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【盗賊クロードSIDE】クロード、盗賊の頭となり暗躍する

 ある商人がいた。商人は装備や道具をドワーフ国から仕入れ、それを王国アルテアで販売する事を生業としていた。

 一見するとただの行商人にしか見えない。だが、情報があればその商人が持っている積み荷が特別高価なものだと知る事ができた。


「止まりやがれ!」


「ひ、ひいっ!」


「命が惜しければ、積み荷を置いてけっ!」


 物影から幾人もの盗賊が現れる。皆、武器を持っていた。商人も護衛の為に装備をしているが、それでも多勢に無勢である。


「へへっ。知ってるぜ俺は。この先にドワーフの国がある事も。そして行商人がドワーフから商品を仕入れて販売している事も。そしてこの場所が人通りも少なく、絶好の襲撃ポイントだって事も」


 一人の男が現れる。金髪をした嫌味な男。商人は男に見覚えがあった。


「お、お前は!! 王都で警備兵からチラシを貰って見た事がある!! 確かクロードとかいう男だ!! 殺人容疑で指名手配されている!!」


「へへっ。有名人じゃねぇか。俺は」


 フィルドとバハムートを巡る、王都での事だった。クロードは魔法剣士から本格的に盗賊に転職(ジョブチェンジ)した。クロードにはLVや経験値がなくとも曲がりなりにもトップギルドのギルド長に成り上がった天性の悪知恵が残っていた。


 また人を纏める才覚にも恵まれ、今では幾人もの配下を従える、一大盗賊グループの棟梁となっていた。


「お前はそれでいいのかっ!! 前はトップギルド『栄光の光』のギルドオーナーだったんだろ」


「それでいいのかって? これでいいに決まってるだろ。俺にはもうこの道しか残ってねぇんだよ。選択肢が他にねぇんだよ」


「どうしやす? お頭」


「殺しちまえ。もう四人は殺してるんだ俺は。五人目になったところで別に数字が変わるだけだ」


 そう告げるクロードの表情は一切の変化がなかった。もう人を殺す事に慣れきっている様子だった。魚を捌く程度の認識しか持ち合わせていない。


「逃げ帰られて、俺等の情報を漏らされても困る。死体はモンスターにでもくれてやって綺麗に処分しろ」


「へへっ。ではさくっと殺っちまいますぜ」


「ひ、ひいっ! やめろっ! やめてくれっ!」


「大人しくしてた方がいいぜ。そうすれば楽にあの世に逝けるからよ」


「やめろ! やめろ! いやだぁ!」


 商人は泣き叫ぶ。キラリ、盗賊の持っているダガーナイフが光った。


「いやだああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 商人の断末魔が響いた。


 ◇ 


 しばらくして何も言わなくなった商人の死体が出来上がる。血の水たまりが痛々しい。


「へへへっ。見ていろよフィルド!! 俺は盗賊として成り上がってやる!! それでお前に絶対復讐してやるからなっ!! 見てやがれ!!」


 クロードは誰の目から見ても落ちるところまで落ちた。だが、クロードだけはその事に気づいていない。今はもうギルド長であった誇りも何も持ち合わせていない。


 あるのはフィルドへの身勝手な復讐心だけだ。クロードは成り上がりだと思っているかもしれないが、普通の人間からすると奈落のさらに底までに落ちて行っているとしか思えなかったのである。

本日よりドワーフ国編スタートです。ブクマ評価よろしくお願いします。

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