表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/95

ドワーフ国でドワーフ王に結果報告をする

「ドワーフ王、人間の都、王都アルテアまで行って参りました」


 俺達はドワーフ王の目の前でかしづく。


「うむ……ところで」


 ドワーフ王は娘であるセリスを見やる。


「なぜ、我が娘であるセリスがお主らと一緒に帰ってくるのだ?」


「ぎくっ!!! お、お父様!!! それは!!!」


「セリスよ。貴様はドワーフ兵を連れて軍事訓練をしてくるとわしに言っていたではないか? あの言葉は嘘だったのか!!!」


「う、嘘ではありません!!! お父様!!!」


 セリスは声を大きくして否定する。流石にお転婆姫のセリスでも実の父親。国王のドワーフ王は怖いようであった。


 まるで家出娘が咎められているかのようであった。完全に自業自得ではあるが、聊か可哀そうではある。


 ここは助け舟を出してやるか。


「はい。嘘ではありません。セリス姫とはさっきドワーフ国に帰ってくる途中、偶然一緒になったのです」


 無論嘘だ。セリスが俺達の実力を侮っていたことがひとつ、そしてもうひとつがただの好奇心からだ。好奇心は猫をも殺す。あまり行き過ぎた好奇心故にセリスは死にかけた。間一髪で俺が助けこそしたが。


「そ、そうです!! お父様!! 私は偶然フィルド様と帰り道で一緒になったのです!! そう偶然!! それだけの事です!!」


「そうか……ならよいのだ」


 ドワーフ王は納得してくれたようだ。


「ほっ……」

 

 セリスは安堵のため息をつく。まったくこのお転婆姫は。俺に一体、何度借りを作ればいいというのか。


「それではドワーフ王。本題に戻ります。こちらが残金の金貨です」


「うむ」


 俺は金貨を渡す。ドワーフ執事に。


「そしてこれがマジックボックスであります。必要なものは市場で買い付けています」


「そうか……ありがとう。ご苦労であった、フィルド殿。何か礼をしなければならないな。何がいい? そうだ!! わしの娘のセリスでも嫁にやるかっ!? がっはっはっはっはっはっは!!」


「「「なっ!!!」」」


 およそ三名がその言葉に少なくない動揺をした。


「な、なに言ってるのよ!! パパ!! フィルド様はあての命の恩人だけど、いくら何でもいきなりそういう話は!!! そういうのは順を追ってお互いにもっと親しくなって、それで正式に決めていく物事だと思うの……」


 セリスは顔を赤くしてもじもじしていた。なんだ? ……俺に命を救われて、気がおかしくなったのか。さっきから態度がおかしい。


「フィルド様、随分とおモテになられるのですね」


 イルミナが呟いてくる。


「か、勘弁してくれよ。俺に幼女趣味はないんだ」


「あ、あては幼女じゃない!!! 小さくない!!! 立派な淑女(レディ)!!!」


 セリスは顔を真っ赤にしてそう主張する。


「冗談だぞ。勿論、冗談だ」


 ドワーフ王はバツの悪い顔をした。


「ドワーフ王。褒美でしたら頂きたいものがあるのです」


 俺はドワーフ王に陳情する。


「うむ。なんだ? フィルド殿」


「ドワーフ兵を幾人か貸して欲しいのです」


「う、うむ。ドワーフ兵を。良いのだが、理由を聞かせてはくれぬか? 理由もなくドワーフ兵を貸すことはできぬぞ」


「はい。ここら辺一帯を荒らしまわっている盗賊団がいます。行商人からドワーフ製品を奪い、殺人や人さらいをする卑劣な連中です。その頭領となっている人物が俺の知り合いなのです」


「なんだと!? 盗賊のリーダーと知り合いなのか?」


「はい。恐らくは。そいつとは因縁があるのです。そいつの悪行をこれ以上見逃すわけにもいかない。そして、盗賊行為をしている連中を一人たりとも逃したくはない。囲い込むためにもドワーフ兵が必要なのです」


「う、うむ。わかった。よかろう、貸そうではないか。ドワーフ兵を」


「ありがとうございます。感謝します、ドワーフ王」


「いや、こちらとしても願ったり叶ったりだ。盗賊団の暴挙は我々ドワーフも手を焼いていたところなのだよ。そのおかげで行商人の行き来が減ってドワーフ製品が在庫を抱えたり、何かと損失を抱えていたのだ。だから盗賊の問題が解決されるのであれば、我々としてもありがたいことなのだよ」


「そうでしたら利害の一致ということでなおのことよいかと思います。ドワーフ兵をお借りし、必ずや盗賊団を壊滅させます」


「うむ。頼んだぞ。フィルド殿。諸君等の健闘を祈る」


「はっ!」


 こうして俺達はドワーフ兵を引き連れ、被害に会った少女の家へと向かう。そこを盗賊団が根城としている可能性は高かったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


ここまで読んでいただいた皆様にお願いです!

↑の☆☆☆☆☆評価欄↑を

★★★★★にしていただけると作者の大きなモチベーションになります!


もちろん、ブックマークも嬉しいです! 引き続きよろしくおねがいします!



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