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バハムートとの戦闘

王都アルテアは混乱に陥っていた。それもただの混乱ではない。大混乱である。


「なんだ? あれは?」


「で、でかい、ドラゴンだ!」


「に、逃げろ! 逃げろ!」


 一般市民が逃げまどっていた。皆混乱している。我さきにと、逃げ出し、多くの人々で道が混雑していた。


 パニック状態になった市民は大変危険な状態にあった。


「な、なんなんだ!! あのバカでかい黒い竜は!」


「う、うそだろっ! なんであんなモンスターが王都アルテアに」


 警備兵たちは天空にそびえる、バハムートを見上げていた。


 警備兵はもはや殺人事件を起こしたクロードの捜索どころではなくなっていた。そのクロードが巻き起こした問題なのではあるが、そんな事は警備兵たちが知る由などなかった。


 突如として現れた暗黒の竜。竜王バハムートの出現により王都アルテアは大混乱(大パニック)に陥る事となる。


 ◇


 俺は構える。相手は竜種だ。竜種の特徴としては色々あるが、まず第一に飛行する種族であるという事が言える。


 現在も空を飛翔中だ。というよりは浮遊中(ホバリング)しているのだが。バハムートは魔力的な力により空中にそびえていた。


 当然、空を飛んでいるのだから厄介だ。バハムートは他にも厄介な事が無数に存在するが、まず第一にその点が厄介である。特にルナシスやレナードのように基本的に地上戦で闘う、純粋な戦士タイプなら余計。


 攻撃が届かないのだ。


 その為魔導士タイプのイルミナが有効な攻撃手段となりうる。そう、普通に飛翔するタイプの敵であれば。


 イルミナの身体から魔力が溢れ出てくる。


「ホーリーレイ!」


 放たれたのは聖属性の魔法だ。眩い光の線がバハムートに襲い掛かる。本来、闇属性であるバハムートにとって聖属性の魔法は有効な攻撃手段だ。


 しかしホーリーレイはバハムートに当たる直前に霧散する。


「う、嘘ですっ! な、なんでっ!」


 イルミナは驚いた。バハムートの保有しているスキルによるものだ。


 イルミナは魔導士として相当な実力者だ。LV的には80~90程度はあるだろう。だがそれでもバハムートとの間には天と地ほど開きがあった。


 純粋に強さが圧倒的に異なっているとしか言いようがない。


 バハムートは口を開き、イルミナを狙う。フレアだ。反撃行動に出るのだろう。


「なっ!?」


 放たれたフレアはイルミナに襲い掛かる。


「アヴァロン!」


 俺は聖剣エクスカリバーのEXスキルを使用する。聖なる光の壁がイルミナを守った。


「あ、ありがとうございます。フィルド様」


「気にするな……」


 と、言いたいところだが、そうもいかなかった。今ので3回目の使用だ。俺のMPは半分以下になっている。後二回程度しか、アヴァロン(絶対聖障壁)を使用する事はできない。


「ですが、フィルド様の貴重なMPが」


「だからってイルミナに死なれるわけにもいかないだろ。せっかく救ったイルミナの命だ。失うわけにはいかない」


「フィルド様……なんとありがたいお言葉でしょうか」


 イルミナは涙すら浮かべそうだった。


「それよりイルミナに頼みがある」


「頼み? ですか」


「ああ。俺が跳ぶから、それを風魔法でフォロ―して欲しい」


 一応、聖剣エクスカリバーは遠距離攻撃ができる。ホーリーブレイカー以外にもだ。こぼれ出る聖なる光を波として放つ事ができたが、直接斬った方がダメージが出るのは明白だった。


「わかりました」


 イルミナはうなずく。


「よし。行くぞ! イルミナっ!」


「はいっ!」


「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 俺は跳んだ。大跳躍だ。一気に何百メートルも跳ぶ程の。だが、それでもなおバハムートには届きえない。


「エアウィンド!」


 イルミナは風魔法で俺をフォローする。


「はああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 俺は風魔法に乗り、バハムートまで到達する。


「はあっ!」


 俺はバハムートを斬った。俺の攻撃であったのならばバハムートの防御スキルを貫く事ができた。何とかダメージを与える。


「や、やりました! フィルド様!」


 ルナシスが喜ぶ。


 ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 バハムートは怒り狂うように咆哮をした。


 俺は着地をした。


「だめだっ! ダメージは与えられてても、相手のHPが膨大すぎる! ただ怒らせただけかもしれないっ!」


「そんなっ! フィルド様でもそうおっしゃるなんてっ!」


 イルミナは表情を曇らせる。


「へへっ……良い気味だぜ。けどこのままここにいたら俺も死じまうからな。ここら辺でお暇させてもらうぜ」


 クロードは踵を返す。


「ま、待ちなさい! この卑怯者!」

 

 ルナシスは叫ぶ。


「放っておけ。クロード自体には何の害もない」


「そうですか」


「バハムートを倒した後、考えればいいだけの問題だ」


「へへっ。まだ倒せるつもりで居やがるのか。てめぇはここで死ぬんだよフィルド」


「くっ」


 ルナシスは表情を曇らせる。


「じゃあな。先にあの世にいってろよ、フィルド」


 クロードは走り出した。


「あの男、弱いくせに本当にうざったい」


 ルナシスは吐き捨て、その表情を歪ませた。


「おーい! フィルド君、その後の首尾はどうだい?」


 レナードが戻ってくる。女の子を安全なところまで逃がし、戻ってきたようだ。


「レナードさん」


 レナードは実力者だ。だが、バハムートとの戦闘においては大きな戦力になるとは思えない。それでも気休め程度にはなる。少なくない動揺を覚えている俺の心を多少は落ち着かせた。


「首尾と言われても。ビクともしませんよ」


「ふーむ。そうか。降参を聞き入れてくれるような、相手かね?」


 俺達は天空を見上げる。


「それは無茶な相談ではないですかね?」


 依然として天空にそびえる竜王バハムートの姿は健在であった。雄大なその姿はとても人間のいう事を聞いてくれるとは思えない。


 モンスターというよりは超常現象のような、そんな気しかしなかった。




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