エルフ騎士団と北の平野にたどり着く
そこからの道中は過酷であった。
エルフの森を抜け、山岳地帯を登り、下る。言葉で言うと実に簡単ではあるが、歩いているエルフ達は大変辛そうだった。
「はぁ、はぁ……」
「ぜぇ、はあ」
エルフ騎士団は息を切らしながらあがる。移動をしなければならないが、それでも軽装でというわけにもいかなかった。北の平野には巨大なモンスターがいるそうだ。
だとすると生身で立ち向かえば即死になりかねない。エルフ騎士団は重装備の末の長距離移動を強いられる。
その様子は過酷そのものであった。
「進め! 進むのだ! このままでは日が暮れてしまうぞ!」
騎士団長はそう発破をかける。
「し、しかし! 騎士団長!」
「はぁ、はぁ、はぁ。わ、我々も体力の限界であります!」
「なんとだらしない! 情けないと思わないのか貴様ら! 貴様らにエルフ国の危機を救う、その気概はないのかっ!」
騎士団長はわめき散らす。気合が空回りしていた。
「少し休憩しましょう」
俺は提案した。いうまでもなく俺は平気だ。だが俺だけ先にたどり着いても何の意味もない。エルフの騎士団を連れていくことに意味がある。
「し、しかしフィルド殿」
「疲れて動けないのでは意味はありません。エルフの国は確かに危機的状況ではありますが、それでも一刻を争うというほどではありません」
「う、うむ。そうだの。フィルド殿の言う通りでもある。よし! 皆の者! その場で休憩するがよい!」
「はぁ!」
「し、死ぬかと思った」
慌てて騎士たちは水筒を取り出す。水分補給は必須だ。鎧を着たうえで重労働。脱水症状になりかねない。
「フィルド様」
ルナシスは水筒を取り出す。中にはお茶が入っているようだった。
「俺は別に――」
「そういわないでくださいまし。流石のフィルド様でも喉くらい乾きますでしょう?」
「それは確かに。まあ、じゃあ、ありがとう」
「ええ。どういたしまして」
俺は水筒に口をつけて飲む。ゴクゴク。ぷはーっ。
「旨かった。ありがとう、ルナシス」
俺は水筒を返す。
「いえいえ……こ、この水筒にフィルド様が口をつけた。と、いう事はこの水筒に私が口をつければ間接キスをするって事に。間接キス。それってつまり……最終的にはフィルド様とキスをするって事になるんじゃないかしら!」
ルナシスは色々言いつつ水筒に口をつけようとする。
「何を言っているんだ? さっきからごちゃごちゃ」
「な、なんでもありません! なんでもありません! フィルド様」
ルナシスは顔を真っ赤にして首を振っていた。
こうして俺達は再び進行を開始する。
そしてやっとの事で森を抜け、山岳地帯を抜け、その先にある平野部へとたどり着いたのである。
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