大学デビュー
陸上選手として滝野川大に入学した3人は、いよいよ大会に初出場する。
全員100mにでると思いきや、七海は別の種目に。
一方、朝倉が岡山の全国中学で逸材を見つけていた。
滝野川大に入り、バスケ部上がりと懐疑的な目で見られた3人だったが、整った環境で本格的に陸上の指導を受けると、みるみるうちに急激にタイムを伸ばしていった。
短距離ブロックでも地位を高めていった。記録会への出場も決まった。
練習もかなりハードだったが、高校のバスケ部の練習量が多かった為、なんとかついていくことができていた。
ある日の練習開始の時だった。
藤森「集合。来月の東京選手権にエントリーしたから、各自準備してな。参加者と種目を伝えるから」
「はーい」
「100は、さくらと陽菜」
「はい」
「はいっ!」
「200は、七海と吉川」
「はい、えっ?」
「はい」
「なんで私が200なんだろ?」
七海は不安になった。
▽試合当日
藤森「これプログラムだから、何組目かチェックして、招集に送れないようにな」
100mの4組目にさくら、8組目に陽菜とあり、200mの2組目に七海となっていた。
陽菜「滝野川のユニフォーム着て初戦、足がガクガクするよ」さくら「なんとかなるでしょ」
100mが始まった。 そして4組目。
「オン・ユア・マーク」「セット」 プァーン!
さくらはスタートでトップに立つも、70メートルあたりでつかまり、3位でゴール。
続いて8組目。
「オン・ユア・マーク」「セット」プァーン!
陽菜はスタートに出遅れ気味だが、後半追い上げを見せて、2位でゴール。
午後になり、200mが始まった。
七海は2年生の吉川みなみと一緒にアップをして、レースにのぞんだ。
2組目。
「オン・ユア・マーク」「セット」プァーン!
コーナーのスタートをスムーズに加速し、直線に入った七海は先頭だったが、ラスト20mで抜かれ、2位でゴール。
「はぁ、はぁ、死ぬ」
さくら「お疲れ、みーなな」陽菜「あとちょっとだったねー」
夕方になり、全ての競技が終了した。
藤森「お疲れさん。どうだった?」
七海「疲れましたよ。200は。長いんだもん」
「だろうな。まだ走り切れてないしな」
「どうして私が200なんですか」
「まぁ、なんとなくかな...」
同日、朝倉宣伸は全国中学陸上選手権が開催されている岡山にいた。
「次は女子100m決勝です」
「オン・ユア・マーク」「セット」プァーン!
ワー、ワー、ワー、ワー
「1位は兵庫県但馬学園の鈴木 結衣さん。記録11秒50.中学新記録がでたようです!」
朝倉「よし!きたな。これこそ将来の日本のエース候補だ!!」
プルルルル 朝倉の携帯が鳴った。
「もしもし、朝さん?」
「おーっ、フジ、どうした?」
「3人娘、今日デビューしました」
「そうか、どうだった?」
「まぁまぁですかね。さくらはスタート抜群ですし、陽菜は後半伸びます。七海には200を走らせましたが、コーナーリングのセンスがあります!」
「そうか。こっちは、中学新でたぞ」
「マジっすか?。じゃあこれで4人揃いましたね」
「ハハハ。フジ、面白いこと言うな」
この時藤森のテキトーな発言が後に大舞台で実現するとは、誰も知る由もなかった。
つづく
◎登場人物紹介
中川さくら/さくちん 158cm あねご
桜井 陽菜/はるはる 175cm 物静かな美人
田原七海/みーなな 166cm 知恵袋
鈴木 結衣/ゆいてぃー 172cm 孤高の天才
朝倉宣伸 元五輪リレーメダリスト 陸連
藤森健次郎 滝野川大監督 元世界陸上リレーメンバー
陸上選手としてそれぞれ特徴が出てきて、本格的なシーズンが始まっていく。