ギガレックスを倒し、有り余る膨大な経験値を手に入れる
「すごい……すごいです、フィルド様」
ルナシスは感嘆とした様子で呟いた。振り下ろされた膨大な聖なる光は山程の大きさがあるギガレックスを一瞬にして飲み込み、そして消失させていった。
ギアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
盛大な断末魔の末に、ギガレックスは果てていく。最後には一片の肉片すら残さず消失する。
その時だった。天から光が降り注いできたように感じる。大量の経験値が降り注いできたのだ。ギガレックスはただでさえ、多くの経験値を有している。それを2倍にした経験値。どれほど膨大な経験値量になるか、俺ですら想像できない。
「す、すごい……力が溢れてくる」
ルナシスはその経験値を実感していた。
「ち、力が漲ってきますぞ!」
「き、騎士団長! これほど力が漲ってきた事は一度としてありませんっ!」
「い、いったい我々はどれほどの経験値を授かったというのでしょうかっ!」
エルフの騎士団は興奮気味だった。
「やりましたねっ! フィルド様! 全てはフィルド様のおかげですっ!」
「あっ、ああ」
超大型モンスターであるギガレックスは倒した。そして取得できる経験値は2倍にした。どれほどの経験値かはわからないが、どう考えても膨大な経験値量になる。例えるならそうだ。レベル1の冒険者100人をレベル100にできるような。そんな膨大な経験値。
エルフの民を成長させるのには十分な経験値量のはずだ。そしてこの経験値をエルフの民に分配する。経験値分配能力者による能力で。
そうすれば森の魔力は解決する。エルフの民を救える。そしてそれを献身的に支え、結果として死の危機に瀕しているイルミナを救えるはずだ。
ゆっくりとしている暇はない。イルミナの命だっていつまで持つかもわからないんだ。
「早くいかないと」
俺は歩き出す。その時、大きくバランスを崩し、倒れた。
「フィルド様! フィルド様! フィルド様!」
「くそっ……体が動かない」
星落とし(ホーリーブレイカー)の効果によるものだった。あのEXスキルは強力ではあったが、大きな代償を必要とした。MPが空になり、HPが1になった俺はいわば死にかけの状態だ。
もはや歩く事すら困難である。
「早くいかないと……イルミナの命が」
しかし体は言う事を聞かない。意識が途絶える。
「フィルド様ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
最後に聞こえてきたのはルナシスの叫び声だった。
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