【ドワーフ姫セリスSIDE】フィルドが盗賊を瞬殺しあっけにとられる
セリスはフィルド達が盗賊に襲われているシーンを物陰に隠れて窺っていた。
「ふん……腕前を拝見させて貰おうかしら。まあ、あての予想だと」
以下セリスの妄想。
フィルド「うわーーーーーーーーーーーやられたーーーーーーーーーーーーーーー!」
盗賊「がっはっはっはっはっはっは! 口ほどにもないな!」
盗賊2「へへっ。じゃあ、女をいただいちまうか」
ルナシス&イルミナ「「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
セリス「待ちなさい!」
盗賊「な、なんだっ!?」
盗賊2「き、貴様は!! ドワーフの姫の!!」
セリス「そう。セリス=ウォン=ダイガル!! ドワーフ兵よ!! 今こそあなた達の真価を発揮しなさい!!」
ドワーフ兵達「「「はい! セリス姫!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」
盗賊達「「「うわあああああああああああああああああああああ!!! やられたあああああああああああああああああああああ!!!」
セリスの妄想終了。
「えへ……えへへっ。あてってかっこいい。あの人間はなんて役に立たないのかしら」
妄想に酔ってセリスは涎を垂れ流していた。
「セリス姫!」
ドワーフ兵が声をかけてきてセリスは現実に引き戻される。
「な、なによ!? あ、あの人間もうやられちゃったの!?」
「い、いえ。それが」
「それが?」
「盗賊達があの人間にあっさりやられたようです!」
「な、なんですってええええ!! この一瞬で。あ、あの人間。フィルドと言ったかしら。一体何者なのかしら!?」
「わ、わかりませんが、一瞬で倒されていきました」
「そ、それで、あてらドワーフの出番は!?」
「ど、どうやらないようです」
「うううっ……あてのかっこいい登場を期待していたのに。しょんぼり」
セリスはしょげた。
「姫様、これからどうしますか? 闘いにおいてあいつ等の心配をする必要はなさそうですが。剣聖ルナシス様もいらっしゃいますし。妹様もそれなりに手練れなんでしょうぜ」
「そ、それもそうだけど。ここで引き返すわけにもいかないじゃない。興味本位で尾行を続行するわよ」
「興味本位ですか……」
「そうよ。興味本位よ。洞窟で籠っているよりよっぽど楽しい事がありそうじゃない」
「はあ……」
もはや後をつける生産的意味を感じなくなったドワーフ兵は嘆くが、それでも姫であるセリスに逆らう事は出来ないのであった。
こうしてセリスとドワーフ兵の尾行行為は継続していくのである。