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行商のために王都へ向かう途中、盗賊を始末する

「フィルド様、お姉様ーーーーーーーーーーーーー! はぁはぁ……待ってくださーーーーーーーーーーい!」


「ん?」


 イルミナが息を切らしている。少し置いてけぼりしていたようだ。


「はぁ、はぁ。待ってください。お二人とも足が速すぎます」


「そんなに速く歩いているつもりもないんだけどなぁ」


 俺はルナシスに合わせて歩いていた。ステータスをわざわざ解析(アナライズ)する必要性はないとは思うが、イルミナは魔導士の職業(ジョブ)についている。


 適正的には魔力が高く、攻撃力や防御力、敏捷性はいまいちだ。肉体的ステータスに関してはLVと比較するとかなり劣ったステータスでしかないのであろう。


その為、俺達の動きについてくるのは少々厳しいようであった。


「お、お二人の感覚が異常なだけです。まるで私の足が遅いみたいじゃないですか」


 イルミナは嘆く。


「そうだな。じゃあ、少し休憩するか」


 俺は遙後方をちらりと見やる。付いてこれていないのは尾行している連中も同じだ。


 連中に関しては別に置き去りしても一向に構わないのだが。イルミナに関してはそういうわけにもいかない。


「あ、ありがとうございます」


 俺達はしばらく休憩した後にまた王都アルテアに向けて歩き出す。


 ◇


「へへっ。待ちなっ!!」


 その道中での出来事であった。


「んっ!?」


 俺達の周囲を囲むように、物陰から数人の男達が現れる。明らかに盗賊風の男達だ。


「有り金置いていけ」


「それからそこの女二人も置いて行けよ。ん? 一人の女の方は見た事ある顔だなぁ」


「女は奴隷として高く売れるからよ。置いていくっていうなら男。てめぇの方は見逃してやってもいいぜ。くっくっく」


 盗賊達は好き放題に言いたい事を言ってくる。レナードと違って、実力差が開きすぎていると力関係を正しく理解できないのかもしれない。


 星までの距離は無限に遠く離れているはずだが、手を伸ばせば届きそうになると錯覚する。そんな感覚だろう。


「お前達がここら辺の行商人を襲っていた盗賊達か?」


「だったらなんだっていうだ?」


「ああ。そうだぜ。俺達がここら辺の行商人を襲っていた盗賊だ。ドワーフ製品は特に高値でさばけるからな。おいしい仕事だったぜ。くっくっく」


「そうか……やはりな」


 同情の余地などない。それ以外に仕事がなかったのかもしれないが、他人を害する事で利益を得ようなどという者に同情などできるはずもない。


 野放しにしておく事などできない。


「ん? なんだ? 命乞いするのか?」


「へへっ。泣きわめいて地面に頭をこすりつけろよ。そうすれば俺達の気持ちも変わるかもしれないぜっ。へへっ」

 

 男達は刃物を光らせる。


「フィルド様……ここは私が」


「俺に任せてくれ、ルナシス。どうやら俺の実力を疑問視しているお姫様がいるようだ」


「セリス姫ですか……」


「私達が敬愛し、尽くしているフィルド様がそんなに弱いわけがないという事くらい、わからないものでしょうか」


 ルナシスとイルミナは嘆く。


「へへっ! なんだっ! ついに観念したかっ!」


「野郎ども!! やっちまえっ! 男の方は殺したってかまわねぇ!!」


「「「おうっ!」」」


 盗賊達は血気盛んに俺に襲い掛かってきた。


 この程度の相手、聖剣エクスカリバーを抜くまでもない。


「な、なにっ!? き、消えた!! ぐわっ!」


 まず一人目。昏倒させる。


「み、見えないっ! う、動きが速すぎて!! ぐ、ぐわっ!」


 次、二人目。


「な、なんだこいつ。ぐわあああああああああああああああ!」


 三人目。


 盗賊達を全員昏倒させるまで、それこそ10秒も必要としなかった。盗賊達が大地にのさばっている。


「さ、流石はフィルド様です。こんな一瞬で」


「すごいっ……」


 ルナシスとイルミナはそう言った。


「一人起こすか。少し事情を聞きたい。ほら、起きろ。お前」


 俺は盗賊の一人を軽く蹴る。


「う、ううっ……」


 一人の盗賊が目を覚ます。


「俺の聞いた事に答えろ」


「ひ、ひいっ! こ、殺さないで!!」


 盗賊は泣き叫んだ。


「ちゃんと答えれば殺さない。嘘を話したら指を一本ずつ折るからな」


「は、はい! な、なんでも答えます!」


「まず質問のひとつ目だ。誰の指示で動いている、お前達の親玉は誰だ!?」


「そ、そいつは言えません!!」


「よし。指を一本折ろう」


「い、いやだぁ! 折らないで、い言います。言いますからどうか寛大な措置を」


「全く。最初からそうしろよな」


 俺は溜息を吐いた。


「お、俺達の親玉はクロードって旦那です。なんでも最近まで『栄光の光』のトップをしていたそうで。流石に落ちぶれたとはいえ、ギルドのオーナーをしていただけあって、口が上手くて頭が回るんですよ」


「な、なんだと!?」


 クロード……あいつの名前がこの場で出てくるとは思ってもいなかった。俺は軽い衝撃を受けた。


 クロードの奴、盗賊に手を染めているのか。あいつ、どこまで落ちぶれれば気が済むのか。


 気を取り直し、俺は盗賊の尋問を続ける事にした。




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