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ギガレックスとの戦闘 聖剣エクスカリバーの秘められし力

ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


再度のギガレックスの咆哮が平野に響く。そして俺達の鼓膜にもだ。これだけの音の衝撃波は耳を塞いでも身体に大きなダメージを与えかねない。


エルフの騎士団はこれだけでも戦闘不能になりかねなかった。


どうする。


ルナシスの攻撃でもびくともはしたかもしれないが、結果としては怒らせただけだ。与えたダメージ量もギガレックスのHPの100分の1。いや、1000分の1もあればいいほどだ。


あまりに気が遠くなる。


「フィルド様!」


 ルナシスが子猫のような目で俺を見てくる。


「なんだ?」


「お願いします! フィルド様だけが頼りなんです」


「はあ~~~~…………」


 俺は深く溜息を吐く。だよな。ルナシスでどうこうできない相手となるとエルフ騎士団では余計にどうこうできない。


「仕方ないな」


「はい! お願いしますっ!」


 猫のようにルナシスがじゃれてくる。こいつほんと他の奴と俺に対する態度が違うな。まあいい。


 俺は腰の鞘から聖剣エクスカリバーを引き抜く。ただそれだけの事ではあるが、

「「「「おお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」」」」


 戦闘中の緊迫した状況であるにも関わらず、エルフ騎士団は見入ってしまっていた。聖なる光が剣からあふれ出てきたからだ。その光は目がくらむ程に眩しい程であった。


「す、すごいです! こっ、これが聖剣エクスカリバー! エルフの国の至宝」


 それはルナシスも同じだった。聖剣エクスカリバーの輝きに思わず見入ってしまっている。


 それほどまでに神々しい光をこの聖剣エクスカリバーは放っている。


「見たことないのか? ルナシスは?」


「小さい頃に少しだけお父様に見せてもらいましたが、宝物庫は厳重な警戒がされており、王族でも簡単には入れないのです。国王であるお父様くらいしか入る事が許されていません」


「……そうか。まあ、それだけ貴重なものが集まっていたものな。それだけ警戒もするだろう」


 しかもそのうちでも最も貴重であろう聖剣エクスカリバーを俺に授けてくれたのだから。身に余る光栄だった。


 だから俺は結果でちゃんとそれに応えなければならない。エルフの国を救う。森の魔力問題を解決する。そして病に苦しむ第二王女イルミナを救う。


 それが今の俺の使命だ。


「はああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 俺は聖剣エクスカリバーを振るう。聖なる光は直接斬らずとも、光の刃を作り出す。そして、ギガレックスに襲い掛かった。


 グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 ギガレックスの皮膚に大きな傷跡ができた。大量の血液が流れ出る。


 このギガレックス、でかいというだけで大した技術も経験もない。単にそのでかいというだけで絶対的な捕食者として存在していたのだ。


 ……まあ、そのでかい、っていうのがとにかくやっかいである。でかいってだけで。


 グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 ギガレックスは俺を吠えながら攻撃してくる。爪による一撃。巨大ではあるが単純で読みやすい、直線的な攻撃だ。


「甘い」


 ドン! 砂埃が立った。空振りだ。宙に飛んだ俺はギガレックスの手の上に乗った。そして走り出す。


「はああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

!」


 人類の最高峰の俊敏性を持っている俺は瞬く間にギガレックスの顔までのぼって行った。直線距離にしておおよそ1キロ。普通の人間が一瞬で到達できる距離ではない。


 ブシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 俺はギガレックスの巨大な顔を切る。


 ギアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 ギガレックスが無様な声をあげた。そして崩れ落ちる。


 どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!


