盗賊を警備兵に引き渡した後、商人ギルドへ
「ほら! ちゃっちゃと歩けっ!」
「ひいっ!」
マジックボックスから取り出したロープで盗賊達を縛り、王都まで歩かせる。
「遅いぞお前ら!」
「無理言わないでくだせぇ。俺達だって精一杯なんすから」
「贅沢言ってるんじゃねぇ。剣の錆にされなかっただけありがたく思えよ。死ぬ気で歩け。というか走れ」
「「「は、はいっ!」」」
俺が命令すると盗賊達は小走りを始める。
「全く、手間取らせやがって」
俺は溜息を吐く。しかしこの盗賊達から貴重な情報が聞けた。裏で糸を引いているのはクロードの奴だ。あいつ、バハムートを召喚した事といい、とことんなりふり構わなくなっているな。
レベルが低く戦闘力としては無力ではあるが、それでもああもなりふり構わないと脅威だ。いずれはまた俺の目の前に現れる気しかしなかった。
やっとの事で王都アルテアが目に入ってきた。
「全く、お前らがいたせいで遅くなったんだぞ」
「「「も、申し訳ありません! 殺さないでください!」」」
盗賊達は命乞いをする。
「殺しはしない。殺すんだったらその場で殺している。まあ、その方が楽だったんだが」
予定よりもずっと時間がかかり、俺達は王都に到着した。
◇
「警備兵のおじさん」
「ん? どうかされましたか?」
俺達は王都を巡回している警備兵に声をかける。
「ほらっ」
「「「ひいっ!」」」
俺は縛られた盗賊を差し出す。
「こいつ等がドワーフ国との道中の行商人を襲っていた盗賊です」
「な、なんですって!! こ、こいつ等が行商人を襲っていた盗賊……被害が多発していて私達も困っていたところなんですよ。ありがとうございます」
「いえいえ」
「是非警備署まで来てください。あなたの事を表彰させて欲しい。懸賞金も多少は出ていた事です。こいつ等が正式に行商人を襲っていた盗賊だと断定できたらお渡しできると思います」
「い、いえ。予定が詰まっているんで。俺達はこれで」
多少の懸賞金が出るにしてもすぐにではない。その上、今俺達は別に金に困っているわけではない。時間と手間が惜しかった。
「そ、そうですか。ご協力感謝いたします!」
「いえいえ。さあ、手ぶらになったし、商人ギルドへ行くか」
「「はい! フィルド様!」」
俺達は次なる目的地として商人ギルドへと向かった。相変わらずあのちびっこ王女は俺達の後をつけてきているようだが、邪魔になるわけでもないので放置する。
気にはなるが。
「フィルド様!! あれが商人ギルドです」
「そうか。じゃあ、中に入るか」
俺達はでかい立派な建物の中に入る。そういえば以前にクロード達により危害を受けていた商人達を助けた事があったな。
思い出した。もしかしたらそこにいるかもな。――そして俺の予想通り、再会を果たすのであった。