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商人ギルドとの交渉

「そういえば、フィルド君。行商人として商人ギルドに商品の卸しをするには許可証がいるのだが、君は持っているのかい?」


「は、はい。こちらに」


 俺はゴンザレスにドワーフ王からもらった行商の許可証を貰った。


「ほ、ほう! こ、これはドワーフ王からの直々の許可証!? 君はドワーフ王に直接会ったのかい!?」


 ゴンザレスは驚いていた。ま、まあ。そういう反応になるよな。


「え、ええ。まあ、そういう事になります」


「ふ、深くは詮索するつもりはないが。つくづく末恐ろしい男だな、フィルド君は。わしのようにキャリアのある大商人でもドワーフ王は一度たりとも面会した事がないんだよ」


「へ、へぇ。そうなんですか。それは恐れ多いです」


「ここがギルド長室だ。私の方から話は通してある」


 コンコン。ノックの末に俺達はギルド長室に入る。


「失礼します! 商人ギルド長!」


「うむ……。入るがいい。ゴンザレス殿」


 やはり商人だからか。身なりの整ったダンディーな中年がギルド長室にはいた。豪華な調度品が多く、かなり潤っているようだ。一見するとどこかの王族の私室にしか見えない。


「私が商人ギルド長のアレクだ」


 そう商人ギルド長は名乗る。


「アレク殿。こちらが行商にきたフィルド殿だ。ドワーフ国からの代理でこちらまで向かったらしい」


「ふむ。フィルド殿か。許可証は持っているのかい? 商人ギルドは真っ当な組織だ。許可のない行商人からの仕入れはできない。言葉は悪いが、今行商人を襲い、物品を奪い取り、それを闇市で流す盗賊がいるそうだ」


 アレクはそう説明する。クロード達の事であろう。他にも似たような事をしている連中はいるだろうが。


「そういった連中から仕入れないために、我々は許可証のある行商人からしか仕入れをしていないんだ? わかるだろう? 我々とて犯罪者から商品を仕入れるわけにはいかないんだよ。勿論君達を疑っているわけではない。これは公正に敷かれた取引のルールなんだ」


「わかっております。許可証ならここにあります」


 俺は許可証を手渡す。アレクはその許可証を見てゴンザレス同様表情を変えた。


「こ、これは!! ドワーフ王直々の許可証!? き、君達は一体何者なんだ!? ドワーフ王に実際面会したのか!?」


「は、はい。色々あって」


 俺は再び言葉を濁す。


「まあいい。それで商品が見当たらないが。外の馬車にでも積んであるのかい?」


「い、いえここに」


 俺はマジックボックスを取り出す。


「マジックボックス、中の商品を全て吐き出せ」


 意思を持っているマジックボックスは俺が命ずると、中から大量のドワーフ製品を吐き出した。天井に届く程大量のドワーフ製品が山積みになる。


「な、なんだと!! マジックボックスだと!? そんなレアアイテム見た事がないぞ!! ドワーフの中でも限られたドワーフしか所有していないと聞く。ドワーフ王なら所有しているだろうが、そんなものまで君達は貸し与えられたのか」


 アレクは驚いていた。


「こ、これまた大量に持たされたものだのぉ」


 山積みになったドワーフ製品を見て、ゴンザレスは驚いていた。


「随分とドワーフ王に信用されているようですね。何があったかは知りませんが」


 アレクは呆気にとられていた。


「ええ。まあ。色々あって」


 俺は言葉を濁す。説明するのも面倒だしいらぬ誤解を与えそうだと思った。


「盗賊による強盗事件が多発しているので、物流がかなり減少してしまったのでしょう。その為、かなりドワーフ国も在庫を抱えていたのだと察する事ができます」


 アレクは冷静にそう分析していた。


「ではこれから商人ギルドの方で鑑定士数名がかりで鑑定をさせて貰いますが、よろしいでしょうか?」


「はい。構いません」


「待った。念の為、わしの信頼できる鑑定士も数名呼ばせてもらおうか。安値で買い叩こうとした場合、わしの方で借入れをしてでも引き取らせて貰おう。ドワーフ製品の品質の高さ、希少性は世界中で知られておる。捌くのは簡単であろう」


「くっ……」


 買い叩こうと策謀を巡らせていたアレクは出鼻をくじかれ、表情を曇らせる。


「わ、わかりました。それで構いません。それで数時間程お時間頂いてもよろしいでしょうか」


「はい。構いません」


 流石は大商人ゴンザレスだ。頼りになる。俺達だけだったら間違いなく不当に買いたたかれていたところであろう。


「それでは暇であろうし。しばらくわしの方で商人ギルドを案内しようかの。豪華な宝石や絵画もある。きっとお嬢様達でも楽しむ事ができるであろう」


「本当ですか!?」


 イルミナは目を輝かせる。ルナシスも多少なり興味がありそうだった。外の世界を知らないイルミナにとっては猶更新鮮に映るであろう。


「ああ。楽しみにしていておくれ」


 こうして俺達はゴンザレスに商人ギルドの案内をされる事となる。待ち時間のちょっとした暇つぶしだ。この点もゴンザレスとの再会に感謝しなければならない出来事であった。

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