 ギガレックスは大きな音を立て崩れ落ちた。


 俺は難なく地面に着地した。


「やりました! フィルド様!」


「いや。まだだ」


「えっ!?」


 ギガレックスは立ち上がろうとしている。あの程度の攻撃では聖剣エクスカリバーとはいえ、その膨大なHPを削り切れない。


 難なくギガレックスは立ち上がってくる。


「そんな、フィルド様でも……」


 ルナシスは驚いていた。だが、ショックは他の騎士の方が大きい。彼らにとっても俺が最後の頼みの綱だったのだ。


「そ、そんな! フィルドさんでもだめだったらもう、俺らなんて何ができるんだ」


「な、何もできるわけがねぇだろ。あんな化け物相手に」


「も、もうおしまいだ」


 騎士達は項垂れ、絶望していた。


 くそっ。こんなところで終わるのか。終わって良いわけねぇだろ。こんなでかいだけが能のウスノロに。


 な、何か、何かないのか。手段は。その時だった。


「えっ!?」


 聖剣エクスカリバーから俺の脳に情報が伝わってくる。視野領域に直接その力が映し出される。聖剣エクスカリバーの秘められた力が。


EXスキル『星落とし(ホーリーブレイカー)』いわば必殺技だ。それがこの聖剣エクスカリバーに残された切り札だった。


『効果はHPを1だけ残してMPを全消費する。しかし、それに比例して与えるダメージ量が多くなる』


いわば諸刃の剣だ。自身のHPとMPを引き換えに、相手に大ダメージを与える、一歩間違えれば自爆技ともとれる必殺技。


 だが、これしかもう俺には手段がなかった。いや、俺達には手段がなかった。

LV170の俺のステータスは

攻撃力:3735

防御力:3450

魔力:3212

体力:3111

であるが、HP5237 MP3089だ。とはいえこの数字だけでどれくらいすごい数字なのかは理解できないであろう。例を出す必要があった。そうだな。人類最高レベルのHPが2000、MPがせいぜい800という事だ。


人類最高のステータスを遙に凌駕したHPとMP、そしてそれら全てに放つこの聖剣エクスカリバーの必殺技。


その威力がどれほどのものになるか。俺はこの危機的状況であるにも関わらず、少年のようにドキドキと胸が高まっていた。好奇心があった。


俺のステータスでこの聖剣エクスカリバーのEXスキル『星落とし(ホーリーブレイカー)』を撃ったら、一体、どれほどの力が出るのか。興味が湧いて仕方がなかった。


「ルナシス、皆を下がらせろ」


「フィルド様……いかがされたのです?」


「危険だ。この聖剣エクスカリバーの真なる力を解放する」


「……真なる力! そんなものがあるんですか!」


「ああ。この聖剣エクスカリバーが俺に直接教えてくれた。優れた武器、ましてや聖剣なんていう伝説的な武器はもはやただの武器じゃない。意思がある。まるで生きているかのように俺に教えてくれたよ」


「フィルド様……わかりました! 全騎士団員に告げます! 下がりなさい!


「「「「はっ!」」」」


 騎士団は距離を取っていく。


「さてと、いくか」


 俺は聖剣エクスカリバーを天高くつきあげる。しかし一抹の不安は残った。この攻撃で倒せなかったとしたらもう本当に打つ手がない。俺のHPも1になってしまう。MPもゼロだ。だから打てる手が本当になくなる。だが、やるより他にない。


「EXスキル『星落とし(ホーリーブレイカー)』」


 俺は聖剣エクスカリバーのスキルを発動させる。俺の全HP(1は残る)と全MPを変換して放たれるこの聖剣の必殺技だ。


放たれた聖なる光は膨大なものであった。聖なる光は天高く昇っていく。その光は空を突き破る程の勢いで伸びて行った。きっとあの夜空が輝く星まで届いているのかもしれない。『星落とし』とはよく言ったものだ。きっとこの大地のどこにいても見えるかもしれない。


「す、すごいです、フィルド様。あれが聖剣エクスカリバーの真なる力」


「な、なんて綺麗な光なんだ」


ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


今までにない威圧感や恐怖を覚えたのか、ギガレックスは物凄い雄たけびを上げた。


「終わりだ。ギガレックス、貴様の出番は」


 俺は告げる。そして振り下ろす。星すら落とす事ができる、この聖剣エクスカリバーの最大にして最強の一撃。


「ホーリーブレイカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 俺は聖剣エクスカリバーを振り下ろした。圧倒的なまでの聖なる光、星すら落とせる力がギガレックスに襲い掛かる。


 ギアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 ギガレックスの断末魔のような悲鳴が響いた。






 

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