騎士団長から100人のエルフ騎士を借り入れる
騎士団が集まり旅の準備をする。そしてエルフの国で聖剣を授かる事になる。
「えっ!! 我々エルフ騎士団全軍が目的地へ向かうのですかっ!」
エルフ王と俺はエルフの騎士団長と面会していた。
「そうだ。この者、フィルド殿と北の平原まで向かって欲しいのだ」
「き、北の平原ですかっ!」
当然のようにエルフの騎士団長は北の平原を普段立ち寄る事のない危険地帯である事を理解していた。
「騎士団をあの北の平原に向かわせるのですかっ……一体、何人でですか?」
「全騎士団でだ」
「全騎士団ですと! エルフの騎士団は100人もいるのですぞっ! その数で北の平原に向かえというのですかっ!」
当然のように騎士団長は驚いていた。無理もない。騎士団長にとっては自分の団員達を死なせに行くようなものである。驚くのは必然であった。
「な、なぜっ! なぜそんな事をするのですかっ! 騎士団の団員を死の危険に晒すのですっ!」
騎士団長は理由を求める。いくら国王が相手とはいえ、このような過大な要求、躊躇うのは必然であった。
「それはここにいる青年、フィルド殿からご意見を伺おう。フィルド殿、騎士団長に説明をしてはくれぬかっ?」
「はい。俺の経験値分配能力者としての能力は取得する経験値を2倍にする事ができるのです」
「な、なんですとっ! 2倍ですとっ!」
「はい。エルフの成長性は低いそうですが、それでも北の平原の巨大モンスターを討伐すれば、膨大なEXP(取得経験値)を得る事ができます。そしてこれが俺がエルフ兵100人を連れていきたい理由です」
若干の呼吸の後、俺は言葉を続ける。
「俺の経験値分配能力者の能力範囲は軍全体に及ぶほど膨大です。俺と同行したエルフの騎士団は皆、望外な経験値を2倍で受け取る事ができるのです」
「わ、我がエルフ騎士団に膨大な経験値を取得させてどうなるというのだっ!」
「それがエルフ国の危機を救う事になるのです。エルフの民の成長と森の魔力は密接に結びついています。俺が騎士団の得たEXP(取得経験値)をエルフの民に分配します。俺の経験値分配能力者には経験値を任意に分配する能力もあります」
「そ、それでどうなるというのです?」
「エルフの民が成長します。その結果、森の魔力の枯渇が解消されるはずです」
そしてそれは森の魔力をその身を犠牲にする事で保ってきたイルミナを救う事にもつながる。
「森の魔力の枯渇が解消される。エルフの国が救われるというのですか!?」
騎士団長の目の色が変わった。
「どうだ? 人間ではあるが頼もしい青年であるとは思わないか。騎士団長殿。フィルド殿と言ってな、彼に騎士団を預けてはみぬか?」
「国王陛下。しかし彼は人間です。いわば余所者」
「我々エルフに解決できなかった問題ではないか。私も最初はそう考えていた。しかし考えを改めたよ。エルフの国の危機を救うのが必ずしもエルフでなくてもよい。人間でも獣人でも構わないではないか。そうは思わんかね?」
「そ、それも確かにそうですね。その通りです。エルフの国を救ってくれるなら人間でも、エルフでなくても構いません。些末な問題かもしれません」
「私からもお願いします騎士団長様。フィルド様はとても素晴らしいお方です。きっとエルフの国をお救いになってくれます。騎士団長様、どうかフィルド様に騎士団を委ねてはくれないでしょうか?」
「うーむ」
騎士団長がえらいとはいえ、それでも国王と王女が二人で頼んできているのだ。断れるはずもなかった。
「わかりました。エルフの騎士100人及び騎士団長である私1名を含めた、101人をフィルド殿にお預けいたします」
騎士団長はそう明言した。
「や、やりましたっ! やりましたねっ! フィルド様」
ルナシスが喜ぶ。
「喜ぶな。ルナシス。まだ何も解決していない」
「ですが長旅の様子で、少々準備がいります。一日ほど準備をいただけないでしょうか」
「わかった。では出発は明後日の早朝としよう」
「了解いたしました。騎士団全体に伝令を出しておきます」
「うむ。頼んだぞ」
「はっ! 国王陛下っ! エルフ国の危機を救うため、我々エルフ騎士団が全身全霊を尽くす事をここに誓います」
「では頼んだぞ、フィルド殿」
「任せてください」
俺は強い言葉でいう。ここで不安げな態度を取ると周囲も不安になる。虚勢でもなんでもいい。今は強気に、自分に自信を持つよりない。
こうして俺はエルフ騎士団100人、正確には騎士団長を含めて101人を預かる事に成功した。
そしてルナシスもいる。
このメンバーで俺達は巨大モンスターが生息するとされる北の平原に向かう事になる。
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誤字脱字報告ありがとうございます! 『ルナシス』彼女の名前、本文担当の私が考えた名前ではないのもあり、どうしても覚えられないんですよ(笑) いっつも間違えます(笑)
ちなみに『イルミナ』は自分で考えましたし、作ったキャラなので間違えないと思います(笑)