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スリーシスターズ  作者: Shane
2/25

交渉

小向高校に通うバスケ命のなかよし女子3人組に陸上部顧問から助っ人の依頼が。しぶしぶ参加すると、思ってもない展開が待ち受けていた。

 ある日、小向高校でのことだった。


木村陸上部顧問「おっー、いたいた、ちょっといいかな」

さくら「嫌です」

木村「まだ何も言ってないだろ」

七海「どうせ陸上の試合にでるとかですよねー」

木村「ビンゴ! なぁ新人戦でてくれないか、リレーに」

さくら「そんなヒマないです。私たち、バスケに命懸けてるんで」

木村「そんなこと言わず、頼むよ―、なんなら、なんか奢るよ、ご飯とか」

「....」

七海「じゃあ、オモニ食堂の焼き肉は?」陽菜「いいねー」

木村「オ、オモニ⁈、ん、ああ、何とかするわ(今月の小遣い飛ぶわ)」

七海「やったー!」さくら「でも、もう一つ条件があります」

木村「なんだよ。まだオレに金払わすのか」

さくら「いえ、どんな格好で走ろうが私たちの好きにさせてもらいます」

木村「わかった、わかった、好きにしてくれ」



 10月 東京都城北ブロック陸上新人戦


 木村に頼まれて3人が出場するのは4*100mリレーだった。

 アンカーは陸上部の田中希で、1走を七海、2走を陽菜、3走がさくらだった。


 3人の助っ人効果か、予選を2位で突破し、決勝進出。

陽菜「優勝するしかないね」七海「勝ってオモニ食堂だ」さくら「イエーイ、ファイティン!」


 そして決勝。

「オン・ユア・マーク」「セット」 プァーン!


 予選同様に軽快に走り、先頭でアンカーへのバトンパス。

その時、

「ちょっ、早っ」

「えっ?」

カラン、カラン。

 バトンを落としてしまい、小向高校は失格となってしまった。


さくら「アンタがでるの早すぎだからだよ」

田中「ごめん」


..........


 そのレースを二人の男がスタンドで観ていた。


藤森「収穫なしっすね。朝さん」

朝倉「......」

藤森「打ち合わせ会場の近くに陸上の大会あるっていってあわててメシくってきましたが、意味なかったよなー」

朝倉「フジ、バカか。あのバトン落としたチーム見たろ?」

藤森「えっ、でもあの優勝タイムですよ、あのまま走って競ったとしても話にならないでしょ」

朝倉「あいつら、スパイク履いてなかったぞ」

藤森「へっ、マジっすか?」

朝倉「何者なんだろう、フジ、調べてきたらどうかな」


朝倉は陸上協会の専務理事で、藤森は都内の大学の陸上部の監督をしていて、将来性のあるアスリートの人材を探していた。


藤森「きみたち、ちょっと、いいかな」

七海「えっ、誰っ?」さくら「チカン?」

藤森「なっ、全然怪しくないよ」

七海「怪しいし、なんかチャラいよね」

藤森「君たちリレーやってたけど、普段の種目は何走ってんの?」

さくら「バスケ」七海「今日は頼まれてでただけ」

藤森「おっと、借り物で出てたのか」


 そこで木村が歩いてきた。


木村陸上部顧問「あっ、どうも」

藤森「いい選手たちですね。インターハイ目指してるんですか」

さくら「バスケで目指してます」

陽菜「なんで、バッシュで走りましたー」

藤森「マジか。 私、大学で陸上を指導してましてね、ご縁があれば、スカウトできたらと思って」

さくら「どこの大学ですか?」

藤森「ああ、滝野川大学だけど」

七海「私立ですか?」

藤森「ああっ、そうだけど」

さくら「無理です。ウチら金ないし」

七海「頭もそんなにだし」

陽菜「塾いけないし」

藤森「うーん。頭は別にどうとでもできるんだけど....」


そこへ朝倉が現れた。


朝倉「こんにちは。突然お邪魔してすみません」

さくら「あっ、この人テレビで観たことある」

陽菜「何だっけ?」

七海「ゼクシィズームの体育祭TVじゃね」

さくら「あー、そうそう」

朝倉「そっち?、まぁ出てたけど、昔オリンピックも出たことあるけど、知らないよね」

「えーっ!!」

朝倉「陸連では女子スプリントプロジェクトというのをやっていて、幼少の子のエリート育成と、中高生の他競技の優秀な子を集めて、オリンピックを目指すというのをやってましてね、藤森の大学はまだ始めたばかりだけど熱心なんですよ。特待生扱いで学費は全額免除になりますよ。」

七海「学費だけですよね?」

朝倉「どういう意味?」

陽菜「私たち、自分たちで生活費もないとだめなんです」

朝倉「親に出してもらえないってことかな」

さくら「親は同じとこにはいません。施設に暮らしてるんです!」

朝倉「そうか、すまない。でも本当に期待できそうな選手なら、こちらで頼めば寮費も出してもらえると思うよ」

「......」


その夜、


本橋施設長「おおお、なんと、君たちはあの朝倉宣伸に会ったのか?」

七海「ええ、ゼクシィズームの体育祭TVの人」

本橋「バカ、昔、和製カールルイスと言われて、オリンピックで活躍したレジェンドだぞ」

さくら「カールルイス?誰っ、カールおじさん?」

本橋「はぁ?まったく。朝倉宣伸なら、彼のパイプ使って学費免除で寮費もタダで、君たちを大学に通わせてくれるかもしれないぞ」

七海「大学かぁ」

陽菜「いいなぁ」

本橋「でも相当な素質があればの話だけどな」

直子「あら、わざわざ向こうから声かけてきたんだから、素質あるんじゃない」

さくら「いいなぁ」

陽菜「大学生、ステキ!!」

七海「うーん、陸上かぁ」


つづく



◎登場人物紹介

中川さくら/さくちん 158cm あねご

桜井 陽菜/はるはる 175cm 物静かな美人

田原七海/みーなな 166cm 知恵袋

木村 小向高校陸上部監督

本橋 光が岡園施設長

直子 光が岡園職員

朝倉宣伸 元五輪リレーメダリスト 陸連

藤森健次郎  滝野川大監督 元世界陸上リレーメンバー

陸上を本格的にやることで、大学に進学できるかもしれないと知った3人。学費等も免除される可能性もあり、大きな魅力を感じていた。

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