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群青の配達屋  作者: 大咲六花
序章
2/38

土の民

 民たちは土と共に暮らしていた。土の恩恵は彼らに安定した住まいをもたらし、彼らを自然の脅威から守った。

 土と共に暮らす人々は、どんな土が何に適しているのか、どこの土を使えば柔らかさや滑らかさを出せるのか、どのような硬さに仕上がるのか、驚くほど承知していた。

 あたかも土と会話しているように。


 土からの恩恵は彼らの髪や瞳が物語っていた。茶色、赤茶色、鳶色、こげ茶、褐色、朽葉色……。濃淡や明るさの違いはあれど、その色は彼らが土の民であることの誇りであった。


 土の民は、炎の民とよく一緒に暮らしていた。

 土を自在に操る人々の力が、炎の民の力と融合し、次第にその技を高めていった。彼らの手によって、日々の暮らしは一層快適さを増しただけでなく、それはいつしか類まれなる工芸品をも生み出した。


 しかし、彼らは炎の人々以上に水の民を敬っていた。彼らは、土の民たちになくてはならない存在だった。


 土はそこに在るだけではただの土だった。水の力が加わることで、形や質を変えることができた。

 むしろ、水の力がなければ彼らの力は発揮されなかったといってもいい。


 土の民たちは、水の民たちを大切にしていた。


 だから、水を汚してはならない。水の民たちが受ける恩恵を奪ってはならない。彼らを害することは、自分たちが土の恩恵を受けることを害されることと同じだから。

 彼らは、彼らを守ることを誓った。いつまでも。これからも。


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