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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

妄想と、推理と、愛しさを。

作者: ぎぎ

この作品は「N2418GX」の二次創作です。作者より許可を頂いています。

 いったいどうしたの、おねーさまぁ?


 最近、なんだかうふんおねーさまの様子がおかしいですわ。ぼぉっとしている上の空でいたり、ウンウンうなりながら考え事をしているみたい。

 悲しげなため息をつく事ようにもなっていますし……アハン、心配ですわ。




 今日もガーデンテラスでティータイム。ですが、お天気はどんより鈍色の雲が広がっていますわ……。おねーさま不在のティータイムでは、あたしの気分もお空と一緒のどんよりですわー。


「……ねぇ、セバス?」

「なんでしょう、アハンお嬢様」

「うふんお姉様は何故、探偵なんて呼んだのかしら?」

「私にも依頼内容は教えて下さいませんでしたので、分かりかねます」

「セバスにも内緒なの……」

 ふぅっと小さくため息をつきながら紅茶をひと口。


「うん、美味しいっ」

「ありがとうございます、お嬢様」


 執事(バトラー)であるセバスチャンのいれる紅茶も美味しいけれど、大好きなおねーさまの手でいれて頂いたほうがずっとずっと美味しく感じるのよね。

 きっと『うふニウム』は味覚にも作用するのね。学術論文でも書こうかしら。


 それにしてもおねーさまは何を依頼したのかしら? 先日のあたしが白昼夢を見たティータイムの後から様子がおかしくなったのよね。

 なんでしょう、イライラしている事も増えたような。ストレスを溜めていらっしゃるのかしら?


 セバスに無理難題を言い付けて、八つ当たりのような言動をするようになりましたわ。

 執事であるセバスに飲み物を持って来させるのは分かりますが、パエリアを作れはちょっと所ではない無茶振りと言うものでしょうに。セバスはコックではありませんのよ?

 セバスはセバスで真面目だからコックに頭を下げてパエリアの作り方を教わりに行っちゃうし。


 この間の夜も「星屑を集めたお風呂に入りたい」って、何かの比喩? 隠喩? ですの?

 混乱しすぎてセバスが小一時間ほど棒立ちしておりましたのに……可哀想でしたわ。あれからセバスは胃の辺りを押さえている事が増えましたねぇ。


 うーん、増えたため息、ぼぅっとしたり、突然始まったセバスへの無茶振り……え、まさか、おねーさまはっ!


「恋煩い!」

「は?」


 わわっ、声に出てましたわ。幸いセバスはなんの事だか分かってないみたい、きょとんとしていますわね。あぶないあぶない。


 えぇぇ、おねーさまはセバスに恋してしまったんですの!? 執事との叶わぬ恋……。アハンだからこそわかりますっ!

 アハンだっておねーさまを思って、上の空になるのはしょっちゅうですし! ぶつぶつと声に出てしまう妄想シチュエーション! おねーさまとあんなことやこんなことしたいんですものっ! 妄想にふけった後の悲しいため息も、幾百幾千とこぼれ落ちましたわっ!


 でも、でも、そんなぁあんまりですわ。やっぱり神様なんて居ないんですわぁ。おねーさまが好きになる相手がすぐ側に居るなんて……。

 嗚呼、そうか、逆ですの。神様はちゃんといて、見てらっしゃるのね……。姉に恋をしたアハンに天罰なんですのね? 

 自然の摂理に沿った男女の恋路を、すぐ側で見続けて自分の心中の炎に身を焼かれよ、と。残酷ですわ……。


「アハンお嬢様、探偵の方がお帰りになったようです」

「……っ!」


 そうだ、探偵の存在がおかしいわ。セバスの身辺を改めて調査する必要性は無い。厳重に身元や素行などは調査され尽くしていますわ。

 おねーさまのお相手はセバスでは無い。ホッとしましたわ。


 となると、あとは……おねーさまにピンクのソファーを贈った方。


 ここ最近、あのソファーにしなだれかかった姿や物憂げな表情で寝そべるおねーさまを見掛けましたわ。お、お部屋のドアがちょっとだけ、本当にちょっぴり開いていたので覗、見えたのですけど。


 あのソファー、おねーさまは『お気に入り』で『素敵な殿方』に頂いたとおっしゃっていましたわ。え、では探偵はその殿方の身辺調査?

 他に女性の影があるって事ね! おねーさまは悪い男に惹かれているのっ!? ダメッ!


「騙されているわっ!」

「ッ!」


 急に大声を出したからセバスがビックリしてる。あ、胃を押さえた。胃痛の原因はあたしもなのね。姉妹揃って迷惑かけてるわね。

 あ、そうだ。


「これ、セバスにプレゼント。良く効くって評判の胃薬ですの」

「……アハンお嬢様……」


 テーブルに置いておいた紙袋を渡すと、何だか涙ぐんで、言葉に詰まっていますわね。余程、胃痛が酷かったのですのね。


「まさか! あなたなのっ!?」


 いつの間にか、うふんおねーさまがテラスに来ていたようですわ。なんだか怖い顔をしてセバスに詰め寄っていますわ。


「セバスッ! いえっセバスチャンッ! ちょっとこっちに来なさい! アハンちゃんはすこーしだけ待っててね? わたくしとお茶、しましょう」

「あ、ハイ、おねーさま」

「…………」


 無言で引きずられて行くセバスは、なんだか売られた子牛の様に見えますわね……。もっと良い胃薬を探しておきますわ。 


 さて、ひとりぼっちになったので、愛するおねーさまへの恋の歌でも歌いましょうかしら。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ねぇ、アハンちゃん。 もう一度よ〜く読み返してみたらね、アハンちゃんがいつの間にか、妹になってるではありませんの。 GLの上、血縁者とは、驚いてしまいましたわ! 探偵によると、セバスはM…
2021/04/14 05:48 退会済み
管理
[一言] はじめまして。 アハンとうふんを追ってきました。 変な中毒性がありますね◎
[良い点] 「キマシ(*゜▽゜)タワー!!!」 お約束ということで。(*^^*)‬
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