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エルフの国への帰還 民に経験値分配(ポイントギフト)する

「おおっ! 帰ってきたのかっ! 皆のものっ!」


 国王はエルフの国境、出入り口らへんで俺達を出迎えた。国王という身分ではあるのだから他にやる事もあるはずだが、仕事が手につかない程、俺達の事が気がかりだったのだろう。


 それほど重要な作戦であったのだ。


「皆のものっ! よくぞ帰ってきた! 大儀であった!」


 国王は俺達を労う。


「それでどうだった? 結果は?」


「ええ。大型のモンスターを倒し、無事に大量のEXP(経験値)を獲得しました」


「おお! そうかっ! それは実によかったっ! 安心しましたぞっ! フィルド殿」


「まだ終わりではありません。仕上げがあります」


「仕上げ?」


「ええ。エルフの民をどこか広い空間に集めてください。そこでこのEXP(経験値)を経験値分配(ポイントギフト)します」


「広い空間か? わかった! お触れを出そう! 場所は王城の前の広場だ!」


こうしてエルフの民は広場に集まる事となる。


 ◇


「皆の者! 聞くがよい!」


 しばらくの時を経て、広場にエルフ国の民が集結した。その数、数万といったところだ。人間の国に比べると極端に少ない。国というよりは町といった程度の規模であろう。出生能力の低いエルフなのだから、その個体数が少ないのも必然と言えた。


「これよりフィルド殿及びエルフ騎士団が大型モンスターを討伐し、獲得した経験値を分配する!」


 エルフ王はそう宣言する。


「け、経験値を分配だって……」


「それで一体、俺達はどうなるっていうんだ」


 エルフの民達はざわめきはじめた。


「皆の者! 静粛に! 静粛にせい! その目的と意味を伝えよう! 人間の英雄である彼、フィルド殿は経験値を分配する能力を有している! その能力で大型のモンスターを討伐し、膨大な経験値を得たエルフ騎士団! 彼等の経験値を諸君等に分け与えるのだ!」


「経験値を分け与えるだって?」


「分け与えてどうなるんだ?」


 国民は再度ざわつく。


「エルフの民と森の魔力は密接に結びついている! 最近、森の魔力が枯渇しかかっている事は皆のものも知っているところであろう! エルフの民が成長(レベルアップ)する事で森の魔力が復活する! この国が侵されている病魔を払拭する事ができるのだ!」


「森の魔力が復活!」


「そうなったら、私達ももう、病気にならなくて済むの?」


「苦しまないで済むのか!? 本当に」


「恐らくそうなるであろう! それではフィルド殿、騎士団が大型モンスターより得たEXP(経験値)を皆の者に分配してはくれぬか」


「わかりました。エルフ王」


 俺は一歩前に出る。高台からエルフの民を見下ろす恰好になる。


「民に経験値分配(ポイントギフト)


 俺は経験値を分配する。経験値が煌びやかな光となり、エルフの民に降り注いでいく。


「綺麗……」


 その光景を見たエルフの女性が呟く。


「ち、力が溢れてくるぜっ!」


「ああっ! こんな経験初めてだ!」


「こ、これが成長(レベルアップ)するって事か」


 ギガレックスを討伐し、尚且つ2倍にした経験値の量は膨大であった。レベル1の人間100人をレベル100にできるかのような、膨大な経験値。


 それだけの経験値がエルフの民に分配されたのだ。


 俺は胸を撫でおろす。これで本当の意味で俺の役割を終えた。俺にできる事はもはや何もない。


 森の魔力が回復したのかどうか。


 そうだ。イルミナだ。森の魔力不足を献身的に支えていた彼女の存在が気になる。俺では森の魔力が回復したかどうかは確認できない。


 だが、イルミナが回復していたとしたのならばその確認になりうるだろう。


 それもあるし、俺は単に彼女の身を案じていたのだ。作戦中も心配で仕方がなかった。帰ってきてから一度も会っていない。


「ルナシス……イルミナのところに行こう」


「そうですね。フィルド様」


 ルナシスは頷く。俺とルナシスはイルミナの元へと向かった。



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