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スリーシスターズ  作者: Shane
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実母からの電話

滝野川大に入学して陸上部に入った3人のうち、さくらは短大の保育学部に入った。ある日見知らぬ電話がかかってくる。

 さくらは滝野川短大の保育学部で保育士の資格取得を目指していた。2年しかない為、科目の単位をとるのに忙しかった。


 それでも朝夕の陸上部の練習には休まず参加していた。起床は5時で、練習後夜も宿題に追われて就寝は23時頃だった。


 陸上の選手でもないのに素質を買われて大学で勉強もトレーニングもできて、クタクタだったが、気持ちはとても充実していた。


 ある日の夕方、練習を終えて、寮の自分の部屋に着くなり、携帯が鳴った。


 見知らぬ番号からだ。

「おや、誰だろう?」

「もしもし?」

「もしもし? さくらかい?」

「ええ、そうですけど...」

「私はあなたの母親の圭子です」

「えっ?」

「突然びっくりさせて、ごめんなさいね」

「なっ、あなたは私のお母さんなんですか!」

「はい」「本当に?」「そうですよ」


 さくらは6歳で光が岡園に預けられて以来、親には一度も会っていなかった。


「光が岡園を卒園してどうなっているか施設長さんに電話したら、大学で勉強していると聞いて連絡させてもらったの」

「そ、そんな」

「急だから気持ちが整理できてからでいいから、一度会ってゆっくり話ができないかしら?」

「それはどうなんでしょう。13年も我が子を放置しておいて、いまさら...ズルくないですか」

「そのとおり。なんと言ったらいいのか。本当に申し訳ないし、会って謝りたいと思っているのよ」

「ちょっと、気持ちが整理できないし、どっちにしてもすぐは無理です」

「そうよね。驚かせて本当にごめんなさいね。体に気をつけて頑張ってね」


 圭子は泣きながら電話を切った。 さくらも泣いていた。


 圭子は高校1年の頃に当時付き合っていた彼氏の子どもを身ごもってしまい、学校を中退して出産したのがさくらだった。


 その後彼氏と結婚するが、生活も厳しく、旦那の暴力もあり、離婚し、働きながら女で一つでさくらを育てていたが、うつ病になってしまい、児童養護施設に預けることになった。


 その後生活保護を受けながらなんとか生活はしているものの、うつ病は酷く仕事もできていなかった。


 高校卒業と当時に基本的には児童養護施設は出なければならない為、さくらが生活できているのか気になって連絡をしたのだった。




▽翌日 滝野川大の寮にて


七海「ねぇ、さくちん、さくちんってば」

さくら「んー」

七海「どうしたの?元気ないけどなんかあったの?」

さくら「別にぃ」

陽菜「そんなに暗いさくちん見るのはじめてだよ」

さくら「大丈夫。ふぅ」

七海「どうみても大丈夫じゃないでしょ」

さくら「昨日、お母さんから電話があったんだ」

七海「ええええ」

陽菜「ホントに?」

さくら「気になって光が岡に電話して連絡先聞いたって」

陽菜「そうなんだぁ。びっくりだね」

七海「でも勝手に連絡先教えていいのかよ」

さくら「ウチらのプライバシーないのかな」


 数日前に圭子から連絡を受けた光が岡園の本橋施設長は、事情を知り、さくらに確認してから連絡してくださいと言いつつ先に携帯番号を知らせていた。その後に本橋は発熱で寝込んでしまい、さくらに確認する前に圭子がさくらに電話してしまったのだ。



 その後、本橋からさくらに連絡があり、事情の詳細の説明を受けてようやくさくらは安心した。


さくら「本橋さん、本当に頼みますよー。私ショックが大きすぎます」

本橋「ごめんな。オレのせいで。会うかどうかは、すぐ決めずに、ゆっくり考えたほうがいいぞ」

さくら「はい。わかりました」


 結局、さくらは圭子との再会を会いたくなったらさくらから連絡するということで保留とした。


つづく

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