお茶に指をつけ、水滴を指で弾いて盗聴器と小型カメラを撃ち抜いておいた。鼻がいいんだ。機械音も聞こえたからな。
そんなある日大学の人気のない使われなくなった建物に呼び出され、恥ずかしそうにモジモジした彼女が大事な話しがあると切り出して・・・
バカにした様な笑顔を向けて今までのは全部嘘だったことを告げられた
ストーカーにあっていたことも作り話しだと話し、おかしそうに笑っている彼女・・・
まぁ知っていたんだが。耳がいいからな自分・・・
彼女が自分を揶揄うために話しかけてきた事も、街を一緒に歩くのも醜い自分と彼女を並べて歩くのがチグハグ過ぎて笑えるからという事も・・・家に呼んだのも自分を揶揄うのに飽きてきた彼女が、警察か保健所に自分を突き出すための証拠を作ろうとしていた事も
全部知っていた。
けど、彼女は見惚れてしまうほどに可愛くて、自分に声をかけてくれた最初の女の子だったから・・・例え嘘でも嬉しかった
彼女は「彼氏にでもなれると思っていたのか?」とか、「その見た目で人間とかないわ!」とか、同じような事を影で言われ続けてきたがここまでハッキリ言われると慣れているつもりでも心が痛んだ
彼女が隠れている彼女の友達に声を上げて呼んでいる。沈んだ自分の心にこれから追い討ちをかけようという算段らしい。そう話しているのを聞いた。
分かっていても辛いものだと落ち込みながら気を緩めてしまったのが悪かった。遠くで聞こえた銃声、銃弾がこちらに向かってきているのを自分の耳が捉えた。
小石を指で弾いて・・・はもう間に合わない。咄嗟に彼女の前に両腕を広げて躍り出て。胸に衝撃が走った。
何事か背後で言っている彼女。続け様に二発三発と撃ち込まれ、口や身体から血が滴り落ちる。その後も何発も身体で受け止め、弾切れなのか銃声も止んで遠くで慌てたようにマガジンを替えようとしている音が聞こえる。視界でもそれを捉えた
身体がデカくて良かった。チラリと後ろを振り返り彼女の様子を確認すると、涙を流してガタガタ震えている彼女と目が合った。怖がられるかもしれないが安心させるように笑ってみた。
そうしながらポケットから小石を取り出し、しっかりと視界に相手を捉えて、最後の力を振り絞って指で弾き飛ばす。
遠くでグホッ!?と声を漏らしながら数メートル吹き飛んでいるのを確認して、そのまま情けなくも自分は意識を手放してしまった
読んで下さりありがとうございました!