エルフ王より聖剣エクスカリバーを授けられる
「ボロボロだな……」
一大決戦を目前に、俺は最後の最終確認をしていた。栄光の光の時、俺はポイントギフターとして利用されていただけだ。自身のレベルを1に抑え、他の者に経験値を分け与えていた俺に戦闘要員としての役目は用意されていなかった。
その結果与えられたのがブロードソード。あらゆる剣の中でも最も等級の低い、安値の剣であった。
新人の冒険者などが装備する、いわば初期装備のようなものだった。
今まで数回しか使用した事がない。しかしブロードソードは既に俺の攻撃に耐えうる事ができそうになかった。いつぽっきりと二つに折れても致し方ない。
北の平原にいる巨大モンスターがどれほどの戦力を有しているかはわからない。だが間違いなく言えるのはこのブロードソードでは心もとないという事だ。
今まではレベルとパラメーターの差に物を言わせたごり押し。最悪、剣がなくなっても素手で何とかなるかもしれない相手ばかりだった。
だが、次の相手はそうはいかないだろう。戦闘中に剣が折れる可能性が高い。いや、それ以前にいくら俺のステータスでもブロードソードでは攻撃がいまいち効かない可能性があった。
不安だ。やはり装備も新調した方がいいか。当然した方がいいのは確かだ。金なら確かにあるが、エルフの国のどこに武器屋があるのか。
ルナシスに聞いて連れて行ってもらったほうがいいか。俺はそう思っていたところだった。
「ん? どうかしたのかね? フィルド殿」
俺の前にエルフ王が現れた。俺がいる事でエルフ国が救われるかもしれないという公算を抱いたエルフ王は、俺に対して大分親密な態度を見せるようになっていた。
当初よりはずっと柔和だ。
「エルフ王……」
「ん? なんだね? その剣は。ボロボロではないか」
「はい。お恥ずかしながら。以前所属していたギルドで使っていた剣です」
「なんと! そんな剣で北の平原というのは無茶ではないかっ! いくらフィルド殿がルナシスから聞き及んでいるような実力者とはいえ、それは蛮行といえぬかね?」
痛いところを突かれる。これから対峙する敵の実力もわからない。恐らくではあるがものすごい戦力を持っている。下手すると俺のLV170を超えるほどのモンスターかもしれない。人類の最強LVを超えていて、それが例えばモンスターや魔族が相手となると。
太刀打ちできない可能性は大いにあった。ましてや初期装備のブロードソードである。
これでは舐めている。あるいは自殺行為と取られても不思議ではない。
「そんな装備で北の平原に向かおうとしているのかね?」
「それは……まあ、もっと良い装備があった方が当然いいと思いますが」
色々大まかな条件で言えば、使用者のステータスと装備で戦闘のほとんどが決まる。他にも地形や相性、運なども絡んでくるかもしれないが。
LVやステータスは簡単にはあがらない。だが、装備は変えるだけでよい。だから簡単に強くなれる面があった。
「それはいけない。フィルド殿、是非こちらに来なさい」
「どこに行かれるのですか?」
「エルフ城の宝物庫だ」
「宝物庫」
「いいから付いてきなさい」
「はい」
俺はエルフ王に連れられ、宝物庫へと向かっていった。
◇
「こ、ここは」
そこはエルフの城の宝物庫だった。様々な煌びやかな装備であったり、魔術的な強化が付与されていそうな魔道具だったり、人間の世界の武器屋で売っているようなものは見当たらない。
どれもなかなか手に入らない逸品であった。しかし俺にとっては逸品に見える武具の数々にエルフ王は目もくれずに、奥まで進んでいく。そして最奥部までたどり着いた。
「これだ。これを君に譲ろう」
「これは……一体!?」
台に突き立っている一振りの剣。煌びやかな光を放つその剣がただの剣ではない事を、俺は一瞬で理解する事ができた。
「これは我がエルフの国に伝わる秘宝、聖剣エクスカリバーだ」
「聖剣エクスカリバー……」
で、伝説の聖剣だ。そんな聖剣がエルフの国に伝わっていたのか。
「これを君に授けよう」
「さ、授けようって! くれるっていうんですか!」
「そうだ」
「そんな! 受け取れませんよ! そんな聖剣、借りるだけでも恐れ多いのに!」
「フィルド君。君はエルフ国にとって唯一の希望の光。英雄なのだ。その英雄にとって出来る限りの事をするのは、王として当然と言えよう」
「そんな」
「いいから受け取ってくれ」
躊躇う俺にエルフ王は躊躇いなく聖剣エクスカリバーを台から引き抜く。そして専用の鞘だろう。それに納めた。
「でも」
「いいから、さあ」
エルフ王にこうまで言われれば受け取らないわけにもいかない。俺は聖剣エクスカリバーを受け取った。
「ありがとうございます。エルフ王」
「それでは今日も遅い。是非本日はエルフ城へ泊って行ってくれ」
「ありがとうございます」
こうして俺はエルフ城に一泊する事となった。
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